うずら卵
うずら卵(うずらたまご、鶉卵やウズラ卵とも表記される)はウズラ(鶉)の卵である。食用卵の一種で、アジアや欧州、北米など世界各地で食され、珍味とされている。
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概要
編集ウズラは江戸時代に日本で家禽化されたが、採卵用とされ始めたのは明治時代中期とされている。気候的・地理的要因や歴史的経緯から豊橋地方をはじめとする愛知県で生産が盛んであり、同県が全国生産量の7割を占める[1]。殻には、ポルフィリン色素に由来する暗褐色の斑紋が見られる[2]。大きさは鶏卵と比較すると小さく、卵重は約10.5gと鶏卵の6分の1ほどである。殻を割った中身は卵黄と卵白に分かれており、成分は鶏卵と類似しているものの、ビタミンやミネラル、アミノ酸が鶏卵の倍、ビタミンB12は鶏卵の5倍ほど含まれるなど栄養価が高い。独特の臭気を有することがあるが、近年では餌の成分を工夫することにより、臭気を持たないうずら卵が生産されている[3]。一部、殻を割りにくいものがあるため、うずら卵割りに特化した専用器具がホームセンターなどで市販されている[4]。
世界各地での食用方法
編集日本
編集日本では、生食用のほか、水煮うずら卵や味付うずら卵が販売されており、串揚げや中華丼、八宝菜に入れられることが多い[5]。そのほか、生で食する、加熱して玉子寿司とする、弁当に入れるなどの食用方法もある。また、季節に合わせて夏にざる蕎麦のつゆや山かけ、ユッケ、もずくやめかぶ等の小鉢料理で用いたり、冬におでんや煮物、鍋物などに用いたりすることがある[6]。加えて、ゆで卵や目玉焼きなどの食べ方や、一部家系ラーメン店舗におけるトッピングとしての消費のされ方もある[7]。
海外
編集うずら卵が風変わりな食品と見做されていない国もある。ブラジルやコロンビア、エクアドル、ベネズエラでは、固茹でのうずら卵がホットドッグやハンバーガーの定番のトッピングとして用いられており、爪楊枝で刺して留めることが多い。フィリピンでは、半熟のうずら卵に橙色の衣を付けて串に刺して揚げた料理であるクウェク・クウェクと呼ばれる屋台料理が一般的である。インドネシアでは、固茹でうずら卵の小袋が露天商によって軽食として販売されているほか、串刺しのうずら卵が、ソトやブブルアヤムなどの主菜と共に供されるサテとして売られている。ベトナムでは、安価なビールのおつまみとして、茹でうずら卵の袋詰めが屋台で販売されている[8]。韓国では、大きくて安価な茹でうずら卵の袋がスーパーマーケットで売られている。中国や香港、台湾では、うずら卵は蒸し煮にされ、米と角煮、あるいは焼味と共に供されることが多い。
食用以外の用途
編集うずら卵が含有するボムコイドは他の鳥類のものとは異なり、ヒトの腸内にあるトリプシンとの親和性があるため、アレルギー反応を引き起こしにくいほか、免疫力を高める効果があるとされる。欧州ではアレルギー症状の緩和を目的とする民間薬として使用されてきたほか、アレルギー反応を引き起こしにくい性質を利用して、風疹のワクチン等に利用されている[9]。
関連項目
編集脚注
編集- ^ “豊橋の「 うずら 」”. 2025年2月6日閲覧。
- ^ “うずらQ&A”. 2025年2月6日閲覧。
- ^ “うずらについて”. 2025年2月6日閲覧。
- ^ “うずらvol,1”. 2025年2月6日閲覧。
- ^ “感動 ウズラ ヒヨコ誕生” (2005年8月21日). 2025年2月6日閲覧。
- ^ “うずらvol,1”. 2025年2月6日閲覧。
- ^ “家系ラーメンに「うずらの卵」が乗る店と乗らない店があるのはなぜ?” (2024年6月17日). 2025年2月6日閲覧。
- ^ “Eat Cheap, Top 7 Street Foods Around the World”. Backpacker Ben (travel blog) (August 2010). 2015年10月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年2月6日閲覧。
- ^ “うずらについて”. 2025年2月6日閲覧。