オシリカジリムシ
オシリカジリムシ(Choreftria shiranui Uyeno, 2022)は、キクロプス目エルガシルス亜目オシリカジリムシ科オシリカジリムシ属に属するカイアシ類。
オシリカジリムシ | |||||||||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Choreftria shiranui Uyeno, 2022 | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
オシリカジリムシ |
発見
編集2021年5月、是枝
上野は、カイアシ類の現存約70の科のいずれにも分類できないことを証明すべく一つひとつ確認していった[5]。2022年に発表された論文で新属新種のChoreftria shiranui (コレフトリア・シラヌイ) として記載され、標準和名オシリカジリムシと命名された。科についても本種のみのためにオシリカジリムシ科(Choreftriidae Uyeno, 2022)が新設された。原記載では1科1属1種として分類されている[1]。科および属名はダンサー(踊り子)を意味するギリシャ語に由来し、種小名はタイプ標本の産地・八代海の別称である不知火海に由来する。和名はNHKの音楽番組『みんなのうた』で放送された楽曲「おしりかじり虫」に登場するキャラクターに由来し、命名にあたって番組制作を行ったNHK、キャラクター作者・うるまでるび、および「おしりかじり虫(オシリカジリムシ)」を商標登録しているNHKエンタープライズ側と事前に相談を行った[4]。
うるまでるびは、NHKの取材に対し「僕らが作った架空のキャラクターが本物になったと思い、びっくりしました。学術的な名前として世の中に残るのはうれしいです」と答えている[3]。上野は朝日新聞の取材で「科が新たに設立されるのはとても珍しく、甲殻類の進化の歴史を解明する上でも意義が大きい」と述べている[5]。
形態
編集メスの1個体が知られているのみであり、その個体について述べる。体長1.3ミリメートルで茶色がかった半透明の殻に覆われる[5]。体はケンミジンコ型で、4節からなる前体部と6節からなる尾部で構成される。生殖複合節と第1腹節ははっきりと分離している。第1触角は7節、第2触角は4節からなる。4対の胸脚は二肢型でよく発達する。3節からなる尾肢を持つ[1]。
本種を特徴付ける形質は次の3つである[1]。
このうち、第二触角や第二小顎の形態はTeredicola-groupとしてまとめられる3属(Leptinogaster、Pholadicola、Teredicola)と類似するが、大顎の形態はClausiidae、Nereicolidae、Gadilicolidaeなどの科と類似する。3つの特徴を併せ持つ科が存在しなかったため、新しい科に分類されることとなった[1]。
また、本種に類似する上記のようなカイアシ類は多毛類や軟体動物を宿主とするが、本種は魚類を宿主とする。これは寄生性カイアシ類においてしばしば見られる、無脊椎動物から魚類への宿主転換の一事例であると考えられる[1]。
人との関わり
編集出水市は2022年、福ノ江海岸(同市汐見町)に案内看板を設置した。7月14日に上野大輔を招いて除幕式を行った。ふくのえこども園(福ノ江町)の園児らが、市内在住のミュージシャン・シーゲル小野作詞作曲のオリジナルソングを披露した。案内看板は、採取地点を見渡せる琴平神社前(汐見町)にある[6]。
出典
編集参考文献
編集- Daisuke Uyeno (2022-01-24). “Choreftria shiranui, a new genus and species of cyclopoid copepod (Crustacea: Copepoda) associated with the worm goby from southern Japan, with the proposal of a new family”. Systematic Parasitology 99 (1): 23-30. doi:10.1007/s11230-021-10013-5.
- 町田正聡 (2022年1月26日). “その名も「オシリカジリムシ」 尻びれにかじりつく新種の甲殻類発見”. 朝日新聞. 2022年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月20日閲覧。
- “「オシリカジリムシ」と命名 新種の甲殻類 鹿児島の干潟で発見”. NHK (2022年1月25日). 2022年5月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月24日閲覧。[リンク切れ]
- “八代海の泥ハゼ、チワラスボの"オシリ"をカジる新種の甲殻類”. 鹿児島大学 (2022年2月7日). 2022年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月20日閲覧。
- “オシリカジリムシ(新種)ここで見つかった 現地に看板、命名した研究者招き除幕式”. 南日本新聞 (2022年7月14日). 2022年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月24日閲覧。[リンク切れ]