キュレーネー
キュレーネー(古希: Κυλλήνη, Kyllēnē)は、ギリシア神話に登場する地名あるいはニュンペーである。長音を省略してキュレネとも表記される。ニュムペーのキュレーネーはゼウスの娘とされることから、木星の衛星のひとつに名付けられている。アポローンの恋人でアリスタイオスの母親のキューレーネー(Kyrene)とは別人。
アルカディア地方のキュレーネー山は、オーケアノスの娘プレーイオネーがアトラースとの間に7人の娘プレイアデスを生んだ場所である。後にプレイアデスの一人マイアとゼウスの間にヘルメースが生まれるが、ヘルメース誕生の地もキュレーネー山の洞窟とされる。ソポクレースにおいては、このときニュムペーのキュレーネーがヘルメースの乳母として登場する。 このほか、テーバイの予言者として知られるテイレシアースが交尾中の蛇を見て性転換したのもキュレーネー山中である。
ニュムペーのキュレーネーはペラスゴスの妻となり、リュカーオーンを生んだ。異説では、ペラスゴスの妻はオーケアノスの娘メリボイアとされる。リュカーオーンは高慢不敬な人間で、ゼウスの怒りを買ってデウカリオーンの洪水の原因となった。