アマータ
アマータ(羅: Amata)は、ローマ神話におけるラテン人の王ラティーヌスの妻で、娘ラーウィーニアの母[1]。長音を省略してアマタとも表記される。
神話
編集ウェルギリウスの叙事詩『アエネーイス』によると、アマータと夫ラティーヌスとの間には息子がいたが、若くして世を去り、娘のラーウィーニアしかいなかった[2]。彼女の娘には非常に多くの求婚者が現れた。その中でも結婚相手の最有力の候補はトゥルヌスであり、アマータは娘をトゥルヌスと結婚させようと熱心に考えていた[3]。後に英雄アエネーアースがラーウィーニアとの結婚を求めてきたとき、アマータはトロイア人を憎む女神ユーノーによって呼び出された復讐の女神アレークトーに扇動され、ラーウィーニアとトゥルヌスの婚約が既に成立していると主張して反対した。しかしその効果がなかったとき、アレークトーの蛇に突き動かされて狂乱した。その様子を見るとアレークトーはさらにトゥルヌスとアエネーアースの戦争を画策して回った[4]。この物語は『アエネーイス』第7巻の大部分を構成している。トゥルヌスが戦死したことを知ると、アマータは首を吊って死んだ[5][6]。
脚注
編集参考文献
編集- ウェルギリウス『アエネーイス』岡道男・高橋宏幸訳、京都大学学術出版会(2001年)
- 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店(1960年)
- この記事には現在パブリックドメインである次の出版物からのテキストが含まれている: Smith, William, ed. (1870). "Amata". Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology (英語).