アリス・ハサウェイ・リー・ルーズベルト

セオドア・ルーズヴェルトの1人目の妻

アリス・ハサウェイ・リー・ルーズベルト(Alice Hathaway Lee Roosevelt、1861年7月29日 - 1884年2月14日)は、アメリカ合衆国ソーシャライトである。後に第26代アメリカ合衆国大統領となるセオドア・ルーズベルトの最初の妻であるが、第1子を出産した2日後に死去した[1]

アリス・ハサウェイ・リー・ルーズベルト
Alice Hathaway Lee Roosevelt
アリス・ハサウェイ・リー c. 1880–1884
生誕 Alice Hathaway Lee
(1861-07-29) 1861年7月29日
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 マサチューセッツ州チェストナットヒル英語版
死没 1884年2月14日(1884-02-14)(22歳没)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 ニューヨーク州ニューヨーク市マンハッタン区
墓地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 ニューヨーク州ニューヨーク市ブルックリン区
グリーンウッド墓地
配偶者
子供 アリス・ルーズベルト・ロングワース英語版
親戚 ジョージ・カボット・リー・ジュニア英語版(弟)
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若年期

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アリス・ハサウェイ・リーは1861年7月27日にマサチューセッツ州チェストナットヒル英語版で生まれた。父は銀行家のジョージ・カボット・リー(George Cabot Lee)、母はキャロライン・ワッツ・ハスケル(Caroline Watts Haskell)である。祖父のジョン・クラーク・リー英語版は投資銀行リー=ヒギンソン英語版の創業者である。弟のジョージ・カボット・リー・ジュニア英語版は銀行家になった。

身長は5フィート6インチ(約170センチメートル)で、瞳はブルーグレー、髪はウェーブのかかった長い金色で、印象的な美しさとチャーミングさを兼ね備えていた。家族や友人は、その明るい性格から、彼女を「サンシャイン」と呼んだ[2][3]

結婚

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1878年10月18日、隣の家に住んでいる親戚のソルトンストール家で、アリスはセオドア・ルーズベルトと初めて会った。セオドアは、アリスのいとこのディック・ソルトンストールのハーバード大学でのクラスメイトだった。後にセオドアは、アリスとの初めての出会いについて、「彼女がどれだけ優しく見え、どれだけ可愛らしく私に挨拶をしたか、私の生涯において忘れることはないだろう」と書いている。

1879年6月、セオドアはアリスに求婚したが、承諾の返事が返るまでに8か月かかった。1880年4月に2人の婚約が発表された[4][5]

 
ルーズベルトの婚姻証明書(1880年)

1880年10月27日、セオドアの22歳の誕生日に、マサチューセッツ州ブルックラインユニテリアンの教会で結婚式が行われた。アリスは19歳だった。結婚後最初の2週間をニューヨーク州オイスターベイにあるルーズベルト家の別荘で過ごした後、夫妻はニューヨークのセオドアの母マーサ・ブロック・ルーズベルト英語版の家で生活した[6]。セオドアがコロンビア・ロー・スクールに入学したため、新婚旅行は翌年の夏まで延期された。

アリスは夫と共にニューヨークの社交界にデビューした。1881年、新婚旅行としてヨーロッパを5か月間旅行した。1882年10月、アリスはニューヨーク州議会議員となった夫が州都オールバニで借りている家に移り住み、ニューヨーク州の政治について学んだ。1883年夏にアリスが妊娠すると、夫妻は大家族になることを想定して、大きな邸宅を建てるために、ルーズベルト家の別荘の近くに土地を購入した。その年の秋、アリスはニューヨークの義母の家に戻った[7]

出産と死去

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アリスは1884年2月12日午後8時30分に娘を出産した。当時、セオドアは、オールバニで州議会に出席していた。2月13日の朝、セオドアは出産を知らせる電報を受け取り、その日の午後に妻の元へ向かう手配をした。しかし、その電報の直後に、妻の体調不良を伝える電報を受信した。セオドアはその日の真夜中に妻の元に到着したが、そのときアリスは半昏睡状態になっていた[7]

アリスは夫に抱きかかえられながら数時間苦しんでいたが、1884年2月14日の午後に死去した。22歳だった[8]。この日は、アリスが求婚に対する返事を返してからちょうど3年後だった。死後、死因は未診断のブライト病であると判明し、アリスは体調が悪いのを夫や義母に隠していたことがわかった。

同じ日の早朝、義母マーサも同じ家で腸チフスにより死去していた。2人の葬儀は合同で、ニューヨークの五番街長老派教会英語版で行われた[9]。遺体はブルックリン区グリーンウッド墓地に、義母の墓と隣り合わせで埋葬された。

死後

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妻が亡くなった日のセオドア・ルーズベルトの日記。大きなバツ印の下に"The light has gone out of my life"(私の人生の光が消え去ってしまった)とだけ書かれている。

妻と母を同じ日に喪ったルーズベルトは取り乱し、それ以降、妻アリスのことをほとんど話さなくなった。ルーズベルトが妻についてその死後に書いたのは、死去当日の日記と、個人的に発表した妻に対する以下の短い追悼文だけであり、自伝でも最初の妻については触れられていない。

彼女は顔も姿も美しく、精神はそれ異常に愛らしかった。彼女は花のように成長し、美しく若い花のように死んでいった。彼女の人生はいつも日の光の中にあった。彼女にはほんの少しの悲しみもなかった。彼女の明るく快活な気質と聖人のような寛大さを愛し、尊敬しない者はいなかった。乙女のように美しく、純粋で、陽気であり、愛情深く、優しく、幸せだった。若い妻として、彼女がまさに母親になったそのとき、彼女の人生が始まったばかりのように思えたとき、そしてこれからの年月がとても輝いて見えたとき――驚くべき恐ろしい運命によって、彼女に死が訪れた。そして、私の心の愛しい人が死んだとき、私の人生から永遠に光が消え去った[10]

アリスが産んだ娘は、母親と同じアリス英語版と名づけられた。ルーズベルトは、生まれたばかりの娘アリスの世話を、自身の姉のベイミー・ルーズベルト英語版に任せきりにした。ルーズベルトは、姉は結婚しないつもりだろうと考えていたからである[11]。ルーズベルトが娘のアリスに母親のことを語ることはなく、アリスは、育ての親のベイミーや父方の祖父母から、実の母親のことを聞いた[12]。ルーズベルトは妻のことを忘れようと、日記から妻について書かれているページを破り捨て、妻と交わした手紙の大半を焼却した[13]

ルーズベルトは1886年にイーディス・カーロウ英語版と再婚し、3歳になった娘アリスの親権を取得した[12][14]

脚注

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  1. ^ Commire, Anne (1999). Women in World History: A Biographical Encyclopedia. Yorkin Publications. https://archive.org/details/womeninworldhist05comm 
  2. ^ Carol Felsenthal (December 31, 2003). Princess Alice: The Life and Times of Alice Roosevelt Longworth. Macmillan. pp. 15–. ISBN 978-0-312-30222-1. https://books.google.com/books?id=JJI2oPplpp0C&pg=PA15 May 21, 2012閲覧。 
  3. ^ Stacy A. Cordery (September 30, 2008). Alice: Alice Roosevelt Longworth, from White House Princess to Washington Power Broker. Penguin. pp. 6–. ISBN 978-0-14-311427-7. https://books.google.com/books?id=LEhXe8WSrOwC&pg=PA6 May 21, 2012閲覧。 
  4. ^ Cordery, S. A.:"Alice: Alice Roosevelt Longworth, from White House Princess to Washington Power Boker, page 10, Viking Penguin Viking, 2007.
  5. ^ Felsenthal, C.: "Princess Alice: The Life and Times of Alice Roosevelt Longworth, page 17, St. Martin's Press, 1988.
  6. ^ Pringle, H. F.:"Theodore Roosevelt: A Biography" page 45, Blue Ribbon Books, 1931.
  7. ^ a b TR Center”. 2024年1月24日閲覧。
  8. ^ Felsenthal, C. "Princess Alice: The Life and Times of Alice Roosevelt Longworth, p. 29-32.
  9. ^ Alice Hathaway Lee Roosevelt”. May 9, 2016閲覧。
  10. ^ Miller, Nathan, (1992) Theodore Roosevelt: A Life, pg 158, ISBN 978-0-688-13220-0, ISBN 0-688-13220-0, New York, Quill/William Morrow
  11. ^ Morris, Edmund (1980). The rise of Theodore Roosevelt. New York: Ballantine Books. ISBN 9780345287076. https://archive.org/details/riseoft_mor_1980_00_0970 
  12. ^ a b Monk, William Everett. Theodore and Alice: The life and death of Alice Lee Roosevelt. Interlaken, N.Y.: Empire State Books, 1994, pp. 51-68
  13. ^ Morris, Edmund (1980). The rise of Theodore Roosevelt. New York: Ballantine Books. ISBN 9780345287076. http://www.abebooks.com/servlet/BookDetailsPL?bi=19556078196&searchurl=isbn%3D9780345287076%26sortby%3D17 
  14. ^ Miller, Nathan (1992). Theodore Roosevelt: A Life. Morrow. ISBN 9780688067847. https://archive.org/details/theodoreroosevel00mill 

外部リンク

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