ウィテロ
ウィテロ(Witelo; Erazmus Ciolek Witelo; Witelon; Vitellio; Vitello; Vitello Thuringopolonis; Vitulon; Erazm Ciołek)は、13世紀ポーランドの修道士、神学者、物理学者、自然哲学者、数学者である。1230年頃に恐らくレグニツァで生まれ、1280年より後、1314年より前に死去した。ウィテロはポーランドの哲学の歴史では重要な人物である。月には、彼の名前にちなんだウィテロというクレーターがある。
人生
編集ウィテロの母はポーランドの貴族の出身で、父はドイツのテューリンゲン州からの移民だった。彼は自身のことをラテン語で"Thuringorum et Polonorum filius" 、つまり「テューリンゲン人とポーランド人の息子」と呼んでいる。彼は1260年頃にパドヴァ大学で学び、その後ヴィテルボに移って、アリストテレスの著書の翻訳者であるWilliam of Moerbekeと出会った。1270年から1278年に書かれた、現存するウィテロの主要な著書であるPerspectivaは、ウィリアムに捧げられている[1]。
Perspectiva
編集ウィテロのPerspectivaの多くの部分は、アラブ人の博学者イブン・アル・ハイサムに基づいており、ヨハネス・ケプラー等の後世の科学者に大きな影響を与えた。ウィテロの光学に関する説明は、アル・ハイサムのKitab al-manazir (The Book of Optics; De aspectibus or Perspectivae)のラテン語版と対応するところが多く、どちらもフリードリッヒ・ライズナー版のOpticae Thesaurus (Basel, 1572)に収録された[2]。
ウィテロのPerspectivaは、ルネサンス期の遠近法の理論にも大きな影響を与えた。ロレンツォ・ギベルティのCommentario terzo (Third Commentary)は、Perspectivaのイタリア語版に基づいている[3]。
Perspectivaには、プラトンの形而上学についての議論も含まれている。ウィテロは、知性と肉体は因果律で繋がれており、神の放つ光の形で神から生じると主張した。ウィテロにとっては、光そのものが全ての実在の始まりであった。光に対する彼の観点は、アル・ハイサムのものと近かったが、ロジャー・ベーコンの考えとも似ていた[4]。
その他の研究
編集Perspectivaでは、彼の以前の他の分野の研究も引用されている。その多くは現存していないが、De Natura DaemonumとDe Primaria Causa Paenitentiaeは復刻されている。
脚注
編集- ^ CHAUCER NAME DICTIONARY Copyright © 1988, 1996 Jacqueline de Weever Published by Garland Publishing, Inc., New York and London.
- ^ Nader El-Bizri, "A Philosophical Perspective on Alhazen’s Optics", Arabic Sciences and Philosophy, Vol. 15, Issue 2 (2005), pp. 189-218 (Cambridge University Press)
- ^ Graziela F. Vescovini, "Contributo per la storia della fortuna di Alhazen in Italia: II volgarizzamento del MS. Vat. 4595 e il Commentario terzo del Ghiberti, Rinascimento, V (1965), pp. 1749 -- Also (Ibid, El-Bizri, 2005)
- ^ Ibid, El-Bizri, 2005
出典
編集- Clemens Baeumker, "Witelo: Ein Philosoph und Naturforscher des dreizehnten Jahrhunderts," Beiträge zur Geschichte der Philosophie des Mittelalters, part 3, no. 2, Münster, Aschendorff, 1908.
- Władysław Tatarkiewicz, Historia filozofii (History of Philosophy), 3 vols., Warsaw, Państwowe Wydawnictwo Naukowe, 1978.
- Jerzy Burchardt, "The Discovery of the Rainbow in Crystal by Witelo"
- "Witelonis Perspectivae liber primus", Wrocław 1977