カミガヤツリ(紙蚊帳吊、英: Cyperus papyrus)は、カヤツリグサ科カヤツリグサ属の多年生の草本。パピルス(papyrus)、パピルス草カミイ(紙葦)ともいい、茎の繊維がパピルスの原材料となる。

カミガヤツリ
カミガヤツリ(Cyperus papyrus
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
階級なし : ツユクサ類 commelinids
: イネ目 Poales
: カヤツリグサ科 Cyperaceae
: カヤツリグサ属 Cyperus
: カミガヤツリ C. papyrus
学名
Cyperus papyrus L.
和名
カミガヤツリ
カミイ
パピルス
英名
Papyrus sedge

分布

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原産地は南ヨーロッパシリアアフリカ[1]。現在でも、コンゴウガンダスーダンエチオピアシチリア島シリア地方のそれぞれ一部地域にてパピルスの自生が確認されている。

特徴

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水草で高さは2メートルほどになる[1]。アフリカ奥地の湖や河畔の浅い緩やかな流れの中に繁茂する。茎の断面は三角形で、最大6センチメートルほどの太さになる。通常、塊茎地下茎)によって増殖する。花期は4月[1]。緑がかった茶色の花房をつけ、ナッツのような形をした茶色い果実も形成する。

熱帯亜熱帯の地域に生育しており、乾燥した砂漠から湿度の高い熱帯雨林にまで広く適応することができる。通常、1年中気温が20-30度で、pHが6.0-8.5程度の環境に生育している。

歴史、人間とのかかわり

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エジプトには、洪水の際に上流からナイル川デルタ地帯に流れてきた株が自生していた。それを人手をかけて栽培し、記録のための媒体(パピルス紙)はもちろん、儀式祭礼用品や履き物のような生活雑貨、綱、舟の帆や舟(葦船)そのものの材料として、また若い葉や茎[注 1]や根を食料としても利用していたものである。そのためエジプトのキリスト教化や、中国からの製紙法の渡来により需要が少なくなるとともに、自然にナイル下流部からは消滅した。現在、エジプトにおいてパピルスは観賞用として栽培されている。

またカミガヤツリは土壌中の窒素リンを吸収する能力が高く、富栄養化したため池などの水質浄化に利用することができるとされている[2]

脚注

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注釈

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  1. ^ パピルスは糖分や油分を豊富に含み、古代エジプト人は柔らかい部位を生や加熱して食した[要出典]

出典

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  1. ^ a b c カミガヤツリ(パピルス)”. 名古屋市東山動植物園. 2025年2月6日閲覧。
  2. ^ 水田一枝、阿部薫、尾崎保夫「有用植物による汚水中の窒素・リンの浄化機能およびその遮光による影響」(PDF)『日本作物学会紀事(日本作物學會紀事)』第67巻第4号、日本作物学会、1998年、568-572頁、doi:10.1626/jcs.67.568NAID 110001726550 

外部リンク

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