コルサCORSA)は、ドイツ自動車メーカーオペルにより製造・販売されるBセグメント級の乗用車である[1][2][3]。オペルの他、市場に応じてゼネラルモーターズ傘下のボクスホールシボレーホールデン等のブランドで販売され、スペインサラゴサブラジルメキシコ南アフリカインド等で製造・販売される。

最盛期の1998年には910,839台を販売し、世界で最も販売された自動車となった。2007年時点、世界で累計1,800万台以上が販売された[4]

2代目と3代目は、日本ではヤナセによりオペル・ヴィータVITA)として販売された。

3代目までは、デザイナー児玉英雄デザインを担当していた。

ゼネラルモーターズは2017年3月6日にオペルとボクスホールのブランドをグループPSAへ売却し、6代目以降はプジョーシトロエンプラットフォームを用いる。

初代 コルサA(S83型、1982年 - 1993年)

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オペル・コルサ(初代)
コルサA(S83型)
 
3ドアハッチバック
 
 
5ドアハッチバック
概要
製造国   スペイン
  ユーゴスラビア
販売期間 1982–1993年
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 3/5ドアハッチバック
2/4ドアセダン
駆動方式 FF
プラットフォーム GM4200
パワートレイン
エンジン ガソリン:
1.0/1.2/1.3/1.4/1.6L I4
ディーゼル:
1.5L I4
変速機 4/5MT
車両寸法
ホイールベース 2,345mm
全長 3,620 - 3,955mm
全幅 1,530 - 1,540mm
全高 1,360 - 1,365mm
車両重量 735 - 865kg
その他
姉妹車 ボクスホール・ノヴァ (イギリス)
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1982年9月に発売。前輪駆動方式を採用しており、小型車が販売の34% - 43%を占めていたフランス市場、イタリア市場、スペイン市場に投入された。他の欧州市場への投入は1983年3月に予定された。ゼネラルモーターズ内におけるコードはS-car。S-carというコード名は、元々1970年代初頭に廃止されたBセグメント車用に採用された物で、本車は事実上の後継車という立ち位置であった。競合車はフィアット・127フォルクスワーゲン・ポロフォード・フィエスタとなる。生産はスペインにて新設されたサラゴサ工場において生産された。

サラゴサにおいて初めて生産されたコルサは、3ドアハッチバックと2ドアセダンであった。1984年に4ドアと5ドアも追加された。一部市場ではバンも販売された。欧州市場では、セダンは1985年5月までコルサTRと呼称され、ハッチバックの特徴であるホイールアーチ・ブリスターは廃止され、ハッチバックの一体型バンパー/4バー・グリルを代替する、伝統的なエッグクレートグリルが採用される等、変更が加えられた。セダンは欧州市場の大半で販売は好調では無かったが、スペイン市場やポルトガル市場では人気を博した。セダンは最初の半年間、フランス市場におけるコルサの販売台数の10%に過ぎなかったが、スペイン市場ではコルサの販売台数の半数を占めた。

日本は東邦モーターズが少数を輸入し、『オペル 100i/130GT』の名称で販売した。

1990年にドイツなどでトムとジェリーがイメージキャラクターを務めた。

2代目 コルサB(S93型、1993年 - 2016年)

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オペル・コルサ(2代目)
コルサB(S93型)
 
概要
別名 オペル・ヴィータ (日本)
ボクスホール・コルサ (イギリス)
ホールデン・バリーナ (オーストラリア)
シボレー・コルサ (ラテンアメリカ)
シボレー・シェビー (メキシコ)
製造国   スペイン
  ドイツ
  コロンビア
  メキシコ
  アルゼンチン
  ブラジル
  ベネズエラ
  エジプト
  インド
  タイ
  エクアドル
  南アフリカ共和国
販売期間 1993 - 2016年
デザイン 児玉英雄
ボディ
乗車定員 2/5名
ボディタイプ 3/5ドアハッチバック
4ドアセダン
5ドアワゴン
2ドアピックアップ
パワートレイン
エンジン ガソリン:
1.0L I3
1.2/1.4/1.6 L I4
ディーゼル:
1.5/1.7 L I4
変速機 4MT/AT
車両寸法
ホイールベース 2,445mm
2,480mm (ピックアップトラック)
全長 3,730 mm (ハッチバック)
4,025mm (セダン/ワゴン)
4,155mm (ピックアップトラック)
全幅 1,610 mm
全高 1,440 mm
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オペル・欧州GM在籍中の日本人カーデザイナー、児玉英雄がデザインを担当し、欧州で1993年に発売、日本では1995 - 2000[5]年モデルをヤナセが輸入して販売した。オーストラリアニュージーランドではバリナの名で、日本ではすでにトヨタコルサの車名を登録して使用しており、『オペル・ヴィータ』[6]の名で販売した。

販売当初の車両本体価格は150万円台からで、左ハンドル仕様のみだったが、翌年右ハンドルも追加された。可愛いベイビーのメロディに乗せて「かわいいVITA♪ハイハイ」と歌う親しみやすいテレビCMと丸みを帯びたデザインに加え、デュアルエアバッグABSなど安全装備が充実し、輸入車としては安価なこともあり、初年分はすぐに完売した。軽自動車からの乗り換えも発生し、主に海外ブランド車を扱うヤナセが、軽を下取りして中古車として扱った。2000年に放送されたTBSドラマ「ビューティフルライフ」で常盤貴子が演じるヒロインの愛車として赤いヴィータが劇用車となったことから人気が再燃し、品薄になった。

3代目 コルサC(X01型、2000年 - 2012年)

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オペル・コルサ(3代目)
コルサC(X01型)
 
概要
別名 オペル・ヴィータ (日本)
ボクスホール・コルサ (イギリス)
ホールデン・バリーナ (オーストラリア)
シボレー・コルサ (ラテンアメリカ)
製造国   スペイン
  ドイツ
  アルゼンチン
  ブラジル
  エジプト
  エクアドル
  南アフリカ共和国
販売期間 2000 - 2012年
ボディ
乗車定員 2/5名
ボディタイプ 3/5ドアハッチバック
4ドアセダン
5ドアワゴン
2ドアピックアップ
パワートレイン
エンジン ガソリン:
1.0L I3
1.2/1.4/1.8L I4
ディーゼル:
1.3/1.7L I4
変速機 5MT
4AT
5AMT
車両寸法
ホイールベース 2,490mm
全長 3,815-4,180mm
全幅 1,645mm
全高 1,440mm
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2001年に欧州で発売し、日本は2001 - 2003年モデルを、GMとヤナセが2代目同様『オペル・ヴィータ』として販売。児玉がデザインに携わった最後のコルサでもある。

4代目 コルサD(S07型、2006年 - 2014年)

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オペル・コルサ(4代目)
コルサD(S07型)
 
前期型 (3ドア)
 
後期型 (3ドア)
概要
別名 ボクスホール・コルサ (イギリス)
製造国   ドイツ
  スペイン
販売期間 2006-2014年
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 3/5ドアハッチバック
プラットフォーム SCCS
パワートレイン
エンジン ガソリン:
1.0L I3
1.2/1.4/1.6L I4
ディーゼル:
1.3/1.7L I4
変速機 5/6MT
4AT AF13
6AMT イージートロニック
車両寸法
ホイールベース 2,510mm
全長 4,000mm
全幅 1,735mm
全高 1,490mm
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2006年5月に欧州で発売した。フィアット・グランデプントが供用する「GM ガンマプラットフォーム」を採用した。

日本は2006年5月にオペルが撤退し、本モデルから正規輸入販売されていない。

5代目 コルサE(X15型、2014年 - 2019年)

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オペル・コルサ(5代目)
コルサE(X15型)
 
コルサ E(フロント)
 
コルサ E(リア)
概要
別名 ボクスホール・コルサ (イギリス)
製造国   ドイツ
  スペイン
販売期間 2014-2019年
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 3/5ドアハッチバック
駆動方式 前輪駆動
プラットフォーム SCCS
パワートレイン
エンジン ガソリン:
1.0L I3
1.2/1.4/1.6L I4
ディーゼル:
1.3L I4
変速機 5MT
6AT
5AMT
車両寸法
ホイールベース 2,510mm
全長 4,020mm
全幅 1,735mm
全高 1,480mm
車両重量 1,120 - 1,237kg
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2014年10月に、パリモーターショーで5代目モデルを初公開[7]した。先代同様に3ドアと5ドアが設定され、英国はボクスホールブランドで販売する。

先代を元に再開発したプラットフォームに、新開発の1.0Lターボに加えて1.2L、1.4L、1.4Lターボ、1.3Lディーゼルターボを搭載する。

2015年に、1.6Lターボエンジンを搭載したオペルコルサOPC(ボクスホールコルサVXR)[8]を発売した。最高出力は207PS、最大トルクは245Nm、オーバーブースト機能でトルクを280Nmに引き上げることが可能で、0 - 100km/h加速は6.8秒、最高速度は230km/hである。

6代目 コルサF(P2JO型2019年 - 現在)

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オペル・コルサ(6代目)
コルサF(P2JO型)
 
コルサ F(フロント、マイナーチェンジ後)
 
コルサ F(リア、マイナーチェンジ後)
概要
別名 ボクスホール・コルサ (イギリス)
製造国   スペイン
販売期間 2019-年
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 5ドアハッチバック
駆動方式 前輪駆動
プラットフォーム PSA EMP1(CMP)
パワートレイン
エンジン ガソリン:1.2 I3
ディーゼル:
1.5 I4
モーター 永久磁石同期電動機(コルサe)
変速機 5MT PSA MA
6MT PSA MB6
8AT アイシンAWF8F35英語版
1速固定ギア比(コルサe)
車両寸法
ホイールベース 2,538mm
全長 4,060mm
全幅 1,765mm
全高 1,435mm
車両重量 1055-1233kg(コルサ)
1530kg(コルサe)
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2019年5月23日に電気自動車の「コルサe」[9]、6月26日にガソリン・ディーゼル車の「コルサ」が発表され[10]、同年に開催されたフランクフルトモーターショー2019で世界初公開した[11]。コルサ Fは当初GMのプラットフォームを用いて開発されていたが、開発中にオペルがグループPSA傘下へ異動したことにより、途中でPSA EMP1プラットフォームに切り替え、約2年の期間で仕上げられた。

パワートレインはガソリン車が1.2Lと1.2Lターボ、ディーゼル車が1.5L BlueHDiで、最高出力はガソリン車が55 - 96kW, 75 - 130hp、ディーゼル車が75kW,102hpである。e-CMPをプラットフォームに採用したBEVモデルの『コルサe』は、50kWhのバッテリーを搭載し、最高出力は100kw, 136hp、1回の充電で330km(WLTPサイクル)の走行が可能で、0 - 100km/h加速は8.1秒である。 安全機能は、自動防眩機能付きLEDヘッドライト「IntelliLux LED matrix light」、自動ブレーキ、車線維持機能、自動駐車支援機能などを装備する [11]

コンボライフグランドランドとともに、2021年の日本市場再上陸時に発売予定と2020年2月に発表[12]された。トヨタ自動車から日本でのコルサの商標権がGroupe PSA Japan(現:Stellantisジャパン)に譲渡されて商標権の問題が解決された[13]こともあり、他国向けと同じ名称のオペル・コルサとして日本へ導入される見込み。

英国では、先代同様ボクスホールブランドで販売する。

2023年にマイナーチェンジが行われ、フロントデザインに最新のスタイルデザインである「バイザー」が導入されたり、48Vマイルドハイブリッドシステム搭載モデルが設定されたほか、BEVモデルの名称が『コルサe』から『コルサ エレクトリック』に変更された[14]

関連項目

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脚注

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  1. ^ Vauxhall Corsa (2014) in pictures: GM’s new supermini grows up | CAR Magazine”. www.carmagazine.co.uk. 2024年9月5日閲覧。
  2. ^ New Vauxhall Corsa unveiled at Paris Motor Show” (英語). Auto Express. 2024年9月5日閲覧。
  3. ^ Vauxhall Corsa review – the best Corsa yet” (英語). Carbuyer. 2024年9月5日閲覧。
  4. ^ Opel Corsa Celebrates 25th Birthday - Huliq” (英語). huliq.com (2009年8月17日). 2024年9月5日閲覧。
  5. ^ Opel. Opel In South Africa”. Car-cat.com. 2010年7月16日閲覧。
  6. ^ ヴィータはラテン語で「人生」の意味。
  7. ^ “オペル コルサ 新型、発表…欧州Bセグで存在感発揮”. レスポンス. (2014年10月6日). https://response.jp/article/2014/10/06/234197.html 
  8. ^ オペル コルサ 新型に「OPC」…日常性能とサーキット性能を両立”. response.. 2020年2月20日閲覧。
  9. ^ "Sixth-Generation Opel Corsa Goes Electric" (Press release) (英語). Stellantis. 23 May 2019. 2021年12月30日閲覧
  10. ^ "Sporty, Stylish, Economical: New Opel Corsa Orderable From July 1 in Germany" (Press release) (英語). Stellantis. 26 June 2019. 2021年12月30日閲覧
  11. ^ a b 櫛谷さえ子 (2019年8月22日). “オペル、EVやPHEVなど3車種を世界初公開”. 日経XTECH (日経BP). https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/event/18/00078/00002/ 2020年2月5日閲覧。 
  12. ^ “オペル、2021年後半に日本市場に再参入。都内で発表会を開催”. Car Watch. (2020年2月18日). https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1235871.html 2020年12月30日閲覧。 
  13. ^ “トヨタがついに商標を譲渡。オペルがやっと本名「コルサ」を名乗れる!”. ドライバーWeb (八重洲出版). (2020年10月28日). https://driver-web.jp/articles/detail/38282/ 2021年10月14日閲覧。 
  14. ^ “オペル・コルサ 改良で内外装の高級感アップ 48Vマイルドハイブリッドも初導入へ”. AUTOCAR japan (株式会社ACJマガジンズ). (2023年5月25日). https://www.autocar.jp/post/935318 2024年9月18日閲覧。 

外部リンク

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