イレネー記念(イレネーきねん)は、帯広市帯広競馬場で開催するばんえい競馬重賞競走である。

イレネー記念
イレネー像(帯広競馬場前庭)
開催国 日本の旗 日本
主催者 帯広市
競馬場 帯広競馬場
創設 1969年8月17日
2022年の情報
距離 ばんえい200m
格付け BG1[1]
賞金 1着賞金300万円[1]
出走条件 3歳
負担重量 定量(690kg、牝馬20kg減)[1]
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競走名の「イレネー」は、現在につながるばんえい競走馬の礎を築き「ばん馬の父」とも称されている種牡馬[2](後述)。

正賞は北海道知事賞、十勝農業協同組合連合会賞、独立行政法人家畜改良センター十勝牧場賞、農業法人鎌田きのこ株式会社賞。

概要

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1969年に創設[3]され、デビュー初年度の2歳(明け3歳)世代チャンピオンを決定する重賞競走として定着している[3]。2歳(明け3歳)馬による競走としては唯一、BG1に格付けされた。

施行場は創設時より帯広競馬場で定着しており、他場で施行されたことは一度もない[3]

競走条件・賞金(2022年)

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競走条件
出走資格:3歳オープン
ばんえい重量:定量(690kg、牝馬20kg減)[1]
賞金
1着賞金は300万円で、以下2着114万円、3着66万円、4着36万円、5着24万円[1]

イレネーについて

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競走名の由来となったイレネー(1908年3月14日 - 1928年5月22日[4][5])はフランス生まれのペルシュロン種牡馬[4]。父ダミアン、母デース[4]。毛色は青毛特徴は流星・珠目上・鼻白・後二白・全身刺毛[4]

1910年、馬政局馬政官の丹下謙吉・土肥原鑑がフランスにて2400円で購入し日本へ輸入されると、十勝種馬牧場(現・家畜改良センター十勝牧場)にて種牡馬として供用された[4][5]。イレネーは1928年に事故で死亡するまでの18年間に1074頭と交配され、597頭の産駒を出した[4][5]。そのうち196頭が種牡馬となり、直系子孫363頭まで合わせると559頭が種牡馬となって全道に分布[4]し、5万頭あまりの種雌馬と配合される[5]など大正時代から昭和初期にかけて大いに繁栄し、十勝地方における馬産の礎になったといわれている。当時は公認競馬公営競技としてのばんえい競走は行われておらず、主に軍馬や農耕馬としての需要が中心だった。

こうした功績を称え、1930年には十勝畜産組合が全国でも類を見ない種馬の銅像として、イレネー像を帯広市の十勝公会堂前(現・帯広市西5条南8丁目)に建立[2][6][5]。当時の動物彫塑の最高権威として知られていた帝室審査員の池田勇八が、とくにイレネーの体型に酷似すると言われていたイレネーの直仔第28イレネーを参考に製作し、同年8月10日に除幕式が行われた。除幕式の様子を報じた当時の十勝毎日新聞は「来賓800人余り、一般観衆2000人余りが集まった」と伝えている[5]。旧イレネー像は太平洋戦争の戦局悪化に伴う金属供出により1943年に一旦消失[2][6][5]したが、1963年に十勝農業協同組合連合会が創立15周年を記念して、帯広競馬場の前庭にイレネー像の再建を決定[5]。当初は再度池田勇八に制作を依頼したが、折衝中に池田が急逝したため加藤顕清が製作し、1964年7月27日に除幕式が行われた。

馬名を冠したばんえい競馬の競走

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イレネー記念は、現在ばんえい競馬で行われている競走では唯一、馬の功績を記念して名前を冠したレースとなっている[3]

このほか、過去には以下のような重賞・特別競走が行われていた。

  • オナシス記念(重賞競走、1985年を最後に廃止)
  • タカラコマ記念特別(特別競走、1995年を最後に廃止)
  • 二世ロッシーニ記念特別(特別競走、2006年を最後に廃止)[7]

歴代優勝馬

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  • 優勝馬の馬齢は2000年まで旧表記、2001年から現表記。
  • 第26回以降は年をまたいだ開催のため、馬齢を1歳加算。
回数 施行日 開催地 天候 馬場
水分
優勝馬 性齢 ばんえい
重量
タイム 優勝騎手 管理調教師
第1回
1969年8月17日 帯広 シホロイチ 牡3 510 2:52.8 早勢厳 早瀬厳
第2回
1970年8月1日 帯広 タカラコマ 牡3 410 2:01.7 光富駿一 上田吉隆
第3回
1971年8月21日 帯広 シゲノハラ 牡3 430(+250) 1:39.0 光富駿一 上田吉隆
第4回
1972年8月20日 帯広 イシカリハヤテ 牡3 350(+250) 1:38.4 中西関松 中西関松
第5回
1973年9月22日 帯広 カチタカラ 牡3 340(+250) 2:03.8 三浦忠 三浦忠
第6回
1974年9月7日 帯広 4.0% タンリユウ 牡3 400(+250) 1:39.9 前原芳郎 前原芳郎
第7回
1975年9月24日 帯広 2.0% アサミドリ 牡3 390(+250) 2:27.0 中西開松 中西関松
第8回
1976年8月14日 帯広 1.0% ダイケツ 牡3 330(+300) 2:32.7 喜来光雄 喜来光雄
第9回
1977年10月23日 帯広 1.0% ハヤホマレ 牡3 650 2:05.6 山田勇作 林正男
第10回
1978年9月24日 帯広 1.1% リユウタカラ 牡3 640 2:25.5 木村卓司 本沢政一
第11回
1979年11月3日 帯広 1.0% ホマレオーザ 牡3 670 2:40.9 山田勇作 林正男
第12回
1980年8月17日 帯広 4.4% ヤマト 牡3 620 1:37.8 片平俊悦 鵜沼正吉
第13回
1981年11月1日 帯広 2.6% シゲノハラニセイ 牡3 670 2:25.7 工藤正男 谷内二三松
第14回
1982年9月12日 帯広 3.1% クロタカ 牡3 650 2:27.5 佐伯義則 渕上昭一
第15回
1983年11月23日 帯広 3.7% トカチヤマ 牡3 700 2:30.0 金山明彦 長沢豊秋
第16回
1984年7月15日 帯広 5.0% ホウシヨウリキ 牡3 640 2:19.3 岩本利春 松井浩
第17回
1985年11月23日 帯広 7.7% ニユーフロンテヤ 牡3 700 1:40.8 平田義弘 前原芳郎
第18回
1986年10月26日 帯広 5.6% チカラトウシヨウ 牡3 680 1:54.3 久田守 前原芳郎
第19回
1987年8月15日 帯広 0.5% キンシヤドー 牡3 640 1:54.3 金山明彦 尾ヶ瀬富雄
第20回
1988年12月7日 帯広 1.3% カゲイサム 牡3 680 2:11.5 坂本東一 橋本豊
第21回
1989年12月14日 帯広 2.7% ダイヤテンリユウ 牡3 680 2:01.5 久田守 松井浩
第22回
1990年12月23日 帯広 2.5% ダイヤコトブキ 牝3 660 2:25.4 松井浩文 松井浩
第23回
1991年12月17日 帯広 1.3% マルゼンダンサー 牡3 680 2:26.2 久田守 光富駿一
第24回
1992年12月20日 帯広 7.0% チカラスピード 牡3 680 1:02.7 久田守 松井浩
第25回
1993年12月26日 帯広 2.8% リキミドリ 牡3 680 1:52.9 大河原和雄 服部義幸
第26回
1995年1月16日 帯広 2.9% チカラセンショー 牡4 680 2:03.3 金山明彦 門脇税
第27回
1996年1月21日 帯広 4.6% サロマオーカン 牡4 690 1:57.6 坂本東一 長谷功
第28回
1997年1月19日 帯広 3.7% クシロキンショウ 牡4 690 2:12.3 鈴木勝提 鈴木邦哉
第29回
1998年2月1日 帯広 2.8% ゴールデンタワ 牡4 690 2:01.6 千葉均 平田義弘
第30回
1999年1月31日 帯広 3.3% アーティガール 牝4 680 1:51.5 藤本匠 古田覚造
第31回
2000年1月30日 帯広 4.1% スミヨシセンショー 牡4 700 1:51.8 山本正彦 岡田定一
第32回
2001年2月11日 帯広 1.6% キンセイウン 牡3 700 1:51.8 尾ヶ瀬馨 尾ヶ瀬富雄
第33回
2002年2月10日 帯広 2.3% グレートサンデー 牡3 710 2:14.5 岩本利春 大友榮司
第34回
2003年2月9日 帯広 4.8% エビステンショウ 牡3 720 2:09.1 坂本東一 梨本照夫
第35回
2004年2月15日 帯広 6.7% アオノキセキ 牡3 720 2:09.1 大河原和雄 宮崎正徳
第36回
2005年2月6日 帯広 1.9% カネタマル 牡3 710 3:37.1 大河原和雄 久田守
第37回
2006年3月19日 帯広 1.6% マルミシュンキ 牡3 680 2:33.7 松田道明 今井茂雅
第38回
2007年3月11日 帯広 5.4% カネサリュウ 牡3 680 2:00.1 工藤篤 村上慎一
第39回
2008年3月9日 帯広 0.8% オレワスゴイ 牡3 670 2:34.1 安部憲二 皆川公二
第40回
2009年3月15日 帯広 4.9% キタノタイショウ 牡3 670 1:58.6 大河原和雄 服部義幸
第41回
2010年3月14日 帯広 2.4% テンマデトドケ 牡3 670 1:50.4 大河原和雄 服部義幸
第42回
2011年3月13日 帯広 0.6% ニュータカラコマ 牡3 670 1:50.3 藤野俊一 岩本利春
第43回
2012年3月11日 帯広 1.7% ニシキエーカン 牡3 670 1:40.7 鈴木恵介 村上慎一
第44回
2013年3月10日 帯広 7.6% ショウチシマシタ 牡3 670 1:17.9 大河原和雄 久田守
第45回
2014年3月9日 帯広 1.7% ホクショウマサル 牡3 690 1:54.8 阿部武臣 坂本東一
第46回
2015年3月8日 帯広 3.1% センゴクエース 牡3 690 1:54.1 鈴木恵介 槻舘重人
第47回
2016年3月6日 帯広 2.6% フウジンライデン 牡3 690 2:02.6 安部憲二 岩本利春
第48回
2017年3月5日 帯広 1.2% ホクショウムゲン 牡3 690 1:54.2 鈴木恵介 服部義幸
第49回
2018年3月4日 帯広 2.0% カネサダイマオー 牡3 690 2:08.3 藤野俊一 松井浩文
第50回
2019年3月3日 帯広 1.0% メムロボブサップ 牡3 690 1:58.8 阿部武臣 坂本東一
第51回
2020年3月7日 帯広 2.0% コマサンダイヤ 牡3 690 2:01.5 藤野俊一 金田勇
第52回
2021年3月20日 帯広 0.8% オーシャンウイナー 牡3 690 2:02.0 菊池一樹 中島敏博
第53回
2022年3月19日 帯広 5.3% キングフェスタ 牡3 690 1:28.1 鈴木恵介 小北栄一
第54回
2023年3月19日 帯広 1.5% アシュラダイマオー 牡3 690 2:10.7 西謙一 松井浩文
第55回
2024年3月16日 帯広 2.0% ライジンサン 牡3 690 2:00.4 鈴木恵介 大河原和雄

参考文献

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  • 「『蹄跡』」、北海道馬産史編集委員会、1983年。 

出典

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  1. ^ a b c d e 競走結果(第52回イレネー記念) - ばんえい競馬、2021年8月22日閲覧
  2. ^ a b c ばん馬のルーツと功労馬「イレネー」”. 北海道人. 2020年1月27日閲覧。
  3. ^ a b c d 【第46回イレネー記念】レースの歴史”. ばんえい十勝オフィシャルサイト(帯広競馬場). 2015年3月5日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g 十勝の記憶 デジタルアーカイブ「新中札内村史 農業」”. 十勝総合振興局. 2012年11月11日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h イレネー号について”. 独立行政法人家畜改良センター十勝牧場. 2021年8月22日閲覧。
  6. ^ a b 十勝20世紀 第1部×開拓編(8)”. WEB TOKACHI(十勝毎日新聞). 2012年11月11日閲覧。
  7. ^ 競走成績(第21回二世ロッシーニ記念特別) - 地方競馬全国協会、2015年3月5日閲覧

各回競走結果の出典

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ほかにばんえい競馬で行われる2歳(明け3歳)馬の重賞

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