エドゥアルド・トロヤノフスキー

エドゥアルド・トロヤノフスキー英語: Eduard Troyanovsky, 1980年5月30日 - )は、ロシアの元キックボクサー。プロボクサーオムスク出身。元IBF世界スーパーライト級王者。

エドゥアルド・トロヤノフスキー
基本情報
本名 エドゥアルド・ヴァレンティノヴィッチ・トロヤノフスキー
通称 The Eagle(イーグル、鷲)
Troya
階級 スーパーライト級
身長 175cm
リーチ 175cm
国籍 ロシアの旗 ロシア
誕生日 (1980-05-30) 1980年5月30日(44歳)
出身地 ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦
ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国オムスク
スタイル オーソドックス
プロボクシング戦績
総試合数 29
勝ち 27
KO勝ち 24
敗け 2
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ファイトスタイル

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トロヤノフスキーは元々はキックボクサーであった[1][2]ウニヴェルズムに所属当時、ユルゲン・ブリーマーフェリックス・シュトルムのスパーリングパートナーとして何度も拳を合わせ強打を磨いた。年齢を重ねても強打を発揮している。2012年に帰国して2年ぶりに復帰した時に強打が本格的に開花した遅咲きの選手だった。歴戦の相手(元世界ランカーや元世界王者)に臆することなくプレッシャーをかけてガードを高くして積極的に前進し左フックで距離を取ってから右アッパーで動きを止めてフックの乱れ打ちのコンビネーションを得意としている。希にではあるが強烈な左アッパーがカウンターの形で飛んでくる。フィニッシュになるのは右フック(時折右アッパーになることも)で相手の動きが止まってから飛んでくることが多く、棄権させたり戦意を奪うことが多い。また強打の選手に多いディフェンスの不安がなく、間一髪でかわしたり攻撃しながらの防御力が特に優れている。強打で怪我する割合が低くリカバリー力が高い評価がある。早い段階で倒すことが多く、速攻型のイメージが強かったがセサール・レネ・クエンカとの2度に渡る対戦では相手のアップテンポなアウトボクシングにスタミナ不足が噂されていたが、左ストレートを軸にして慎重に崩すなど戦術も幅広く熟練の技と言える評価がある。

来歴

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2009年11月28日、ハレ・アン・デア・ザーレのKSCハレ08e.V.でデビュー戦を行い、4回判定勝ちを収めた。

2010年12月14日、シュヴェリーンのスポーツ・アンド・コングレス・センターでマット・ゼガンとWBOヨーロピアンライト級王座決定戦を行い、3回2分59秒TKO勝ちを収め王座獲得に成功した。

2012年9月18日、ドイツのプロモーターウニヴェルズムの崩壊でホームにしていたドイツからロシアに帰国。一旦ブランクを作り2年振りに復帰。モスクワのワルシャフカ・スカイでPABAライト級王座決定戦をジョセフ・ボン・ミニョサと行い、ミニョサの7回終了時棄権により王座獲得に成功した。

2012年12月17日、モスクワ州クラスノゴルスク市ミャキニノのクロッカス・シティ・ホールでワルテル・エストラーダと対戦し、2回2分58秒KO勝ちを収めPABA王座の初防衛に成功した。

2013年3月8日、モスクワのクリリヤ・ソヴェトフでオーレン・パディージャと対戦し、2回45秒TKO勝ちを収めPABA王座の2度目の防衛に成功した。

2013年5月17日、モスクワ州クラスノゴルスクミャキニノのクロッカス・シティ・ホールでルイス・ザンブラーノと対戦しPABA王座の3度目の防衛を目指す予定だったが、トロヤノフスキーに前日計量で体重超過があり王座を剥奪された為ザンブラーノが勝てば新王者となる条件で試合は行われ、トロヤノフスキーが2回KO勝ちを収めた為、王座は空位となった。

2014年3月20日、モスクワでWBA世界ライト級王者リカルド・アブリルと対戦する予定だったが、アブリルの足首の負傷が悪化した為、試合は延期となった。

2014年4月25日、モスクワでWBA世界ライト級王者リカルド・アブリルと対戦する予定だったが、トロヤノフスキーが右手中指を骨折したため再度延期となった[3]

2014年6月7日、モスクワのダイナモ・スポーツ・パレスでWBA世界ライト級王者リカルド・アブリルと対戦する予定だったがまたも延期となり、試合は中止となった。

2014年10月24日、モスクワのルジニキ・スタジアムで元WBA世界ライト級王者ホセ・アルファロとWBAインターナショナルライト級王座決定戦を行い、5回32秒TKO勝ちを収め王座獲得に成功した。

2014年11月28日、モスクワのルジニキ・スタジアムでホセ・アグスティン・フェリアとWBAインターコンチネンタルスーパーライト級王座決定戦を行い、初回2分52秒KO勝ちを収め王座獲得に成功した。

2015年4月10日、モスクワルジニキ・スタジアムでアイク・シャクナザリャンとIBO世界スーパーライト級王座決定戦を行い、8回57秒KO勝ちを収め王座獲得に成功した。

2015年11月4日、カザンタトネフト・アリーナでIBF世界スーパーライト級王者のセサール・レネ・クエンカと対戦し、6回2分44秒TKO勝ちを収めIBO王座の初防衛に成功、IBF王座の獲得にも成功した。この勝利でクエンカの無敗記録を48で止めた[4][5][6]

2016年4月8日、モスクワのクリリヤ・ソヴェトフで元IBF世界スーパーライト級王者でIBF世界スーパーライト級6位のセサール・レネ・クエンカと6ヵ月ぶりに再戦し、7回2分14秒TKO勝ちを収めIBF王座の初防衛に成功、IBO王座の2度目の防衛にも成功した[7][8]

2016年9月9日、モスクワのクリリヤ・ソヴェトフで元OPBF東洋太平洋スーパーライト級王者でIBF世界スーパーライト級1位の小原佳太と対戦し、2回1分35秒でTKO勝ちを収めIBF王座の2度目の防衛に成功、IBO王座の3度目の防衛にも成功した[9][10][11]

2016年12月3日、モスクワのメガスポルトでIBF世界スーパーライト級15位のジュリアス・インドンゴと対戦し、スーパーライト級世界戦最短KO記録となるプロ初黒星となる初回40秒KO負けを喫しIBF王座の3度目の防衛に失敗、IBO王座の4度目の防衛にも失敗し王座から陥落した[12][13]

2017年7月1日、モスクワでミケーレ・ディ・ロッコとスーパーライト級10回戦を行い、4回2分18秒KO勝ちを収め再起した[14][15]

2017年11月27日、モスクワでWBA世界スーパーライト級3位のカルロス・マヌエル・ポルティージョとWBA世界スーパーライト級挑戦者決定戦を行い、初回2分13秒KO勝ちを収めWBA王座への挑戦権獲得に成功した[16][17]

2018年10月7日、横浜アリーナで行われたWorld Boxing Super Seriesスーパーライト級一回戦でWBA世界スーパーライト級王者キリル・レリクと対戦し、12回判定負けを喫し、王座獲得とWBSS準決勝進出を共に失敗した[18]

戦績

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  • プロボクシング:29戦 27勝 (24KO) 2敗
日付 勝敗 時間 内容 対戦相手 国籍 備考
1 2009年11月28日 勝利 4R 判定3-0 リチャード・ズワーグ   ドイツ プロデビュー戦
2 2009年12月4日 勝利 1R TKO イッサ・エル・スレイマン   ドイツ
3 2010年5月19日 勝利 4R 判定3-0 トマス・フレイタグ   ドイツ
4 2010年6月5日 勝利 1R 1:55 TKO ミルコ・ペンツ   ドイツ
5 2010年6月26日 勝利 2R TKO スレイマン・ダグ   トルコ
6 2010年8月14日 勝利 2R TKO ピーター・チョマノフ   ドイツ
7 2010年9月11日 勝利 1R TKO マウリシー・ゴジコ   ポーランド
8 2010年10月9日 勝利 4R TKO ジャン・バローグ   チェコ
9 2010年12月4日 勝利 3R 2:59 TKO マット・ゼガン   ポーランド WBOヨーロピアンライト級王座決定戦
10 2012年4月4日 勝利 6R 判定3-0 ヤウヘニー・クルヒニク   ベラルーシ
11 2012年6月20日 勝利 10R 2:53 TKO クラウディネイ・ラセルダ   ブラジル
12 2012年9月18日 勝利 7R 3:00 KO ジョセフ・ボン・ミニョサ   フィリピン PABAライト級王座決定戦
13 2012年12月17日 勝利 2R 2:58 KO ワルテル・エストラーダ   コロンビア PABA防衛1
14 2013年3月8日 勝利 2R 0:45 TKO オーレン・パディージャ   コロンビア PABA防衛2
15 2013年5月17日 勝利 2R 0:34 TKO ルイス・ザンブラーノ   コロンビア 体重超過により王座剥奪
16 2013年11月15日 勝利 2R 2:59 TKO マイケル・オドゥヒマンボ   ケニア
17 2013年12月21日 勝利 2R 2:47 TKO アラン・カモーテ   タンザニア
18 2014年5月30日 勝利 4R 0:48 TKO アントン・ベキッシュ   ベラルーシ
19 2014年10月24日 勝利 5R 0:32 TKO ホセ・アルファロ   ニカラグア WBAインターナショナルライト級王座決定戦
20 2014年11月28日 勝利 1R 2:52 KO ホセ・アグスティン・フェリア   コロンビア WBAコンチネンタルスーパーライト級王座決定戦
21 2015年4月10日 勝利 8R 0:57 KO アイク・シャクナザリャン   アルメニア IBO世界スーパーライト級王座決定戦
22 2015年6月22日 勝利 3R 1:55 KO ロナウド・ポンテラス   フィリピン
23 2015年11月4日 勝利 6R 2:44 TKO セサール・レネ・クエンカ   アルゼンチン IBF世界スーパーライト級タイトルマッチ
IBO防衛1
24 2016年4月8日 勝利 7R 2:14 TKO セサール・レネ・クエンカ   アルゼンチン IBF防衛1・IBO防衛2
25 2016年9月9日 勝利 2R 1:35 TKO 小原佳太   日本 IBF防衛2・IBO防衛3
26 2016年12月3日 敗北 1R 0:40 KO ジュリアス・インドンゴ   ナミビア IBF・IBO王座陥落
27 2017年7月1日 勝利 4R 2:18 KO ミケーレ・ディ・ロッコ   イタリア
28 2017年11月27日 勝利 1R 2:13 KO カルロス・マヌエル・ポルティージョ   パラグアイ WBA世界スーパーライト級挑戦者決定戦
29 2018年10月7日 敗北 12R 判定3-0 キリル・レリク   ベラルーシ WBA世界スーパーライト級タイトルマッチ
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獲得タイトル

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  • WBOヨーロピアンライト級王座
  • 第13代PABAライト級王座(防衛2)
  • WBAインターナショナルライト級王座
  • WBAインターコンチネンタルスーパーライト級王座
  • IBO世界スーパーライト級王座
  • IBF世界スーパーライト級王座(防衛2)

脚注

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  1. ^ Eduard Troyanovsky Blasts Out Keita Obara in Two Rounds - See more at: http://www.boxingscene.com/eduard-troyanovsky-blasts-out-keita-obara-two-rounds--108572#sthash.rnKhMnvv.dpuf BoxingScene.com 2016年9月9日
  2. ^ Кикбоксинг Трояновский 02_07_12 2012年7月4日
  3. ^ アブリルの防衛戦また延期、今度は挑戦者が負傷 Boxing News(ボクシングニュース) 2014年4月17日
  4. ^ Afolabi shocks Chakhkiev; Durodola upsets Kudryashov; Trojanowski dethrones Cuenca Fightnews.com 2015年11月4日
  5. ^ Alexander Povetkin claims stoppage win over Mariusz Wach Sky Sports 2015年11月4日
  6. ^ クエンカ無敗記録ストップ、IBF・S・ライト級戦 Boxing News(ボクシングニュース) 2015年11月5日
  7. ^ Trojanowski stops Cuenca again Fightnews.com 2016年4月8日
  8. ^ トロヤノフスキーV1、小原佳太の標的決まる Boxing News(ボクシングニュース) 2016年4月9日
  9. ^ Troyanovsky destroys Obara, retains IBF 140lb title Fightnews.com 2016年9月9日
  10. ^ 小原佳太2回TKO負け 連打でリング外転落 日刊スポーツ 2016年9月10日
  11. ^ 小原佳太が2回TKO負け、IBF・SL級王座獲得ならず Boxing News(ボクシングニュース) 2016年9月10日
  12. ^ Indongo dethrones IBF champ Troyanovsky with crushing 40 second knockout Fightnews.com 2016年12月3日
  13. ^ トロヤスフスキー40秒で沈む、インドンゴ殊勲の戴冠 Boxing News(ボクシングニュース) 2016年12月4日
  14. ^ Troyanovsky crushes Di Rocco Fightnews.com 2017年7月2日
  15. ^ 欧州結果 ポベトキン、トロヤノフスキーら勝利 Boxing News(ボクシングニュース) 2017年7月2日
  16. ^ Troyanovsky Drills Portillo With Vicious KO in WBA Eliminator Boxing Scene.com 2017年11月27日
  17. ^ Troyanovsky beats Portillo in elimination bout WBA公式サイト 2017年11月28日
  18. ^ 井上尚弥「ミスしたほうがやられる」あすWBSS初戦 Boxing News(ボクシングニュース) 2018年10月6日

関連項目

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外部リンク

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前王者
セサール・レネ・クエンカ
IBF世界スーパーライト級王者

2015年11月4日 - 2016年12月3日

次王者
ジュリアス・インドンゴ