オルチャータ
オルチャータ(スペイン語:horchata、orchata、バレンシア語:orxata)とは、キハマスゲ(Cyperus esculentus)の地下茎の汁もしくは代用として米などを主原料として、砂糖や蜂蜜、スパイス等を原料とする飲料。
概要
編集オルチャータの起源は大麦を使った飲料であり、名前もラテン語で大麦を意味するホルデウム(hordeum)に由来している。大麦を使った飲料はヨーロッパ各国で独自に発展し、イギリスではアーモンドを使用し、カクテルなどに用いるオージェイト・シロップ(英:Orgeat)、スペインではキハマスゲ(ショクヨウガヤツリ)を使用するオルチャータ・デ・チュファ(horchata de chufa)などに変化した。それらの中で現在でも大麦を主原料としているものは無い。
キハマスゲの地下茎(チュファ)の絞り汁に水、砂糖もしくは蜂蜜を加えて作られるのがオルチャータ・デ・チュファである。通常スペインでオルチャータと呼ぶ場合はチュファを原料とするものを指す。
乳白色もしくはわずかに黄色がかった乳白色で、牛乳のようなまろやかな味わいと独特の香ばしい風味があり、好みによってアーモンドの粉末やシナモンのようなスパイスを加える飲み方がある。
従来は販売の際にその場でチュファを絞っていたが、現在ではあらかじめ混ぜたものを冷蔵し、ポットや撹拌機能付きのディスペンサーから注ぐのが主流となっている。さらに家庭・業務用に水で戻す粉末タイプや、濃縮タイプも販売されている。
飲用
編集オルチャータ発祥の地であるスペインでは一般的な飲料であり、スペイン語圏にも飲料として普及している。チュファからオルチャータを作る技法自体は、イベリア半島にイスラム王朝が成立していた8~13世紀に伝播してきたと考えられている。
特にバレンシア地方はチュファの産地であり、名物としてオルチャータ専門の喫茶店も見られる。氷を入れ冷やして飲むため、夏には欠かせない定番の飲料となっている。
「ファルトン」(fartón)という甘い菓子パンをオルチャータに浸して食べるほか、凍らせてシャーベットにしたり、スープのような料理にも用いられる。
メキシコでは一般的な飲料ではあるが、チュファが手に入りにくく価格が高いため、米を主原料としメロンの種やアーモンドの粉末などによって風味を添加している。また、アメリカ合衆国でもメキシコの食文化の流入に伴いオルチャータが徐々に普及している。
その他では、エルサルバドル、ニカラグア、ホンジュラス、コスタリカ、キューバなどで、それぞれ現地のハーブや種子(アーモンド、アマの種子など)、牛乳なども用いたオルチャータが飲まれている。