キタヤマオウレン

キンポウゲ科オウレン属に分類される常緑多年生の1種

キタヤマオウレン(北山黄蓮、学名Coptis kitayamensis Kadota[1])は、キンポウゲ科オウレン属分類される常緑多年生の1[2][3]奥山春季により原色日本野外植物図譜6 補遺 I(誠文堂新光社,1972)にバイカオウレン変種(学名:Coptis quinquefolia Miq. var. kitayamensis Okuyama)として発表されていたキタヤマオウレンが、2011年門田裕一により新種のCoptis kitayamensis Kadotaと記載された[3]。種小名(kitayamensis)は、この標本が採集された当時の分布域の岐阜県山県郡北山村(現山県市)に由来する[4]

キタヤマオウレン
キタヤマオウレン、両白山地、岐阜県美濃地方、2024年5月10日撮影
キタヤマオウレン
2024年5月、両白山地岐阜県美濃地方にて
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: キンポウゲ目 Ranunculales
: キンポウゲ科 Ranunculaceae
: オウレン属 Coptis
: キタヤマオウレン C. kitayamensis
学名
Coptis kitayamensis Kadota[1]
和名
キタヤマオウレン

特徴

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地下走出枝をもつ[2]。草丈は高さ5-10 cm、果期に15 cmに達する[2]は3出複葉で越冬し[5]、普通3全裂し、分布域の西部(福井県西部、滋賀県北部、京都府東部)には葉身が掌状に5全裂して一見バイカオウレンに似た個体が出現する[3]。頂小葉は倒卵形で基部はくさび形となって小葉柄が不明瞭であり、側小葉は上半部で3裂するかあるいは中部で2浅裂-深裂する[3]

花茎は暗褐色[2]は単生し、放射相称[5]直径18-24 mm[3]花弁の舷部は柄杓形[2]。5-6個の大きな萼片は白色で[5]、倒卵状楕円形で、長さ 9–12 mm、幅4.5–5.5 mm で細長く爪(柄)が明瞭に認めらる[3]。萼片よりを出す花弁の小さな蜜弁がある[5]。花期は3-6月[2]

果実袋果が集まった集合果で、上端に穴がある[5]

分布と生育環境

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山地の森林内にトクワカソウと共に生育するキタヤマオウレン、岐阜県飛騨地方にて

日本固有種で、本州(岐阜県、滋賀県、福井県、京都府の日本海側)に分布する[2]。岐阜県では、飛騨市打保、深洞湿原、天生湿原、万波ゴミ谷、大野郡白川村飯島、天生峠郡上市銚子ヶ峰白鳥町阿多岐、関市川浦谷、銚子滝、小ツゲ谷、板取谷[4]揖斐郡揖斐川町塚、坂内金糞岳山県市柿野西洞、円原、神崎ガッパ谷、本巣市根尾東谷、東河内などで確認されている[6]。福井県では、勝山市赤兎山取立山大師山今立郡池田町冠山金草岳大野市平家岳姥ヶ岳越前市権現山、日野山南条郡南越前町夜叉ヶ池敦賀市西方ヶ岳蠑螺が岳、三方山、岩籠山などで確認されている[6]。滋賀県では高島市寒風峠、鵜川越などで確認されている[6]。京都府では、京都府左京区鞍馬山南丹市美山町京都大学芦生研究林、綾部市阿須須伎神社、京丹後市などで確認されている[6]基準標本は岐阜県揖斐郡揖斐川町のもの[2]

山地から亜高山帯にかけてに内に生育する[2]

脚注

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  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2012年5月12日). “キタヤマオウレン”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年10月28日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i 清水 (2014)、101頁
  3. ^ a b c d e f 門田 (2011)、271頁
  4. ^ a b 門田 (2011)、269頁
  5. ^ a b c d e 清水 (2014)、100頁
  6. ^ a b c d 門田 (2011)、270頁

参考文献

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  • 門田裕一「本州産オウレン属(キンポウゲ科)の1新種,キタヤマオウレン」『植物研究雑誌』第86巻第5号、植物研究雑誌編集委員会、2011年10月、265-272頁、NAID 40019038061 
  • 清水建美、門田裕一、木原浩『高山に咲く花』(増補改訂新版)山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑8〉、2014年3月22日。ISBN 978-4635070300 

外部リンク

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