アーバイン=ミシガン=ブルックヘブン
アーバイン=ミシガン=ブルックヘブン(Irvine–Michigan–Brookhaven)、頭字語のIMBとして知られるアメリカ合衆国の核子崩壊・ニュートリノ検出施設。エリー湖に面するオハイオ州フェアポート・ハーバーにモートン・ソルトが保有する塩鉱内に建設された[1]。
カリフォルニア大学アーバイン校、ミシガン大学、ブルックヘブン国立研究所の合同計画として行われた[2]。主目的は陽子崩壊の観測であったが(大統一理論のSU(5)モデルを想定したもの[3][4])[2]、1987年の超新星SN 1987Aによるニュートリノの観測で知られている[5]。
構造
編集ドスコ・オーバーシーズ・エンジニアリングの掘削機を用いて地下2000フィート(610m)に[2]、南北17m、東西22.5m、高さ18mの水槽を構築した[6]。掘削された岩塩はモートン・ソルトに6万ドルで売却され、費用に充当された[2]。EMI製の直径5インチ(127mm)の光電子増倍管を2048個を1m間隔で設置[6][2][7]、これに最大8000tの超純水を満たせる設計であった[6]。内部にはシュレーゲル・インターナショナルの、2.5mm厚の黒いポリエチレンが二重に張られていた[6][2]。
カミオカンデと同様、陽子の崩壊時に発生する荷電粒子が水中で光速度以上の速度となったときに発生するチェレンコフ放射を確認するための装置であり、入射方向を観測することも可能となっていた[8][2]。
歴史
編集1979年に着工し、1981年に完成した[5]。10月より注水を行うも、漏水により一時中断し、注水とそれに続く光電子増倍管の設置は1982年7月、運用開始は8月末となった[5][6]。
1987年にはSN 1987Aからのニュートリノ8個を検出、これはカミオカンデの検出結果を裏付けるものとなった[4]。1991年3月に、運用を終了している[3]。
関連項目
編集出典
編集- ^ Larry "Harris" Taylor (1989-09). “Two Thousand Feet Below Lake Erie”. Skin Diver: 80-81、116-119 2015年11月29日閲覧。.
- ^ a b c d e f g Peter Gwynne (1981-12). “The Underground Search for Cluses to an Unstable Universe”. ポピュラーサイエンス 119 (8): 64-67 2015年11月29日閲覧。.
- ^ a b “IMB-3 : a large water Cherenkov detector for nucleon decay and neutrino interactions” (PDF). 2015年12月1日閲覧。
- ^ a b c 小柴昌俊. “KAMIOKANDEのこと”. 日本物理学会. 2015年12月1日閲覧。
- ^ a b c John C. Vander Velde. “IMB Proton Decay Experiment”. 2008年4月11日閲覧。
- ^ a b c d e “IMB DTECTOR - THE FIRST 30 DAYS” (PDF). 米国物理学協会 (1983年3月20日). doi:10.1063/1.33930. 2015年12月1日閲覧。
- ^ A Proposal for a Long Baseline Oscillation Experiment Using A High Intensity Neutrino Beam from the Fermilab Main Injector to the IMB Water Cerenkov Detector; FNAL P805.
- ^ C.R. Kitchin (2013-11-18). Astrophysical Techniques, Sixth Edition. Taylor & Francis. pp. 195-196. ISBN 9781466511170