アナバシン
アナバシン (Anabasine) とはニコチンの類縁化合物でニコチノイドの一種である。光学活性化合物で、天然に存在するのは (S)-(-)体でCAS登録番号は [494-52-0]、非天然型の (R)-(+)体は [34366-21-7]、ラセミ体は [13078-04-1] である。(S)-(-)体の比旋光度 [α]D20 は −83.1°[1]。アカザ科アナバシス属の植物 (Anabasis aphylla)、南米原産のキダチタバコ (Nicotiana glauca) に含まれる。ネオニコチンともいう。
(S)-アナバシン | |
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(S)-3-(2-ピペリジル)ピリジン | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 494-52-0 |
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特性 | |
化学式 | C10H14N2 |
モル質量 | 162.23 g/mol |
密度 | 1.0455 g/cm3 (20 °C) [1] |
融点 |
9 °C[1] |
沸点 |
270-272 °C[1] |
危険性 | |
安全データシート(外部リンク) | External MSDS |
引火点 | 93 °C |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
薬理学
編集アナバシンはニコチンアセチルコリン受容体アゴニスト毒素であり、ニコチンアセチルコリンエステラーゼ受容体に作用するアセチルコリンエステラーゼ阻害剤である。また、アナバシンはヒトへのタバコの煙の暴露を調べる指標である[2]。多量のアナバシンはニコチンアセチルコリン受容体の減極遮断を引き起こしニコチン中毒による死に至らせる[3]。
工業的には殺虫剤として製造されている。
参考文献
編集- ^ a b c d Merck Index 14th ed., 619.
- ^ P. Jacob, 3rd, L. Yu, A. T. Shulgin and N. L. Benowitz (1999). “Minor tobacco alkaloids as biomarkers for tobacco use: comparison of users of cigarettes, smokeless tobacco, cigars, and pipes”. Am J Public Health 89 (5): 731-736 .
- ^ Mizrachi, N.; Levy, S.; Goren, Z. (2000). “Fatal poisoning from nicotiana glauca leaves: identification of anabasine by gas-chromatography/mass spectrometry”. Journal of Forensic Sciences 45 (3): 736-741. PMID 10855991.