ウィン・リゾーツ
ウィン・リゾーツ・リミテッド(英: Wynn Resorts Limited、NASDAQ: WYNN)は、2002年に設立されたネバダ州パラダイスに本社を置く統合型リゾートの上場企業である。
種類 |
公開 (NASDAQ: WYNN) S&P 500 Component |
---|---|
業種 | ホスピタリティ産業, 観光 |
設立 | 2002年10月25日 |
創業者 | スティーブンA.ウィン(英語: Steven Wynn) |
本社 | パラダイス, ネバダ州, アメリカ |
事業地域 |
アメリカ合衆国 マカオ |
主要人物 |
マット・マドックス (取締役,CEO) |
製品 | リゾート, カジノ, ゲーム, エンターテインメント |
売上高 | US$6.61 billion (2019) |
営業利益 | US$$878.3 million (2019) |
利益 | US$311.4 million (2019) |
総資産 | US$13.87 billion (2019) |
純資産 | US$1.54 billion (2019) |
所有者 | Elaine Wynn, (8.25%) [1] |
従業員数 | 30,200 (2019) |
ウェブサイト |
wynnresorts |
脚注 / 出典 [2] |
2018年時点の同社は4つのリゾートを運営していた[3]。同社は、世界の独立系ホテル企業としては最多の5つ星をフォーブス・トラベルガイドで獲得している[4]CEOはマット・マドックス(Matt Maddox)。
歴史
編集スティーブ・ウィンはミラージュやその前身となる会社を1973年から運営した後、2000年にミラージュリゾートをMGMグランドに売却することに合意した。ウィンは同年にその次の合弁事業の基礎を作り上げ、2億7千万ドルでデザート・インを買収した。[5]
ウィンは、ユニバーサルエンターテイメントの日本人億万長者である岡田和生と早期にパートナーになった。[6]そしてユニバーサルの子会社である Aruze USAと共に、ウィンはユニバーサルエンターテイメントの半分近くの株式を支配した。このことにより、ミラージュの時のように、ウィンの多額支出への措置として外部の投資家が会社をコントロールすることが困難になった。[7][8]
2002年、ウィンは同社を公開し、その発展を監督させるために、投資銀行家であるロナルド・クレイマーを社長兼取締役として就任させた。[9]
2002年10月25日、ウィン・リゾーツはNASDAQで新規株式公開を行なった。
2005年4月28日、同社は最初のプロジェクトであるウィン・ラスベガスをオープンした。[10]
2004年6月28日には中華人民共和国マカオ特別行政区で第二のプロジェクトであるウィン・マカオが着工され、2006年9月5日にオープンした。[11]
ウィン・ラスベガスの一周年記念である2006年4月28日には、ウィン・ラスベガスを拡張する形でアンコールをオープンした。
2010年4月21日、ウィン・マカオにおいて、アンコールがオープンした。[12]
ウィンはコタイ地区に52エーカー (21 ha)の土地を購入し、2016年3月25日にウィン・パレスのオープンを予定した建設が2013年に開始されたが、全体的な建設の遅延により最終的なオープンは2016年8月22日であった[13][14]
2012年2月には、フィリピンのPAGCORシティ開発の一環として当社のカジノをオープンする計画が持ち上がった。しかしフィリピンのゲーム産業の腐敗を理由とし断念する。[15] ウィン・リゾーツの株式保有者であり取締役員の一人である岡田和生は、単独で計画を実行することを決断するが、これが元となりウィン・リゾーツとのパートナーシップは破綻した。[16]
この一連の出来事は相互に腐敗を告発する公開争議に発展した。ウィンと他の役員は、ウィン・ラスベガスのラグジュアリースイートでの無料宿泊を含む11万ドル以上の恩恵を、フィリピンのゲーム規制当局に賄賂として渡したとして岡田を告発。一方の岡田は、ウィン・リゾーツの1億3500万ドルに及ぶマカオ大学への寄付金の妥当性に疑問を呈した。[17][18][19]最終的に岡田は2011年10月に副会長を辞任し、同年の2月にFreeh Group International Solutionsの調査の結果、岡田に対する告発が確定される。その結果としてウィン・リゾーツの役員会はAruze USAに30%近くの割引値でウィン・リゾーツの株式を売り戻すことを強制した[20]。Aruze USAは19.7%の株式を保有する最大の株主であった。
2014年9月17日マサチューセッツ州ゲーム委員会は、16億ドルをかけたカジノをボストンの北に位置するエバレット市に設置するという、ウィン・リゾーツの提案を承認した。[21]
2016年12月14日、スティーブ・ウィンは、この夏までに、所有しているウィン・ラスベガスの4,748の客室すべてに Alexa (アレクサ)システム搭載の Amazon Echoを導入することを発表した。[22]このような装置の導入は業界初となる。[23]
2018年2月6日、スティーブ・ウィン氏がCEOを辞任し、マット・マドックス氏が後任として就任した。[24][25]
2018年6月にウィン・ラスベガスでソーラー施設の稼動を開始した。本リゾートは、ウィン・ラスベガスのピーク電力需要の75%を賄い、当時のラスベガスリゾート中で最大の再生可能エネルギー利用比率となった。[26]
2018年12月にWynn Resorts Development Japan合同会社を設立した。
また、2019年夏に東京都千代田区丸の内に日本事務所設立を予定していることを2019年3月に発表した。[27]
2019年6月23日に同社を代表する都市型IRリゾートとして「アンコール・ボストンハーバー」をマサチューセッツ州のエバレット市に開業した。
ラスベガスとマカオにおけるビジネス現況
編集ラスベガス・アンコールの開業は世界的な景気低迷と時期が重なった。
そのこともあってか、97台のテーブルに加え857台のスロットマシーンを備えた新リゾートだったものの、リゾート全体の収益はアンコール開業前を下回った。
2009年第一四半期には、マカオ事業の純収益は4億4870万ドルへと減少した。特にVIPテーブルでのゲームが大幅に減少している。[28][29]このような状態の中、ウィン・リゾーツは、世界的な景気低迷下で大量解雇を行わなかった唯一の統合型リゾート事業者であった。[30]
その後、世界の経済の回復と共に、グループ全体の事業は回復の兆しを見せた。2017年CNBCが伝えたところによると、ウィン・リゾーツの株価は年間44%上がり、ウィン・マカオは現地のトップ企業の1つとなっている。[31] また、ウィン・マカオの2018年12月期の営業収益は16.3%増の395.9億香港ドル(約5,582億円)となったと報じられている。[32]
運営リゾート
編集画像 | ロゴ | プロパティ | 場所 | 開始日 |
---|---|---|---|---|
ウィン・ラスベガスリゾート | ラスベガス・ストリップ, ネバダ州 | 2005年4月28日 | ||
ウィン・マカオ | マカオ | 2006年9月6日 | ||
ウィンパレス | コタイストリップ, マカオ | 2016年8月22日 | ||
アンコール・ボストンハーバー | エバレット, MA | 2019年6月23日 |
参考文献
編集- ^ 2021 Proxy Statement
- ^ “US SEC: 2019 Form 10-K Wynn Resorts, Limited”. U.S. Securities and Exchange Commission (February 28, 2020). May 26, 2020閲覧。
- ^ “Investor Overview” (英語). WYNN RESORTS LTD. 2019年6月24日閲覧。
- ^ “受賞歴”. ウィン・リゾーツ. 2019年6月12日閲覧。
- ^ ““The revenge of Steve Wynn””. MSNBC. 2012年3月3日閲覧。
- ^ ““Wynn Resorts Partners Split, and Accusations Fly”.”. The New York Times. 2012年3月2日閲覧。
- ^ ““The revenge of Steve Wynn””. MSNBC. 2012年3月3日閲覧。
- ^ ““Okada wants court to stop stock seizure; Wynn says game over””. Las Vegas Review-Journal. 2012年3月2日閲覧。
- ^ ““Wynn loses company president””. Las Vegas Review-Journal. 2013年1月16日閲覧。
- ^ ““The Revenge of Steve Wynn (Wynn Resort Vegas)””. NBC News. 2016年2月1日閲覧。
- ^ ““Casino mogul Wynn to launch lavish new $4.2B Macau resort””. Morning Star. 2016年2月1日閲覧。
- ^ ““Wynn Macau Misses Profit Views on Slow Start for New Casino””. Bloomberg Quint. 2016年2月1日閲覧。
- ^ ““Wynn Opens Extravagant $4.2B Palace In Slumping Macau”.”. Forbes. 2016年2月1日閲覧。
- ^ ““Casino Mogul Wynn to Launch Lavish New $4.2B Macau Resort””. The New York Times. 2016年8月20日閲覧。
- ^ “Sieroty, Chris (21 February 2012). “Okada wants court to stop stock seizure; Wynn says game over””. Las Vegas Review-Journal. 2012年3月2日閲覧。
- ^ ““世界有数のカジノ会社ウィン・リゾーツの創業者2人の蜜月から決別””. CNBC. 2016年2月1日閲覧。
- ^ Bradsher, Keith (2012年3月2日). “Wynn Resorts Partners Split, and Accusations Fly” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331 2019年6月25日閲覧。
- ^ “米カジノ大手ウィンリゾーツ会長、日本カジノ市場へ高い関心示す=マカオ大特別講義で”. マカオ新聞|ビジネスと生活、観光に役立つマカオ最新ニュース (2014年9月24日). 2019年6月25日閲覧。
- ^ Berzon, Alexandra (2013年7月9日). “Wynn Resorts: SEC Doesn't Plan Action After Inquiry Into Macau Unit” (英語). Wall Street Journal. ISSN 0099-9660 2019年6月25日閲覧。
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- ^ “Panel Picks Wynn's Everett Casino Proposal” (英語). www.wbur.org. 2019年6月12日閲覧。
- ^ “wynn lasvegas to add amazon alexa-to-all-hotel-rooms.”. CNBC. 2016年12月15日閲覧。
- ^ Quora (2017年3月10日). “Steve Wynn's Luxury Hotel Is the First Commercial Business to Deploy Voice First Devices” (英語). HuffPost. 2018年5月31日閲覧。
- ^ Kirkham Chris (2018). “"Steve Wynn to Step Down as Wynn Resorts CEO"”. Wall Street Journal ISSN 0099-9660.
- ^ “New Wynn CEO says 2 board members leaving, Wynn brand strong” (英語). Las Vegas Review-Journal (2018年3月7日). 2019年6月25日閲覧。
- ^ “wynnjapan”. wynn resorts. 2019年6月12日閲覧。
- ^ “ウィン・リゾーツ、日本でのIR開発に向けて日本事務所を設立”. 共同通信PRワイヤー. 2019年6月12日閲覧。
- ^ “米カジノ大手ウィンリゾーツのマカオ部門が減収減益…VIPルームの不振響く=16年第1四半期業績”. マカオ新聞|ビジネスと生活、観光に役立つマカオ最新ニュース (2016年5月7日). 2019年6月25日閲覧。
- ^ Foxman, Simone. “Wynn Resorts BEATS On Earnings, But Revenue Growth In Macau And Las Vegas Falls Short Of Expectations”. Business Insider. 2019年6月25日閲覧。
- ^ Kiviat, Barbara (2009). “"When Companies Opt for Pay Cuts Instead of Layoffs"”. ISSN0040-781X.
- ^ “Steve Wynn doubles down on Macau with new $4B casino”. www.cnbc.com. 2019年6月25日閲覧。
- ^ “ウィン・マカオの18年度収益が16.3%増加し400億香港ドルに近づく”. IAG Japan. 2019年6月12日閲覧。