オードヴィー
概要
編集酒を製造方法で、醸造酒・蒸留酒・混成酒に分類したときは、混成酒に含まれる[1]。
リキュールの一種であり、蒸留酒に香りづけしたものであるが、香草や薬草ではなく、果実を使うフルーツ・ブランデーである[2]。フルーツ・ブランデーの中にはコアントローのように果皮を用いたものもあるが、オードヴィーは果皮ではなく、果肉を用いたもので、原料にブドウ以外の果実を使った蒸留酒である[2]。
リンゴで作るカルヴァドス、洋ナシで作るポワール・ウィリアムス、サクランボで作るキルシュ、キイチゴから作るフランボワーズなどが含まれる[2]。日本の梅酒も本カテゴリーに含まれる[2]。
名称と歴史
編集「オードヴィー」を日本語に直訳すると「命の水」の意になる[3]。この語は、ラテン語の「アクア・ヴィテ(ラテン語: aqua-vitae)」から来ており、同様にラテン語の「アクア・ヴィテ」からは、ゲール語で「ウィシュケ・ビャハ(uisge beatha)」となってウイスキーの語源となったり、ロシア語で「ジーズネンナヤ・ヴァダー」となってウォッカの語源ともなっている[3]。
13世紀から14世紀のスペインでは錬金術師がワインを蒸留したものを「不死の霊酒」として売り出したところ、ペストの予防薬「オードヴィー」と呼ばれるようになり、ヨーロッパ各地で評判となった[3]。
フランスでオードヴィーが日常的に飲まれるようになったのは、17世紀末ごろからである[3]。
オー・ド・ヴィー・ド・ヴァン
編集フレンチブランデー(フランス産ブランデー)のうち、コニャック、アルマニャック以外のものをオー・ド・ヴィー・ド・ヴァン(eau-de-vie de vin)と呼んで区別している[4]。
オー・ド・ヴィー・ド・マール
編集オー・ド・ヴィー・ド・マール(eau-de-vie de marc)、または単にマールは、ワイン醸造後にできる発酵後のブドウの残りかす(ポマース)を蒸留してつくったブランデー[4]。
出典
編集- ^ 君嶋哲至監修「ワインとはどんなお酒?」『ワイン完全ガイド』池田書店、2009年、12頁。ISBN 978-4262129310。
- ^ a b c d 広山均「リキュールの種類」『フレーバー :おいしさを演出する香りの秘密』フレグランスジャーナル社、2005年、222-223頁。ISBN 978-4894790865。
- ^ a b c d 高田裕一「命の水 蒸留酒は錬金術師がもたらした「命の水」」『本当の酒 「差しつ差されつ」日本酒文化を世界へ』長崎出版、2008年。ISBN 978-4860953041。
- ^ a b 「ブランデー」『カクテルの図鑑』マイナビ、2013年、183頁。ISBN 978-4839946234。