アニュス・デイ
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アニュス・デイとは、ラテン語のAgnus Deiの音写。アグヌス・デイとも。
- 神の子羊 - イエス・キリストを象徴する表現の一つ。
- 神の子羊の祈祷文(神羔頌、神羊唱) - カトリック教会の聖体祭儀、一部のプロテスタント教会の聖餐式、正教会の西方奉神礼において用いられる。アニュス・デイの起源は5世紀で、イースター(復活祭)の折に、教会に灯される蝋によってキリストを象徴する神の子羊と十字架がかたどられる円形、もしくは楕円形のかたちに作られた聖具である。教皇の就任の年に奉献され、その後7年ごとに再び奉献されることとされていた〔National Catholic Register: Have You Ever Heard of the Ancient Agnus Dei Devotion?, https://www.ncregister.com/blog/have-you-ever-heard-of-the-ancient-agnus-dei-devotion〕。14世紀、教皇グレゴリウス11世の代のものが現存する最古のアニュス・デイで、20世紀、第2バチカン公会議の後に、アニュス・デイの聖餐式はとりやめられることとなった。アニュス・デイは、教皇より君主をはじめ重要な人物に授けられ、災害・疫病・出産の祈りのための守りとして用いられた〔Papal Artifacts: The Ancient Agnus Dei Devotion, https://www.papalartifacts.com/the-ancient-agnus-dei-devotion/〕。日本では、病気の女性が、蝋のアニュス・デイの力によって治癒したとの記録が、イエズス会宣教師の報告(『十六・七世紀 イエズス会日本報告集』)中に見え、アニュス・デイが、カトリック会士によって日本にもたらされ、治病のために用いられたことが知られる。長崎のかくれキリシタンには、アニュス・デイによる災害除け、治病を祈るオラショが伝えられており(外海地域の「ドソンのオラショ」等)、江戸幕府の禁教政策により宣教師が日本を去った後も、アニュス・デイの信仰が大切にされてきたことが知られる。
- アニュス・デイ - 上の祈祷文にもとづく楽曲、特にミサ曲の一部 → アニュス・デイ (音楽)