アルベルト・フェルナンデス
アルベルト・アンヘル・フェルナンデス(スペイン語: Alberto Ángel Fernández、スペイン語発音: [alˈβeɾto ferˈnandes]、1959年4月2日 - )は、アルゼンチンの政治家、法学者。前大統領[2]。
アルベルト・フェルナンデス | |
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2021年 | |
アルゼンチン 第58代大統領 | |
任期 2019年12月10日 – 2023年12月10日 | |
副大統領 | クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル |
前任者 | マウリシオ・マクリ |
後任者 | ハビエル・ミレイ |
アルゼンチン 内閣官房長官 | |
任期 2003年5月25日 – 2008年7月23日 | |
大統領 | ネストル・キルチネル クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル |
前任者 | アルフレード・アタナソフ |
後任者 | セルヒオ・マッサ |
ブエノスアイレス市議会議員 | |
任期 2000年8月7日 – 2003年5月25日 | |
個人情報 | |
生誕 | アルベルト・アンヘル・フェルナンデス 1959年4月2日(65歳) アルゼンチン、ブエノスアイレス |
政党 | 正義党(1983年 - ) |
協力政党 | 勝利戦線(2003年 – 2008年) 刷新戦線(2013年 – 2015年) フレンテ・デ・トドス(2019年 - ) |
配偶者 | マルセラ・ルチェッティ (結婚 1993年、離婚 2005年) |
非婚配偶者 | ファビオラ・ヤニェス(2014年 – )[1] |
子供 | エスタニスラオ(1994年生) |
住居 | 大統領公邸(キンタ・デ・オリボス) |
出身校 | ブエノスアイレス大学 |
署名 |
2003年から2008年にかけて、ネストル・キルチネル政権およびその後継のクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル政権で内閣官房長官(内閣首席大臣)を務めた。その在任期間は、いまなお歴代長官中最長である。
経歴
編集ブエノスアイレス出身。生後両親が離婚し、母のセリアに引き取られた。実父のことをほとんど知らないため、母の再婚相手を本当の父のように慕っていた[3][4]。
ブエノスアイレス大学法科大学院を24歳で卒業後、刑法学者となり、ブエノスアイレス市議会や国会下院に顧問として出入りした。また、経済省法務局副局長に抜擢され、関税及び貿易に関する一般協定 (GATT) のウルグアイ・ラウンドにアルゼンチン代表団の首席交渉官として参加した。1989年から1992年には、大統領カルロス・メネムの推薦でラテンアメリカ保険業協会総裁を務めたほか、保険法の専門家としてメルコスールやラテンアメリカ統合連合 (ALADI) 、民間の保険会社などに顧問として参与した。1992年には「最も傑出したアルゼンチンの青年10人」に選出された。この間、元ブエノスアイレス州知事のエドゥアルド・ドゥアルデとは昵懇の間柄になっている。
2000年6月7日、元経済相のドミンゴ・カバージョが党首を務める保守政党「共和国のための行動」所属のブエノスアイレス市議会議員に選出された。
内閣官房長官
編集2003年、ネストル・キルチネルが大統領に選出されると、首相職に相当する内閣官房長官に指名された。それにともない、ブエノスアイレス市議会議員は辞職した。2007年にクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル(ネストルの妻)が大統領となって以降も、官房長官に留任した[5][6]。
2008年、キルチネル政権が輸出農産物に新たな税制を導入しようとし、農業団体と対立を深めると、政権の首席交渉官として奔走した。しかし、交渉は失敗に終わり、同年7月23日にフェルナンデスは内閣官房長官を辞任した。
与党派である正義党のブエノスアイレス市支部長に就任したが、2009年の国会議員選挙では目立った活動はなかった[7]。2011年の大統領選挙では、正義党の大統領候補に指名されるため活発に運動を展開したが[8]、最終的にクリスティーナ・キルチネルの再選を支持した[9]。2015年の大統領選挙では、正義党系の大統領候補、セルヒオ・マッサ陣営の選挙対策本部長を務めた[10]。
大統領選
編集2019年5月18日、クリスティーナ・キルチネルは大統領候補にフェルナンデスを指名し、自身はフェルナンデス陣営の副大統領候補となると発表した。大統領候補となったフェルナンデスの初めての遊説には、ネストル・キルチネルの義理のきょうだいにあたるサンタ・クルス州知事アリシア・キルチネルが応援に加わった[11][12] 。
クリスティーナの発表から約1か月後、フェルナンデス陣営は中間層の支持獲得のため、セルヒオ・マッサと「フレンテ・デ・トドス」と呼ばれる選挙協約を取り交わした。これによって、マッサが大統領選挙から撤退し、フェルナンデスの支持を表明する代わりに、大統領当選後、マッサを内閣もしくは下院における枢要な役職に就けることを誓約した[13]。フェルナンデスはまた、経済活性化と労働市場改革の凍結を条件に、労働総同盟の支持も取り付けた[14]。
8月11日の第一回投票で、フェルナンデスは得票率47.7%で全候補者中首位に立った。現職のマウリシオ・マクリの得票率は31.8%であった[15]。
本選挙は10月27日に実施されたが、得票率48.1%、マクリが40.4%で、第二回投票に進むことなくフェルナンデスが大統領に当選した[16]。
大統領
編集同年12月10日、大統領に就任した。12月23日には「社会的連帯・生産力回復法案」と名付けられた法案が議会を通過した[17] 。過去20年間で最悪とされる不況のなか、フェルナンデス政権は公共料金の180日間凍結、国家公務員の退職金や子ども手当の増額、最貧困層に属する200万家庭への配給切符の支給などを打ち出した。また、民間部門を債権者とする1000億米ドルの国債や、マクリ前政権が国際通貨基金 (IMF) から調達した450億米ドルの返済期日の再交渉にも乗り出した[17]。
また、連邦情報局 (AFI) の改革も発表した[18][19]。AFIをめぐっては、政治的な思惑から公職者が捜査対象にされているとの批判が出ていた[18]。
2021年1月21日、ロシアの新型コロナワクチン(スプートニクV)の接種を受けたものの[20][21]、同年4月3日にウイルス検査で陽性となったことを明かした[22][23]。
2023年4月21日、同年10月の2023年アルゼンチン大統領選挙に再選を目指して出馬せず、1期限りで退任する意向を表明した[24]。
脚注
編集- ^ “Fabiola Yáñez, la novia de Alberto Fernández: 'Él no quería ser candidato'” (26 August 2019). 2020年1月26日閲覧。
- ^ Dube, Ryan (27 October 2019). “Argentina’s President Mauricio Macri Concedes Election to Peronist Rival Alberto Fernández”. Wall Street Journal 27 October 2019閲覧。
- ^ “La historia de Alberto Fernández: de Villa del Parque a la Rosada, con una guitarra y la política a cuestas”. www.ambito.com. 2019年12月11日閲覧。
- ^ 20minutos (2019年10月28日). “Perfil | Alberto Fernández, el elegido de Cristina que logró llegar a la Presidencia” (スペイン語). www.20minutos.es. 2019年12月11日閲覧。
- ^ “Alberto Fernández habría vuelto con su esposa”. Agencia Nova. 4 March 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。23 June 2013閲覧。
- ^ “Alberto Fernández y Vilma Ibarra más juntos que nunca”. Perfil (26 August 2019). 2020年1月26日閲覧。
- ^ “Kirchner cargó contra Cobos y De Narváez en un acto porteño”. Clarín. 2020年1月26日閲覧。
- ^ “Alberto Fernández reiteró que no descarta ser candidato a presidente en 2011”. La Nación (24 March 2010). 2020年1月26日閲覧。
- ^ “Alberto Fernández se declara oficialista y ya se anota como candidato para 2015”. La Nación (30 August 2011). 2020年1月26日閲覧。
- ^ “Alberto Fernández: "Es indudable el deterioro en el voto de Sergio Massa"”. Minuto Uno. 2020年1月26日閲覧。
- ^ “Alberto Fernández presidente, Cristina Kirchner vice: el video en el que la senadora anuncia la fórmula”. La Nación (18 May 2019). 2020年1月26日閲覧。
- ^ “Alberto Fernández, en su primer acto de campaña: "Salgamos a convocar a todos"” (スペイン語). La Nacion (May 20, 2019). November 26, 2019閲覧。
- ^ “Argentina's Massa in line for key Congress role on Fernandez presidential ticket”. Reuters. (June 18, 2019) November 26, 2019閲覧。
- ^ Bullrich, Lucrecia (July 17, 2019). “Alberto Fernández recibió el respaldo de la CGT y dijo que no hará reformas” (スペイン語). La Naction November 26, 2019閲覧。
- ^ Mander, Benedict (August 12, 2019). “Alberto Fernández leads in Argentina’s nationwide primary”. Financial Times November 26, 2019閲覧。
- ^ Goñi, Uki (October 28, 2019). “Argentina election: Macri out as Cristina Fernández de Kirchner returns to office as VP”. The Guardian November 26, 2019閲覧。
- ^ a b “Fernández's economic emergency law wins approval in Senate”. Buenos Aires Times (23 Dec 2019). 2020年1月26日閲覧。
- ^ a b “Fernández taps Caamaño to lead overhaul of AFI intelligence agency”. Buenos Aires Times (20 Dec 2019). 2020年1月26日閲覧。
- ^ “Argentina's spy agency regroups, wins back power under Macri”. Ruters (20 Jul 2016). 2020年1月26日閲覧。
- ^ “Argentina's president sits for Russian Covid jab” (英語). France 24. (21 January 2021)
- ^ “Alberto Fernández, primer presidente de América Latina en vacunarse contra la covid-19 (in Spanish)” (スペイン語). EL PAÍS. (21 January 2021)
- ^ “アルゼンチン大統領コロナ陽性 ロシア製ワクチン接種済み”. 時事通信 (2021年4月3日). 2021年4月4日閲覧。
- ^ “Argentine leader Alberto Fernandez says he tests positive for the coronavirus”. ロイター (2021年4月3日). 2021年4月4日閲覧。
- ^ “アルゼンチン大統領、23年大統領選に不出馬”. ロイター. (2023年4月22日) 2023年11月20日閲覧。
外部リンク
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