アパーチャーグリル(アパーチャグリルとも)はCRTディスプレイの技術の一つで、電子ビームRGBすなわち赤、緑、青の各色をすだれ状に表示するものを指す。他のCRTディスプレイの技術にシャドーマスクスロットマスクがある。

アパーチャーグリル方式の画面拡大図。
アパーチャーグリル方式による英字「e」の拡大図。

概要

編集

アパーチャーグリルは金属の薄い板に走査線移動方向に対してほぼ直角(大抵は垂直)にすだれ状の穴があけられている。垂直方向に細い金属線がすだれ状に張られているとも表現できる。振動で穴が揺れ、隣り合ったマスク同士が接触して映像が乱れるのを防ぐために、水平方向にさらに細い金属線の支持体(テンションワイヤー、ダンパー線、ダンパ線)が1~3本入れられている(画面に見えるごく細い水平線はそれである)。支持体は画面表面のガラスのすぐ裏側に置かれ、画面サイズにより本数や位置が異なる(1本の場合は画面中央、2本の場合画面上下の4分の1ほどに配置されるなど、各社でさまざまである)。

アパーチャグリルは、シャドーマスクのように穴が正六角平面充填状に開いた型よりも、遮断される電子ビームが少なく透過量が多いため、より高輝度の画面となるほか、マスクピッチ(マスクに開いた穴の間隔)をより細かく出来ることから、にじみの少ない映像出力を特徴とする。

シャドーマスクと同様、電子ビームを浴び続けて熱を持つため、熱膨張しにくい素材が使用される。一方で、すだれ状の細い構造体が無数に並ぶため、大画面化が難しい。

歴史

編集

アパーチャーグリル方式を初めて採用したのはノーベル物理学賞受賞者であるアーネスト・ローレンスによって発明されたクロマトロン(w:Chromatron)である。

アメリカでの展示会でクロマトロンの展示を見たソニーの技術者が技術を改良し、独自ブランドの「トリニトロン」を開発した。のちに三菱電機も同様の構造を採用し、「ダイヤモンドトロン」を開発した。トリニトロンとダイヤモンドトロンの違いは、電子銃の数である。トリニトロンは1つだった(CMでは1ガン3ビームとうたっていた)のに対して、ダイヤモンドトロンの電子銃は3本であった。


外部リンク

編集