エロマンガ・スタディーズ
『エロマンガ・スタディーズ 「快楽装置」としての漫画入門』(エロマンガスタディーズ かいらくそうちとしてのまんがにゅうもん)は、永山薫が執筆した2006年の書籍。2014年に同書に「性と政治」に関する項目が加えられた増補文庫版が発売された[2][3]。稀見理都が増補版の監修を行っている[4]。
エロマンガ・スタディーズ 「快楽装置」としての漫画入門 | ||
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著者 | 永山薫[1] | |
イラスト |
こじままさき 新堂エル(増補版) | |
発行日 |
2006年11月1日 2014年4月9日(増補版) | |
発行元 |
イースト・プレス 筑摩書房(増補版) | |
ジャンル | 成人向け漫画 | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
ページ数 |
255 384(増補版) | |
コード |
ISBN 9784872577327 ISBN 9784480431691(増補版) | |
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概要
編集本書はエロティックな要素が作品の主要なテーマに置かれている作品を「エロ漫画」と定義し、そのジャンルに対して投げかけられていると著者が主張する偏見について、合理性がないと述べている。一方で、著者自身もその偏見から必ずしも逃れられていないと述懐している。「エロ漫画」を考察することは価値のあることだと述べ、その特徴の探求を試みている。エロ漫画の歴史を考察する試みの中で、リチャード・ドーキンスのミーム理論を思考のベースに置いている[5]。
エロ漫画で描写される劇画、美少女系、ロリータ・コンプレックス、巨乳、妹系の近親相姦、凌辱、純愛、SM、性的少数者、ジェンダーなどが章立てられて考察されている。
翻訳版
編集2020年1月に台灣東販から、『成人漫畫研究史』のタイトルで中国語版が発売された。また、2020年11月にアムステルダム大学出版局から、杉本バウエンス・ジェシカとパトリック・ガルブレイスによる翻訳で本書の英語版『Erotic Comics in Japan: An Introduction to Eromanga』が発売されている[7]。
評価と影響
編集本書は、エロ漫画というジャンルの全体像を知るための「格好のガイド」と評されている[8]。ダ・ヴィンチニュースの佐藤圭亮は、本書を米沢嘉博の『戦後エロマンガ史』(青林工藝舎)と並んで「エロマンガ研究」に取り組んできた先行研究書として位置付けた[9]。
『エロマンガ表現史』を執筆した稀見理都は、『エロマンガ・スタディーズ』に触れた経験が、自身がエロ漫画を本格的に研究するきっかけになったと述べている[10]。
本書は吉村和真とジャクリーヌ・ベルントが編集した、人文書院の『マンガ・スタディーズ ブックガイドシリーズ 基本の30冊』でリストアップされた30冊の内の1冊に挙げられている[11]。
参考文献
編集- ^ “40代50代男性がもう一度読みたい「お色気マンガ」”. 光文社 (2015年12月11日). 2020年12月6日閲覧。
- ^ “エロマンガの歴史をひもとく──唯一無二の名入門書、増補版発売”. KAI-YOU (2014年4月10日). 2020年12月6日閲覧。
- ^ “日本が生んだエロマンガの可能性とは? 月100冊読んできた評論家が語る”. KAI-YOU (2014年6月27日). 2020年12月6日閲覧。
- ^ “乳首残像、触手、アヘ顔…特殊表現はいつ生まれた? 『エロマンガ表現史』刊行記念トークイベント”. 太田出版ケトルニュース (2017年10月28日). 2020年12月6日閲覧。
- ^ 小島陸秀夫 (2020年4月12日). “【成人漫畫研究史】由漫畫史到 NTR 禁忌慾望載體的文本研究”. 香港01. 2020年12月6日閲覧。
- ^ 本書帯
- ^ “Erotic Comics in Japan Amsterdam University Press”. アムステルダム大学出版局. 2020年12月6日閲覧。
- ^ 吉村和真、ジャクリーヌ・ベルント 編『マンガ・スタディーズ』人文書院、2020年、156頁。ISBN 9784409001134。
- ^ 佐藤圭亮 (2018年1月3日). “エロマンガのあの表現はいつ誕生した? 乳首残像、触手、くぱぁにらめぇ…「おっぱいの歴史」を探る!”. ダ・ヴィンチニュース. 2020年12月6日閲覧。
- ^ 稀見理都『エロマンガ表現史』太田出版、2017年、379頁。ISBN 9784778315924。
- ^ “マンガ・スタディーズ”. 人文書院. 2020年12月6日閲覧。