オルトギ酸トリメチル(オルト ギさんトリメチル、: Trimethyl orthoformate)は、最も単純なオルトエステルである。有機合成化学において、アルデヒド保護基を導入する際の試薬として使用される。アルデヒドとオルトギ酸トリメチルとの反応により、アセタールが生じる。一般に、塩酸を用いて脱保護することができる。

オルトギ酸トリメチル
Trimethyl orthoformate[1]
Structural formula
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識別情報
CAS登録番号 149-73-5 チェック
PubChem 9005
ChemSpider 8655
特性
化学式 C4H10O3
モル質量 106.12 g mol−1
外観 無色の液体
匂い 刺激臭[2]
密度 0.97 g/mL
融点

-53 °C

沸点

101–102 °C

有機溶媒への溶解度 エーテル、アルコール、ベンゼンに可溶[2]
危険性
Sフレーズ S9 S16 S26
引火点 15℃
発火点 255℃[2]
関連する物質
関連する異性体 C4H10O3を参照
関連物質 オルトギ酸トリエチル
オルト酢酸トリメチル
オルト酪酸トリメチル
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

工業的には、シアン化水素メタノールから製造される[3]

オルトギ酸トリメチルはメトキシメチレン基や複素環式化合物を作る際に有用な構成要素となる。RNH2からR-NH-CHOを作る際など、求核性の基材にホルミル基を導入できる。農業用殺菌剤アゾキシストロビンや、フロキサシン系の医療用抗菌剤をはじめとする医薬品の中間体の製造にも活用されている[3]

消防法に定める第4類危険物 第1石油類に該当する[2]

脚注

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  1. ^ Trimethyl orthoformate at Sigma-Aldrich
  2. ^ a b c d オルトギ酸トリメチル東京化成工業
  3. ^ a b Ashford's Dictionary of Industrial Chemicals, Third edition, 2011, ISBN 978-0-9522674-3-0, page 9388