キャメルマート

かつて存在した日本のコンビニエンスストアチェーン

キャメルマートは、岩手県に本社を置いていた日本のボランタリー・チェーンコンビニエンスストアである。運営会社は2004年に事業撤退し商標権を放棄している[6]

株式会社キャメルマートジャパン[1][2][広報 1]
種類 株式会社[2]
市場情報 非上場
略称 キャメル
本社所在地 日本の旗 日本
028-3621
岩手県盛岡市南仙北1-15-12[1]

紫波郡矢巾町広宮沢1-265[広報 1]
設立 1983年昭和58年)4月16日[1]
業種 小売業
法人番号 6400001003765 ウィキデータを編集
事業内容 コンビニエンスストアのチェーン本部[広報 1]
代表者 山川清(代表取締役社長[広報 1]
資本金 100万円[3]

300万円[1]

7150万円[広報 1]
売上高 7億2000万円(1983年3月期チェーン売上)[3]

10億5000万円(1985年3月期チェーン売上)[1]

74億円(1995年度チェーン売上)[4]

95億円(1997年度チェーン売上)[5]

50億円(2002年度チェーン売上)[広報 1]
従業員数 28名[広報 1]
決算期 3月[1]
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概要

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2023年時点で現存する唯一の店舗である秋田八幡平店(鹿角市)

最盛期は岩手県を中心に秋田県山形県青森県に店舗網を拡げ[6]1997年(平成9年)3月には82店舗を展開していた[5]

キャメルマートの運営母体である盛岡酒類商業協同組合は1948年(昭和23年)11月に[7]約450人が合計1230万円出資して協同組合を設立[8]

協同組合に加盟する店舗の活性化の為[9]1972年(昭和47年)11月に組合内にコンビニエンス研究部会を設置し[1]、岩手県で初めてのコンビニエンスストアとして[10]1973年(昭和48年)12月20日に岩手県岩手郡雫石町に1号店のキャメルマート福田店を開店[11]

1983年(昭和58年)4月16日に大手チェーンの進出に対抗するため、株式会社キャメルマートジャパンを設立[1]

1989年(平成元年)9月に[広報 1]日本のコンビニエンスストアで初めて日本電信電話の料金受入代行サービスを開始[12]

1998年(平成10年)8月に新社屋である本部センターが完成[広報 1]。創業メンバーである当時の大坊忠社長にとってこれは夢の一つだった[13]

2000年(平成10年)6月30日に運営母体である盛岡酒類商業協同組合が倒産。同年初旬から返済が出来なくなり、負債総額が約10億円にまで拡大していた[8]2004年(平成10年)11月30日[14]ファミリーマートに盛岡地区の9店を譲渡[15][広報 2]。ファミリーマートは同年7月2日に盛岡市に岩手県1号店を開店しており[15]、物流センターを設け多店舗展開を図ろうとしている最中であった[14]。 同年で本部が事業撤退した際に商標権を放棄したため、加盟店の一部は、「キャメルマート」の店名を維持したまま営業を続け、「キャメルマート秋田八幡平」は2023年(令和5年)4月時点で最後の「キャメルマート」として営業を継続している[6]

加盟店の中にはファミリーマートではなく、全日食チェーンに加盟した店舗もある。[要出典]

結果として、「店舗数45店、合計売上高63億7000万円を20世紀末には200店、300億円、本部利益1億円にする」という「SAP(サップ)‐20計画」は失敗に終わった[9]

サービス

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キャメルマートはサービス4原則(Friendly・Cleanliness・Fresh・Quality)を掲げ、積極的に新たなサービスに挑戦していた[広報 3]

キャメルカード

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1991年(平成3年)6月に直営店でキャメルカードというポイントカードを試験導入し、1992年(平成4年)4月には新しいキャメルカードを試験稼動させた[広報 1]

買った金額がそのままポイントになり、5000ポイント貯める度に50円の割引券が付き、7冊貯めると500円の割引券が貰えるというシステムだった。ポイントを貯めるだけでは無く、ホテルニッポンレンタカーの割引や利用者の中から抽選で現金が当たる宝くじもあった[広報 4]

キャメル便

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2000年(平成12年)5月にキャメル便として宅配サービスを開始[広報 1]カタログから商品を選び(店内の扱っている商品でも出来る場合あり)電話で注文。3000円以上で無料で、3000円未満は利用料として200円掛かった[広報 5]

しかしながら、導入したもののあまり定着しなかった[16]

その他

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主なサービスとして電話料金受入代行サービス、バイク自賠責保険取次ぎ、各種切符販売、インストア米飯惣菜ベーカリー販売など多様に行っていた[広報 1]

沿革

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  • 1948年(昭和23年)11月[7] - 約450人が合計1230万円出資して盛岡酒類商業協同組合を設立[8]
  • 1972年(昭和47年)11月 - 盛岡酒類商業協同組合にコンビニエンス研究部会を設置[1]
  • 1973年(昭和48年)12月20日 - 岩手県岩手郡雫石町に1号店のキャメルマート福田店を開店[11]
  • 1983年(昭和58年)4月16日 - 株式会社キャメルマートジャパンを設立[1]
  • 1988年(昭和63年)
    • 5月 - EOS発注システムの運用を開始[広報 1]
    • 10月 - 日配商品の共同発送を開始[広報 1]
  • 1989年(平成元年)
  • 1990年(平成2年)12月 - 秋田県に出店開始[広報 1]
  • 1991年(平成3年)
    • 3月 - 山形県に出店開始[広報 1]
    • 6月 - 研修センターとなる直営店を開設[広報 1]。JR券・航空券等・きっぷの宅配サービスを開始[広報 1]
    • 9月 - 食品・菓子・雑貨の共同配送事業を開始[広報 1]
  • 1992年(平成4年)
    • 4月 - 新キャメルカードシステムの試験稼動を開始[広報 1]
    • 7月 - レジホンマネージャーシステムの運用を開始[広報 1]
    • 7月 - 青森県に出店開始。[要出典]
  • 1994年(平成6年)7月 - 50店舗突破[広報 1]
  • 1995年(平成7年)
    • 4月 - インストア米飯・惣菜の試験販売を開始[広報 1]
    • 6月 - 韓国眞露ベストア社とのコンビニエンスストア運営ノウハウ提供契約締結。
    • 10月 - 株式会社ボランタリーマーチャンダイジングネットワークへ資本参加[広報 1]
    • 12月 - 60店舗突破。[要出典]
  • 1996年(平成8年)
  • 1997年(平成9年)
    • 3月 - インストアベーカリーの試験販売を開始[広報 1]
  • 1998年(平成10年)
    • 8月 - 本部センターが完成[広報 1]
    • 9月 - 自動販売機のフルサポートサービスを開始[広報 1]
  • 1999年(平成11年)
  • 2000年(平成12年)
    • 4月 - インストア米飯・惣菜店舗「菜彩倶楽部」の展開を開始[広報 1]。収納代金サービスを拡充[広報 1]
    • 5月 - 宅配サービス「キャメル便」を開始[広報 1]
  • 2004年(平成16年)11月30日[14] - 盛岡地区の9店を譲渡[15]
  • 2017年(平成29年)11月 - 個人経営にて営業を続けていた「キャメルマート いへい」が閉店。これにより、創業地である岩手県からキャメルマートが完全に消滅。[要出典]残るのは秋田県の1店舗のみとなった[6]

店舗数

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1983年3月 8店[3]
1984年3月 12店[1]
1985年3月 13店[1]
1986年11月 17店[17]
1993年7月 45店

[18]

1994年3月 51店[4]
1995年3月 61店[4]
1996年3月 76店[5]
1997年3月 82店[5]
2023年4月 1店[6]

マスコットキャラクター

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キャラクタの描かれたレシート

キャメルマートにはマスコットキャラクターがおり、らくだの「らっくん」を始め、宴会星人・ ハラペコ星人・トコ夏星人・春咲星人がいた[広報 6]

脚注

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出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l 『流通会社年鑑 1986年版』 日本経済新聞社、1985年11月11日。pp241
  2. ^ a b 流通会社年鑑 2003年版, 日本経済新聞社, (2002-12-20), pp. 480 
  3. ^ a b c 『流通会社年鑑 1985年版』 日本経済新聞社、1984年11月8日。 pp243
  4. ^ a b c “コンビニ業界の基礎知識(1) / 古田千尋”. KRIレポート 97 (共立総合研究所) (1997年4月).pp32
  5. ^ a b c d “成長するコンビニエンスストアの業界の動向”. ヤノ・レポート 1998年7月10日号 (矢野経済研究所) (1998年7月10日).pp33
  6. ^ a b c d e 佐藤仁彦「その名もキャメルマート 地方コンビニの雄、最後の1店は豪雪地帯に」『朝日新聞』2023年4月9日。2023年12月12日閲覧。
  7. ^ a b 『岩手会社年鑑 1974年版』 信用交換所大阪本社、1973年11月30日。pp366
  8. ^ a b c 盛岡酒類商業協同組合が自己破産を申請 2000年7月10日 日本食糧新聞
  9. ^ a b 盛岡酒類商業協組を母体のVCキャメルマート、SAP20計画を推進 酒前面に拡大 1993年7月26日 日本食糧新聞
  10. ^ 『小売業の未来戦略 1』 ビジネス社、1975年3月1日。 pp193-195
  11. ^ a b “雪国岩手に異彩放つキャメルマート”. 食品商業 1974年3月号 (商業界) (1974年3月).pp104
  12. ^ 山村亮介 “列島キーパーソン 岩手県”. 日経地域情報 増大 1998年9月7日号 (日経産業消費研究所) (1998年9月7日).pp36
  13. ^ キャメルマートジャパン特集:大坊社長に聞く軌跡と今後抱負 1998年10月12日 日本食糧新聞
  14. ^ a b c 〈経済〉キャメルマートがファミリーマートへ営業譲渡 2004年8月26日 盛岡タイムス
  15. ^ a b c “ファミリーマート、キャメルマートの盛岡地区9店を譲受”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (2004年8月20日). pp3
  16. ^ J-Net21 IT活用事例集 株式会社大坊酒店
  17. ^ 『ダイヤモンド商店百科 1987年版』 ダイヤモンド・フリードマン社、1987年3月30日。 pp199
  18. ^ “キャメルマートチェーン、「キャメルカード」で固定客確保 会員6万人以上が目標”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (1993年7月26日). pp4

広報など1次資料

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関連項目

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外部リンク

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