アダニ・グループ
アダニ・グループ(英語: Adani Group、ヒンディー語: अदानी समूह)は、インド北西部、グジャラート州の州都アフマダーバードを拠点とする、インドの巨大コングロマリット。
種類 | 非上場会社 |
---|---|
本社所在地 |
インド グジャラート州アフマダーバード |
設立 | 1988年 |
業種 | 複合企業(コングロマリット) |
事業内容 | 港湾管理、鉱山開発、エネルギー |
代表者 | ゴータム・アダニ |
従業員数 | 23,000人超 (2023年) |
主要子会社 |
アダニ・エンタープライズ アダニ・ポート・アンド・スペシャル・エコノミック・ゾーン アダニ・グリーンエナジー アダニ・パワー |
外部リンク |
www |
1988年にゴータム・アダニが貿易会社として創業し、アダニ・エンタープライズを旗艦会社としている。グループは、港湾管理から鉱業、発電・送電、再生可能エネルギー、空港運営、天然ガス、食品加工、インフラなど、多様な事業を展開している。
概要
編集1988年、ポリマー商社を営んでいたアダニが、5インド・ルピーを資本金として貿易会社Adani Exports Limitedを設立(現在のアダニ・エンタープライズ)。農作物、繊維、金属など事業領域を広げる中で、あるとき同州カッチ地方にあるインド最大の塩田から塩を調達するという大口注文を抱えながらも、輸送がうまくいかず悪戦苦闘。そこで資産構築戦略の一環として、1995年にムンドラ港で港湾部門に参入。この港はアダニ・ポート・アンド・スペシャル・エコノミック・ゾーンの管理下に置かれ、インド最大の民間港湾であり、港の近くに経済特別区がつくられた[1]。アダニ自身が「人生最大の転機の1つ」と言うように[2]、これを機に飛躍し、石炭貿易、食品事業、電力事業、鉱業、再生エネルギー事業、空港運営などに次々と参入した。
アダニ・エンタープライズはインド最大の石炭貿易会社かつ炭鉱会社であり、アダニ・パワーは最大の民間電力会社である[3]。
新興財閥ながら成長目覚ましく[1]、2021年4月にアダニ・グループの時価総額は1000億ドルを超え、さらに2022年4月には2000億ドルを超え、リライアンス・インダストリーズとタタ・グループに次ぐインド第3のコングロマリットとなった。それに伴い、ゴータムの保有資産は、一時世界2位まで急浮上した[4]。2022年11月にはタタ・グループを上回る2800億ドル(24兆インドルピー)に到達した。
しかし、2023年1月に空売り投資会社ヒンデンブルグ・リサーチが、グループは株価操作や不正会計などを長年続けているという旨の報告書を公表したことで、株価が急落[5][6]。一時は約2週間で約9兆1千億ルピー(約14兆円)減少し、半分以下となった。これは「アダニ問題」として金融市場を揺らした[7]。日本でも、大手運用会社が関連銘柄の組み入れ比率を公表するなど対応に追われる事態となった[8]。アダニが一部借り入れを繰り上げ返済し、港湾部門が債務比率の改善を約束したことなどにより投資家懸念は後退し、株価も回復傾向を見せた[9]。
脚注
編集- 出典
- ^ a b “インドの新興財閥「アダニ」の成功方程式”. 東洋経済オンライン (2014年10月23日). 2023年2月9日閲覧。
- ^ Joseph, Anto T. (2007年12月8日). “Gautam Adani: Another Gujarati who made it big”. The Economic Times. ISSN 0013-0389 2023年2月9日閲覧。
- ^ “インド火力発電所におけるアンモニア混焼を見据え, 技術的検討および経済性の検証を開始”. 株式会社IHI. 2023年2月9日閲覧。
- ^ “世界長者番付2位に急浮上したインドの富豪、ゴータム・アダニ”. forbesjapan.com. 2023年2月9日閲覧。
- ^ “大勝負に出たNYの空売り投資家-標的はインド屈指の企業帝国アダニ”. Bloomberg.com. 2023年2月9日閲覧。
- ^ “インド財閥アダニに不正疑惑 モディ政権痛手も”. 東京新聞 TOKYO Web. 2023年2月9日閲覧。
- ^ “「アダニ問題」で金融市場が大揺れのなかでインド中銀はどう動く? ~利上げ局面の終了接近を示唆、市場の動揺にも静観の構えも、政策運営は困難の度合いが増す懸念~”. www.dlri.co.jp. 2023年2月9日閲覧。
- ^ “野村や三井住友など大手運用会社、アダニ問題で相次ぎ顧客に情報開示”. Bloomberg.com. 2023年2月10日閲覧。
- ^ “アダニ銘柄の大半が続伸、借り入れ巡る投資家懸念後退”. Bloomberg.com. 2023年2月10日閲覧。