アメリカスミレサイシン

アメリカスミレサイシン(亜米利加菫細辛、学名:Viola sororia、英名:common blue violet)は北アメリカ東部に自生する茎の短い 多年生の草本植物。原産地ではcommon meadow violetpurple violetthe lesbian flowerwoolly blue violethooded violetwood violetなど多くの名前で知られる。

アメリカスミレサイシン
神奈川県横浜市のアメリカスミレサイシン(2017年4月撮影)
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ上類 Superrosids
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : マメ類 Fabids
: キントラノオ目 Malpighiales
: スミレ科 Violaceae
: スミレ属 Viola
: V. sororia
学名
Viola sororia Wild.
シノニム
  • Viola affinis Leconte
  • Viola chalcosperma Brainerd
  • Viola cucullata var. sororia (Willd.) Torr. & A. Gray
  • Viola floridana Brainerd
  • Viola langloisii Greene
  • Viola latiuscula Greene
  • Viola missouriensis Greene
  • Viola novae-angliae House
  • Viola palmata var. sororia (Willd.) Pollard
  • Viola papilionacea Pursh
  • Viola pratincola Greene
  • Viola priceana Pollard
  • Viola rosacea Brainerd
英名
common blue violet

日本においては、明治以降に園芸植物として導入されたものが北海道から四国に逸出帰化しており[1]、人家近くの道端や空き地などで見られることがある[2]

ヒョウモンチョウ族類の幼虫が食草とし、シチメンチョウウサギシカ家畜ナゲキバトコリンウズラ、シロアシネズミも餌とする[3]

イリノイ州, ロードアイランド州, ニュージャージー州およびウィスコンシン州州の花に指定されている。

種子は自然に散布し、芝生では雑草とみなされることもある。晩夏から初秋には閉花受粉した種子も短い茎の上に頭状に付く。

1900年代初頭にレズビアンの女性が求愛のために贈っていたため、アメリカスミレサイシンは lesbian flower とも呼ばれる。古代ギリシャの女性詩人サッポーが詩の中で恋人とともにスミレの花輪をかぶる描写をしているため、同性愛のシンボルとされたことによる。この習慣は1910年代から1930年代に普及した。

利用

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芝生や庭の花としての利用に加えて、アメリカスミレサイシンは歴史的には食用や薬用に用いられてきた。 花と葉は食用可能であり、根も食べられるとする情報源もある。

チェロキー族風邪頭痛の治療に服用した。 植物学者のラフィネスクは著書Medical Flora, a Manual of the Medical Botany of the United States of North America (1828 - 1830)の中で、アメリカの同時代人がアメリカスミレサイシンを咳、咽頭痛便秘に用いていると書いている。

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ 清水建美『日本の帰化植物』平凡社、2003年、141頁。ISBN 4-582-53508-9 
  2. ^ 岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本 収録数600種以上!』秀和システム、2014年、108頁。ISBN 479804136X 
  3. ^ Common Blue Violet”. 2017年10月28日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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