散逸
(エネルギー散逸から転送)
散逸(さんいつ)とは、物理学においては運動などによるエネルギーが、抵抗力によって熱エネルギーに不可逆的に変化する過程をいい、熱力学においては自由エネルギーの減少に相当する。
散逸関数
編集散逸によるエネルギーの時間当たりの減少量を散逸関数という。例えば摩擦を伴う運動に関しては、速度を v、動摩擦係数を c とすると、エネルギー減少速度(dE/dt)は1/2 cv2 に比例するため、これが散逸関数となる。 電流に関しては、電流を I、抵抗を R とすると、散逸関数は RI2 となる(ジュールの法則)。
散逸関数は熱力学にも応用できる。外力とその結果の変位・流れとの間に線形応答が成り立つときは、変分原理によって相反関係が導かれる。流れの場合、エントロピーの生成速度は散逸関数を絶対温度で割ったものに等しい。力が周期的な場合は、単位時間あたりのエネルギー散逸(パワーロス)は複素感受率で表される。
散逸構造
編集エネルギー散逸
編集線形応答理論によると、周期的な外力 が働いている時のエネルギー散逸を複素感受率で表せる[1][2]。
応答する物理量Aが変位を表すものであるときは、外力がする仕事は
単位時間あたりの仕事は、複素感受率を導入すると次のように書ける。
応答する物理量Aが流れを表すものの場合は、仕事率が なので