キャロル交響曲
『キャロル交響曲』(A Carol Symphony)は、イギリスの作曲家ヴィクター・ヘリー=ハッチンソンが1927年に作曲した、全編にクリスマス・キャロルを素材として用いた交響曲である。
初演
編集1929年9月26日にロンドンのクイーンズ・ホールで行われたプロムナード・コンサート(プロムス)で、作曲者の指揮により初演された。
構成
編集スケルツォを第2楽章に配置した古典的な4楽章制の交響曲である。各楽章につき1つずつのクリスマス・キャロルが素材として使われており、後半2楽章では付随的にもう1つずつのキャロルが扱われる。全曲は切れ目無く演奏される。
- 第1楽章 Allegro energico
- 「神の御子は今宵しも(Adeste Fideles)」による。
- 第2楽章 Scherzo: Allegro molto moderato
- スケルツォ。「世の人忘るな(God Rest Ye Merry Gentlemen)」による。
- 第3楽章 Andante quasi lento e cantabile
- 「コヴェントリー・キャロル(The Coventry Carol)」による緩徐楽章。中間部では、幻想的なハープの音色に導かれて「牧人ひつじを(The First Nowell)」の旋律が現れる。
- 第4楽章 Allegro energico come prima
- 「Here We Come A-wassailing」と、第1楽章でも用いられた「神の御子は今宵しも」が対位法的に組み合わされる。
その他
編集ジョン・メイスフィールドの児童文学『喜びの箱』(The Box of Delights)が1984年にBBCで映像化された際、テーマ曲として第3楽章の「牧人ひつじを」の部分が使われ、その幻想的な映像と相まって強い印象を与えるものとなっている。
録音
編集参考文献
編集- John France, Victor Hely-Hutchinson: A Carol Symphony, MusicWeb International