アントニオ・ダマシオ
アントニオ・ダマシオ(英: Antonio Damasio 葡: António Damásio 1944年2月25日[1] - )は、ポルトガル系アメリカ人の神経科学者。
António Rosa Damásio | |
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2013年の写真 | |
生誕 |
1944年2月25日(80歳) ポルトガル リスボン |
研究分野 | 認知神経科学 |
研究機関 | アイオワ大学、南カリフォルニア大学 |
出身校 | リスボン大学 |
主な業績 | ソマティック・マーカー仮説、意識のハード・プロブレム、コナトゥス |
主な受賞歴 | アストゥリアス皇太子賞(2005年)、本田賞(2010年)、グロマイヤー賞(2014年)など |
配偶者 | ハンナ・ダマシオ |
プロジェクト:人物伝 |
意識・脳・心身問題・感情・情動などを研究テーマとする。特に意思決定や価値判断に関する「ソマティック・マーカー仮説」の提唱者として知られる[2]。その研究は神経科学だけでなく哲学・心理学・ロボット工学にも影響を与えている[3]。
人物
編集リスボン出身[1]。1969年リスボン大学医学部卒業、1974年リスボン大学医学博士[1]。渡米して1975年から2005年までアイオワ大学教授(ヴァン・アレン冠教授)[1]。1989年からはカリフォルニア州のソーク生物研究所の客員教授を兼任[1]。2006年からは南カリフォルニア大学教授(デビッド・ドーンサイフ冠教授)および脳創造研究所所長[1]。
1994年の著書『デカルトの誤り』における「ソマティック・マーカー仮説」で世界的に注目されるようになった[4]。
1990年代以降、アメリカ芸術科学アカデミー・全米医学アカデミーなどの会員、アヴェイロ大学・ライデン大学などの名誉博士号、アストゥリアス皇太子賞・本田賞・グロマイヤー賞など、多数の栄誉がある[1]。バーグルエン賞の審査委員長も務める[5]。
著作(日本語訳)
編集単著
編集- 『生存する脳: 心と脳と身体の神秘』田中三彦訳、講談社、2000年
- 『無意識の脳 自己意識の脳』田中三彦訳、講談社、2003年
- 講談社学術文庫版: 『意識と自己』田中三彦訳、講談社、2018年
- 『感じる脳: 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ』田中三彦訳、ダイヤモンド社、2005年
- 『デカルトの誤り: 情動、理性、人間の脳』田中三彦訳、筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉、2010年
- 『自己が心にやってくる: 意識ある脳の構築』山形浩生訳、早川書房、2013年
- 『進化の意外な順序: 感情、意識、創造性と文化の起源』高橋洋訳、白揚社、2019年
- 『ダマシオ教授の 教養としての「意識」 機械が到達できない最後の人間性』千葉敏生訳、ダイヤモンド社、2022年
その他
編集- 「感情的な人間はバカなのか?」田中裕子訳、『「バカ」の研究』ジャン=フランソワ・マルミオン編、亜紀書房、2020年
- 「ソマティック・マーカーと行動指針――理論と予備的検証」『感情 ジェームズ/キャノン/ダマシオ』ダニエル・トラネル;ハンナ・C・ダマシオ共著、北川玲訳、岩波書店〈名著精選〉、2020年
脚注
編集- ^ a b c d e f g “「2010年本田賞」神経科学の研究で先駆的役割を果たした米国南カリフォルニア大学のアントニオ・ダマジオ博士に本田財団が授与”. www.honda.co.jp. 2022年12月17日閲覧。
- ^ 戸田山和久『恐怖の哲学: ホラーで人間を読む』NHK出版〈NHK出版新書〉、2016年。118f頁。
- ^ “世界中の科学者・哲学者たちが、「意識が重要」と語り始めた根本理由”. ダイヤモンド・オンライン. 2022年12月17日閲覧。
- ^ アントニオ・ダマシオ著、田中三彦訳『意識と自己』、講談社、2018年。436f頁。
- ^ “アジア初 日本の哲学者 柄谷行人氏、2022年バーグルエン哲学・文化賞を受賞”. プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES. 2022年12月9日閲覧。