アローン・アゲイン
「アローン・アゲイン」(Alone Again - Naturally)は、イギリスのアイルランド系シンガーソングライターであるギルバート・オサリバンの楽曲。邦題については原題に準じ、「アローン・アゲイン(ナチュラリー)」と表記される場合もある[1]。
「アローン・アゲイン」 | ||||
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ギルバート・オサリバン の シングル | ||||
初出アルバム『Himself featuring Alone Again (Naturally) (アメリカ) Back To Front(邦題:アローン・アゲイン)(日本) Greatest Hits(1976年)(イギリス)』 | ||||
B面 | セイヴ・イット | |||
リリース | ||||
規格 |
7" TOP-1714 | |||
録音 | 1971年 | |||
ジャンル | ポップ | |||
時間 | ||||
レーベル |
MAMレコード キティ・レコード ビクターエンタテインメント | |||
作詞・作曲 | ギルバート・オサリバン | |||
プロデュース | ギルバート・オサリバン | |||
ギルバート・オサリバン シングル 年表 | ||||
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概要
編集1972年にリリースされると、アメリカ合衆国のBillboard Hot 100シングルチャートとイージー・リスニング・チャートで計6週1位を獲得した[2]。また、ケイシー・ケイサムのチャート番組『American Top 40』が集計した1970年代のベスト50曲では5位(デビー・ブーンの「恋するデビー」が1位)となった。イギリスでは、全英シングルチャートで3位を獲得した[3]。日本ではオリコン洋楽シングルチャートで1972年10月23日付から5週連続1位を獲得した[4]。
この曲は内省的なバラッドであり、結婚式をすっぽかされた男が教会に取り残された後で彼の自殺の企てを語ることから始まり、その後、彼の両親の死について語る。オサリバンは「僕は父(オサリバンが11歳の時に死去した)をよく知らないし、それに父は母を虐待したので、この曲は自叙伝ではない」と発言している[5]。
マネージャーのゴードン・ミルズが設立したMAMレーベルより、英デッカ配給でシングルとしてリリースされるが、アメリカでは「Himself featuring Alone Again (Naturally)」として、イギリスで先にリリースされていたアルバム「ヒムセルフ(発売当時の邦題:ギルバート・オサリヴァンの肖像)」Himself[6]の収録曲2曲をこの曲ともう一曲の英国盤アルバム未収録シングルに差し替え、ジャケットを変えてリリース。その後、1976年の『Greatest Hits』でイギリスにおいて初めてアルバム収録された。CD時代となってからは、初のベストCD『アローン・アゲイン』(1986年)のタイトル曲として収録されたのをはじめ『The Berry Vest of Gilbert O'Sullivan』(2004年)など、彼のほとんどのベストCDに収録されている。なお、ビッグ・ジム・サリヴァンがこの曲のオリジナルの録音版でギターを弾いている。
中島みゆきの曲「タクシードライバー」(1979年のアルバム「親愛なる者へ」収録)で、別れた男との想い出の曲として取り上げられている。
著作権事件
編集ラッパーのビズ・マーキーは1991年8月発売のアルバム「I Need a Haircut」に収録されたトラック「アローン・アゲイン」において、オサリバンの音源をサンプリングで使用した(最初のピアノフレーズ8小節と alone again naturallyという3語をサンプリングし、これを繰り返してドラムトラックとラップのバックグラウンドとして使った[7])が、その使用許可を得なかったとして同年に著作権を所有するグランド・アップライト・ミュージックがマーキーとワーナー・ブラザーズ・レコード等に対して訴訟を起こし、原告が勝訴した[8]。印税支払いでの解決を望まぬ原告の要求どおりアルバムは回収され[9]、のちに別レーベルから「アローン・アゲイン」を除いて再発された。これ以降、ヒップホップ界でそれまで横行していた無断でサンプリングする行為に歯止めがかかることとなった[10]。
収録曲
編集この節の加筆が望まれています。 |
オリジナル
編集A面
- アローン・アゲイン / ALONE AGAIN (NATURALLY) - 3分37秒
B面
- セイヴ・イット / Save It - 2分39秒
日本再発盤
編集テレビアニメ及び1986年の実写映画『めぞん一刻』のテーマソングに使用された際、キティ・レコードより再発売された。その当時はレコードで発売されたが、8cmCDシングルとしても発売された。
A面
- アローン・アゲイン / ALONE AGAIN (NATURALLY) - 3分37秒
B面
- ゲット・ダウン / Get Down - 2分40秒
主なカバー
編集- 海外
- Van Kooten en De Bie(1972年)オランダ語詞。タイトルは「1948」。歌詞の内容は第二次世界大戦終戦から3年後の、地味であるが幸福な1948年の幼年時代の懐旧の情を扱ったものである。
- Raven Speaks(1972年)ウディ・ハーマン楽団のアルバム(インストゥルメンタル)。
- Dame Shirley Bassey(1976年)アルバム『Love, Life, and Feelings』に収録[11]。
- ブルー・ミッチェル(1993年)アルバム『Graffiti Blues』に収録。
- Tiki Dayan(2004年)ヘブライ語詞:Ehud Manor。タイトルは「VeShuv Levad」(ヘブライ語: "ושוב לבד", "Alone Again"の意味)。2007年にイスラエルのドラマシリーズ『Matay Nitnashek』主題歌として使用された。
- 58(2000年)『ダイエット・フォー・ア・ニュー・アメリカ』に収録。※モトリー・クルーのニッキー・シックスによるサイドプロジェクト
- ペット・ショップ・ボーイズ feat.エルトン・ジョン(2005年)プロモ盤のみで未発売。2017年にアルバム『リリース』の再発版の特典として収録された。
- 日本
- 九重佑三子(1971年)シングル。日本語詞:なかにし礼。タイトルは「また一人」。2000年代に入り、その独自のセンスによる訳詞がタモリ倶楽部や伊集院光の深夜ラジオで取り上げられたことから知られるようになった。
- 布施明(1972年)英語カバー。
- 麻丘めぐみ(1973年)アルバム『夢ひらくリサイタル』に収録。
- 金井克子(1973年)アルバム『他人の関係』に収録。
- 草刈正雄(1976年)日本語詞:山上路夫。アルバム『青春の光と影』に収録。
- 有頂天(1990年)日本語詞:ケラ。アルバム『カラフルメリィが降った街』に収録。
- 来生たかお ライブでカバー。[12]
- 杉山清貴(2009年)日本テレビ系『Oha!4 NEWS LIVE ウェザー』テーマソングとしてカバー。
- コブクロ(2010年)カバーアルバム『ALL COVERS BEST』収録。
タイアップ
編集- 海外
- 『スチュアート・リトル2』挿入歌
- 『ヴァージン・スーサイズ』挿入歌
- 『ふたりにクギづけ』挿入歌
- 『ザ・シンプソンズ』シーズン17「はらぺこで語る海の冒険」挿入歌
- 『ライフ・オン・マーズ』セカンドシリーズ 主題歌
- 『アイス・エイジ3/ティラノのおとしもの』(2009年)挿入歌[13]
- 日本
脚注
編集- ^ “ギルバート・オサリヴァン/アローン・アゲイン”. 国立国会図書館. 2019年2月21日閲覧。 - アルバムのタイトルは『アローン・アゲイン』であるが、冒頭の収録曲名は「アローン・アゲイン (ナチュラリー)」である。
- ^ Whitburn, Joel (2002年). Top Adult Contemporary: 1961-2001. Record Research. p. 187
- ^ Roberts, David (2006年). British Hit Singles & Albums (19th ed.). London: Guinness World Records Limited. p. 411. ISBN 1-904994-10-5
- ^ コンピレーション・アルバム『ナンバーワン70s ORICON ヒッツ』の裏ジャケット。ナンバーワン 70s 80s 90s オリコン・ヒッツも参照。
- ^ "Alone Again (Naturally)"
- ^ このシングルのジャケットはこのアルバムと同様のイラストを使用
- ^ 安藤和宏「アメリカにおけるミュージック・サンプリング訴訟に関する一考察(1) : Newton判決とBridgeport判決が与える影響」『知的財産法政策学研究』第22巻、北海道大学大学院法学研究科21世紀COEプログラム「新世代知的財産法政策学の国際拠点形成」事務局、2009年3月、201-231頁、hdl:2115/43582、ISSN 18802982。
- ^ サンプリングと著作権 ─裁判例1─ ~アメリカにおけるミュージック・サンプリング事件とは?Web担 2018年4月19日 原文 安藤和宏著『よくわかる音楽著作権ビジネス 実践編』1998年
- ^ ナンバーワン・キャラ、Biz Markie大復活!HMV 2003年10月1日
- ^ サンプリングを語る by RHYTHMERBLOOMINT MUSIC 2014年2月22日
- ^ Love, Life, and Feelings track list
- ^ →詳細は「来生たかお § 音楽的嗜好と影響」を参照
- ^ 一部歌詞が変更された。
- ^ アニメ版での起用は、諸般の事情によってその後引き続き起用することはなかった。→詳細は「めぞん一刻_(アニメ) § ギルバート・オサリバンの楽曲の使用について」を参照
- ^ 「CM音楽から消えた『時代の音』」『朝日新聞』1988年10月29日東京夕刊、7頁。
関連項目
編集先代 ビル・ウィザース 「リーン・オン・ミー」 |
Billboard Hot 100 ナンバーワンシングル 1972年7月29日 - 8月19日(4週) |
次代 ルッキング・グラス 「ブランディー」 |
先代 ルッキング・グラス 「ブランディー」 |
Billboard Hot 100 ナンバーワンシングル 1972年9月2日 - 9月9日(2週) |
次代 スリー・ドッグ・ナイト 「ブラック・アンド・ホワイト」 |
先代 ロバータ・フラックとダニー・ハサウェイ 「恋人は何処に」 |
Easy Listening ナンバーワンシングル 1972年7月29日 - 9月2日(6週) |
次代 ブレッド 「ギター・マン」 |
テレビアニメ『めぞん一刻』オープニングテーマ 1986年9月3日(第24回) | ||
前作: 斉藤由貴 『悲しみよこんにちは』 |
ギルバート・オサリバン 『アローン・アゲイン』 |
次作: 安全地帯 『好きさ』 |