カルドアの成長法則
カルドアの成長法則(カルドアのせいちょうほうそく、英: Kaldor's growth laws)は、ニコラス・カルドアが提示した経済成長と産業構造の変化の関係についての3つの法則のこと[1][2]。
概要
編集ニコラス・カルドアは、世界の各国のデータを分析し、少なくともある所得水準に達するまでは、所得水準と製造業の生産に充てられる資源の割合の間に高い相関関係があることを発見した。農業に依存しながら経済発展を実現したのは、ニュージーランド、オーストラリア、カナダだけであった[1][2]。そして、これらの規則性に関する3つの法則を提示した。
- GDPの成長と製造業の成長は同時に起こる。経済全体の成長率に対して製造業の付加価値の成長率が高ければ高いほど、GDP 成長率が高くなる。つまり、 GDPに占める製造業の割合が高まると、高いGDP成長率を実現できることを示唆している[3]。
- 製造業の生産性の上昇は、製造業の付加価値の成長と同時に起こる。フェルドーンの法則としても知られる[4]。規模の経済によって製造業の規模が大きくなれば製造業の生産性が上昇する。製造業の規模が大きくなればなるほど、平均費用が低くなるという静学的な規模の経済、生産量の増加が資本蓄積や技術進歩を引き起こして生じる動学的な規模の経済の両方を指す。
- 非製造業の生産性の上昇は、製造業の成長と同時に起こる。直感的ではないが、非製造業では規模が縮小することによって生産性が上昇することを意味する。労働や資本などの資源が製造業に移動すると、非製造業に残った資源の限界生産性が上昇し、生産性が上昇する。
さらに考慮すべき点
編集トニー・サールウォールは、カルドアが考慮すべき点として3つの指摘をしている。
出典
編集- ^ a b Kaldor, N. (1967). Strategic Factors in Economic Development. New York: Ithaca
- ^ a b Thirlwall, A. (2003). Growth and Development: With Special Reference to Developing Economies (7th ed.). Palgrave. pp. 121–122. ISBN 978-0-333-98089-7
- ^ Thirlwall, A. P. (1983). “A Plain Man's Guide to Kaldor's Growth Laws”. Journal of Post Keynesian Economics 5 (3): 345–358. doi:10.1080/01603477.1983.11489375. JSTOR 4537750.
- ^ Verdoorn, P. J. (1949). “Fattori che regolano lo sviluppo della produttivita del lavoro” (イタリア語). L'Industria 1: 310.