アラジン (オペラ)

スウェーデンのオペラ作品

『アラジン』(ニ長調、作品43)は、クルト・アッテルベリがブルーノ・ハルト・ヴァーデンとイグナツ・イヒャエル・ウェレミンスキーの脚本を基に作曲したオペラである[1]スウェーデン語ドイツ語による二つのバージョンがある。オペラのストーリーは『千夜一夜物語』の中の『アラジンと魔法のランプ』を基にしている。初演は1941年3月18日ストックホルムスウェーデン王立歌劇場で行われた。

アラジン
クット・アッテルベリ作曲のオペラ
劇作家ブルーノ・ハルト・ウァーデン、イグナツ・ミヒャエル・ウェレミンスキー
言語スウェーデン語ドイツ語
題材アラジン
初演1941年3月18日 (1941-03-18)
スウェーデン王立歌劇場ストックホルム

作曲の経緯

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作曲の案は、1936年8月にクルト・アッテルベリが原作者のヴァーデンらと、ドイツのガルミッシュ=パルテンキルヒェンで会った時に生まれた。アッテルベリが翌年7月15日にピアノ譜の作曲を開始した時には、すでに台本の大部分が完成していた。1940年8月24日、ピアノ譜が完成し、オーケストレーションに取り掛かり、翌年1月28日に完成する。しかし、序曲のみドイツ初演の際に後に書かれている。台本のスウェーデン語への翻訳は、アッテルベリが妻と共に行った。ウェレミンスキーはユダヤ人であったため、出版社は作者であることを示さなかった(ウェレミンスキーはその後アメリカに亡命し、1942年に亡くなった)。

アッテルベリが指揮や他の作曲で多忙であり、また第二次世界大戦の勃発によって、作曲には非常に時間がかかった[2]

上演の歴史

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初演は1941年にストックホルムのスウェーデン王立歌劇場で、ステンオーク・アクセルソン指揮によって行われた[3]。スウェーデン王であったグスタフ5世を含む、スウェーデン王室人々の観覧のもとであった。アッテルベリは踊りを除いて、作曲には満足していたが、アッテルベリらの期待とは裏腹にオペラは成功とは言えず、11回しか上演されることは無かった[2]。世界初演の公演はスウェーデン放送局によって放送され、アセテート盤に録音された[4]。1968年の序曲の録音と合わせて[5]この録音は2017年までは唯一の録音であった。

初演時のメンバーはアイナル・アンデション(アラジン)、ルース・モバーグ(ライラ)、ジョエル・ベルグルンド(ムルク)、ビョルン・フォルセル、アルネ・ウィレン、レオン・ビョルカー、フォルケ・ジョンソンだった。

ドイツ初演は1941年10月18日にケムニッツ劇場で行われた[6]。指揮者は「拍手は序曲の直後に起こり、幕間ごとに増加し、最後はスタンディングオベーションになった。この作品はずっと成功し続けるだろう。」[7]と述べているが、やはりそれ以来上演されることは無かった[8][9]

2017年3月11日、ジョナス・アルバーの指揮で、世界で3回目の公演がブラウンシュヴァイク劇場で上演された。この公演は、ラジオ[10]を通じて放送され、批評家に興奮して受け取られまた[11]。主なメンバーは、マイケル・ハ(アラジン)、ソレン・マインゲネ(ライラ)、フランク・ブリーズ(ナズレディン)、セルチュク・ハカン・ティラソグル(乞食/シャバビラ)、オレクサンドル・プシュニアック(ムルク)。政治的に正確にすることを目的に、台本は1941年の元の台本とは異なり[9] 、舞台を旧ソ連下の中央アジアにしている。

音楽

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最初の作曲以来、アッテルベリは東洋的な旋律を曲に取り入れる努力をしていたが、成功しなかった。アラジンには、それらの作曲から多くの構想を取り入れている[12]

オペラは後期ロマン派のダイナミックな形式がとられていて、明るい音色、大きな旋律のライン、そして東洋のテーマによって支配される[7]。このオペラを、ニコライ・リムスキー=コルサコフのオペラにおけるオリエンタリズムに、アメリカのポップの要素が混ざっているとみなす批評家もいる[11]。アッテルベリの交響曲の演奏機会が多いことに比べて、アラジンを含むほとんどのオペラは演奏されることがなく、忘れられている。

編成

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脚注

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  1. ^ Johnston. “New lamps for old: rediscovery of a Swedish Arabian Nights opera”. bachtrack.com. bachtrack.com. 23 October 2017閲覧。
  2. ^ a b Christian Steinbock und Stieg Jacobson: ... dass alle Hörer gefesselt werden, in: Programmheft, Staatstheater Braunschweig, 2017, S. 14–20.
  3. ^ Aladdin, review at musirony.de, accessed 29 January 2017.
  4. ^ Från urpremiären på Kurt Atterbergs sagoopera Aladdin, Svensk Mediedatabas, accessed 4 Augusti 2018
  5. ^ Rybrant. “Aladdin (overture)”. kb.se. Kungliga Biblioteket. 4 August 2018閲覧。
  6. ^ Karl-Josef Kutsch, Leo Riemens: Großes Sängerlexikon, vol. 4, 4. edition, de Gruyter, 2004
  7. ^ a b Aladin, Staatstheater Braunschweig, accessed 11 March 2017
  8. ^ Erik Levi: "Opera in the Nazi period" in: John London (ed.): Theatre under the Nazis. Manchester University Press, 2000, pp. 136–186.
  9. ^ a b Norddeutscher Rundfunk: "Aladin: Premiere für eine vergessene Oper", accessed 11 March 2017
  10. ^ Deutschlandradio Kultur: "Schleierhaft schön", accessed 11 March 2017
  11. ^ a b Frankfurter Allgemeine Zeitung: "Der Staat endet, und das Glück fängt an", 13 March 2017.
  12. ^ Christian Biskup: "Eine Welt voller kleiner Wunder" in: program booklet, Staatstheater Braunschweig, 2017, pp. 34–35.