ウディ語とは、ウディ人によって話される言語である。北東コーカサス語族レズギグ語派英語版アゼルバイジャン語版南アゼルバイジャン語版に属する[2]。この言語の古い形態が、現在のダゲスタン南部からアゼルバイジャン一帯に広がっていたカフカス・アルバニア王国の主要言語であったと考えられている[3]。かつてのウディ語はコーカサスアルバニア語とも呼ばれ、中世アルバニア歴史家が言及した「ガルガリアン語」におそらく対応する[3]

ウディ語
удин муз, udin muz
話される国 アゼルバイジャンロシアジョージア
話者数 ウディ人
言語系統
言語コード
ISO 639-3 udi
Glottolog udii1243[1]
消滅危険度評価
Severely endangered (Moseley 2010)
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この言語はアゼルバイジャンのニジアゼルバイジャン語版英語版南アゼルバイジャン語版カバラ郡アゼルバイジャン語版英語版南アゼルバイジャン語版オグズ郡アゼルバイジャン語版英語版南アゼルバイジャン語版、またロシア北コーカサス地方で4000人によって話されている。

ウディ語は現在絶滅の危機に瀕しており、UNESCOによって「重大な危険」に分類されている。

歴史

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ウディ語は大まかに5つの歴史段階に分けることが出来る。[4]

初期ウディ語 紀元前2000年 – 300年
古代ウディ語 300年 – 900年
中世ウディ語 900年 – 1800年
近世ウディ語 1800年 – 1920年
現代ウディ語 1920年 – 現在

700年ごろから、古代ウディ語は恐らくコーカサスアルバニアの教会における典礼言語としてしか用いられなくなった。

文法

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古代ウディ語は能格言語であった[5]

ウディ語は屈折語の傾向を持つ膠着語である。接辞はほとんどが接尾辞接中辞だが、接頭辞もいくつか存在する[2]。ほとんどの接辞は特定の品詞にしか付かず、いくつかは接語として機能する。語順SOV型

ウディ語は文法的性をもたないが、曲用がある[6]。また、古代ウディ語は照応代名詞に文法的性をもっていた[7]

音韻

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母音

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ウディ語の母音[8]
前舌 中舌 後舌
i (y) u
半狭 ɛ ɛˤ (œ) ə ɔ ɔˤ
(æ) ɑ ɑˤ

子音

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ウディ語の子音[9]
唇音 歯音 歯茎音 硬口蓋音 軟口蓋音 口蓋垂音 声門音
軟音 硬音
鼻音 m n
破裂音 有声音 b d ɡ
無声音 p t k q
放出音
破擦音 有声音 d͡z d͡ʒ d͡ʒː
無声音 t͡s t͡ʃ t͡ʃː
放出音 t͡sʼ t͡ʃʼ t͡ʃːʼ
摩擦音 無声音 f s ʃ ʃː x h
有声音 v z ʒ ʒː ɣ
ふるえ音 r
接近音 l j

古代ウディ語は現代ウディ語と異なり、円唇前舌半狭母音を持たなかった[10]。古代ウディ語には、さらに口蓋化された一連の子音をもっていた[11]

表記

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ウディ語ラテン文字(1930年代)

古代ウディ語はコーカサスアルバニア文字英語版アルメニア語版を使用していた。エジプト聖カタリナ修道院で発見された7世紀の古代ウディ語文書にあるように、古代ウディ語は後世の学者にウディ語に使用されていたと証明された52文字のうち50文字を使用していた[10]

1930年代には、ソ連当局によってラテン文字をベースにしたウディ文字が作られたが、短期間のうちに使われなくなった。

1974年、ヴォロシル・グカシアンアゼルバイジャン語版英語版によって、キリル文字をベースにしたウディ文字が考案された。彼による『ウディ・アゼルバイジャン・ロシア語辞典』のアルファベットは以下の通りである。

А а Аъ аъ Аь аь Б б В в Г г Гъ гъ Гь гь Д д Дж дж ДжӀ джӀ
Дз дз Е е Ж ж ЖӀ жӀ З з И и Й й К к Ҝ ҝ КӀ кӀ Къ къ
Л л М м Н н О о Оь оь П п ПӀ пӀ Р р С с Т т ТӀ тӀ
У у Уь Уь Ф ф Х х Хъ хъ Ц ц Ц' ц' ЦӀ цӀ Ч ч Ч' ч' ЧӀ чӀ
Чъ чъ Ш ш ШӀ шӀ Ы ы

脚注

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  1. ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “Udi”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History. http://glottolog.org/resource/languoid/id/udii1243 
  2. ^ a b Gippert & Schulze (2007), p. 208.
  3. ^ a b Gippert & Schulze (2007), p. 210.
  4. ^ Schulze (2005).
  5. ^ Gippert & Schulze (2007), p. 206.
  6. ^ Harris (1990), p. 7.
  7. ^ Gippert & Schulze (2007), p. 202.
  8. ^ Hewitt (2004), p. 57.
  9. ^ Consonant Systems of the North-East Caucasian Languages” (英語). TITUS Didactica. Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
  10. ^ a b Gippert & Schulze (2007), p. 207.
  11. ^ Gippert & Schulze (2007), pp. 201, 207.