結び目理論におけるカウフマン多項式(カウフマンたこうしき、: Kauffman polynomial)は、ルイス・カウフマン英語版に因む二変数結び目多項式英語版である[1]。カウフマン多項式はまず、絡み目英語版図式に対して

と定められる。ただし w(K) はこの絡み目図式 Kひねり数で、KL-多項式 L(K) は以下の性質によって絡み目図式上定義される二変数 a, z に関する多項式である:

ここに、s は結び目の弦 (strand) で sr および s は、同じ弦 s にそれぞれ右手および左手ひねりを、ライデマイスター I を用いて加えたものとする。

さらに L はカウフマンのスケイン関係式:

カウフマン多項式のスケイン関係式
カウフマン多項式のスケイン関係式

を満足しなければならない。上式において各項の図は、特定部分の円板の中だけが示された通り異なるが外側ではまったく一致するような絡み目図式たちの L-多項式 を表している。

カウフマンはこのような L が存在し、そのような L は無向絡み目の正則同位英語版不変量であることを示した。ここから容易に F が有向絡み目の全同位英語版不変量となることが従う。

ジョーンズ多項式はカウフマン多項式の、L-多項式としてブラケット多項式をとったときの、特別の場合である。カウフマン多項式は SO(N) に対するチャーン–シモンズのゲージ理論に関係する(ホンフリー多項式SU(N) に対するチャーン–シモンズゲージ理論に関係するのと同じ仕方で)[2]

参考文献

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  1. ^ Kauffman, Louis (1990). “An Invariant of Regular Isotopy”. Transactions of the American Mathematical Society 318 (2): 417-471. doi:10.1090/S0002-9947-1990-0958895-7. http://homepages.math.uic.edu/~kauffman/IRH.pdf 2016年9月2日閲覧。. 
  2. ^ Witten, Edward (1989). “Quantum field theory and the Jones polynomial”. Comm. Math. Phys. 121 (3): 351-399. doi:10.1007/BF01217730. https://projecteuclid.org/euclid.cmp/1104178138 2016年9月2日閲覧。. 

関連文献

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  • Kauffman, Louis (1987). On Knots. ISBN 0-691-08435-1 

外部リンク

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