アゼルバイジャングランプリ
アゼルバイジャングランプリ(アゼルバイジャンGP, 英: Azerbaijan Grand Prix)は、アゼルバイジャンのバクー市街地コースで2017年から開催されているF1世界選手権レースの1戦である。
バクー市街地コース (Azadliq Square)[1][2][注 1] | |
レース情報 | |
---|---|
周回 | 51 |
コース長 | 6.003[3] km (3.730 mi) |
レース長 | 306.049[3] km (190.170 mi) |
開催回数 | 7 |
初回 | 2017年 |
最多勝利 (ドライバー) | セルジオ・ペレス (2) |
最多勝利 (コンストラクター) | レッドブル (4) |
最新開催(2024年): | |
ポールポジション |
シャルル・ルクレール フェラーリ 1:41.365 |
決勝順位 |
1. オスカー・ピアストリ マクラーレン-メルセデス 1:32:58.007 2. シャルル・ルクレール フェラーリ +10.910s 3. ジョージ・ラッセル メルセデス +31.328s |
ファステストラップ |
ランド・ノリス マクラーレン-メルセデス 1:45.255 |
バクー市街地コースでのF1初開催は2016年であるが、この年のみヨーロッパグランプリとして開催されている。
概要
編集2016年、アゼルバイジャンのバクー市街地コースにて、初めてF1が開催されることになった[4]。アゼルバイジャンでは重複するF1のレースが無く、「アゼルバイジャングランプリ」の名称でも開催が可能であったが、この年のみ「ヨーロッパグランプリ」の名称を使用し、翌2017年からは「アゼルバイジャングランプリ」へ変更することになった[5]。
バクー・シティ・サーキットのエグゼクティブディレクターを務めるアリフ・ラヒモブは、2016年のみ「ヨーロッパグランプリ」の名称を使用した理由について「イベント初開催にあたり、我々の国をヨーロッパの一部、ヨーロッパのレースとして位置づけたかったし、また世界に我々のヨーロッパのメンタリティ、外国人観光客がここに容易に訪問し、快適性を見つけられるという我々の国の開放性を示したかった」とコメントしており、名称変更の理由については「現在、我々はレースを“F1アゼルバイジャンGP”へと名前を変えるのに適切な時間だと感じている。今夏のレース後、多くのF1ファンが我々の社会がヨーロッパのメンタリティと密接に関連していることを発見したが、2017年以降もアゼルバイジャンでレースが開催される今、注目を引くには適切な時間だと感じた」と述べている[5]。
コース幅の狭い市街地コースであるが故にセーフティカーが出動するケースが多く、荒れた展開になりやすい傾向にある[6]。
2016年から10年間のグランプリ開催契約を締結したが、2018年にこの契約の解約条項が発動され、2020年までに短縮された。2019年に改めて3年間の延長契約が成立し、2023年まで開催されることになった[7]。契約期間が満了する2023年に3年間の契約延長が発表され、2026年までの開催が決定した[8]。
2016年と2017年は6月、2018年と2019年は4月に開催され[9]、2020年は6月に戻る予定であったが[10]、2019新型コロナウイルスの感染拡大の影響により中止された[11]。2023年は再び4月に戻り[12]、2024年は9月の開催となる[13]。
主な出来事
編集- 2017年 - セーフティカーが3回出動し、2回目の出動時にセバスチャン・ベッテルがルイス・ハミルトンに追突。ベッテルは10秒ストップのペナルティを科せられ、ハミルトンもヘッドレストにトラブルが発生して優勝争いから脱落した。荒れたレースを制したのはスタート後にトラブルでピットインし、最下位から追い上げたダニエル・リカルドであった[6]。またこの年デビューしたウィリアムズのランス・ストロールが3位に入りF1での初表彰台を獲得した。
- 2018年 - 激しいバトルを繰り広げたレッドブルの2台(リカルドとマックス・フェルスタッペン)が同士討ちにより両者リタイア。レース終盤の残り3周、セーフティカー明けに2位のセバスチャン・ベッテルがトップを走行中のバルテリ・ボッタスのオーバーテイクを試したが、オーバーラン。次の週にはボッタスもタイヤがバーストして優勝を逃し、ハミルトンがレースを制した[6]。
- 2019年 - FP1でコース上のマンホールの蓋が浮き、ジョージ・ラッセルのマシンのフロアを直撃するという事故を筆頭にストロールやクビアトなどが相次いでクラッシュした。決勝レースでは、バーチャルセーフティカーが1回発令したものの決勝レースは荒れることもなくメルセデスがF1史上初の開幕から4戦連続1-2フィニッシュを達成した[14]。
- 2021年 - 予選で相次いでウォールにクラッシュしたなか、シャルル・ルクレールがポールポジションを獲得した。決勝レースでは、ピットストップ戦略でトップに立ったマックス・フェルスタッペンが47周目に突然左リアタイアがバーストしてウォールにクラッシュ。レースは49周目に赤旗中断となった。残り2周のスタンディングスタートでレースは再開したが、2番グリッドのルイス・ハミルトンが1コーナーでオーバーシュートし、ポイント圏外へと脱落する。優勝は6番スタートで赤旗中断前にトップに立ったセルジオ・ペレスが優勝。レッドブル移籍後初勝利となった。2位はセバスチャン・ベッテルがアストンマーティンF1移籍後初表彰台を獲得。3位はスクーデリア・アルファタウリのピエール・ガスリーが入った。
過去のレース結果
編集年 | 決勝日 | ラウンド | サーキット | 勝者 | コンストラクター | 結果 |
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2017 | 6月25日 | 8 | バクー | ダニエル・リカルド | レッドブル-タグ・ホイヤー | 詳細 |
2018 | 4月29日 | 4 | バクー | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 詳細 |
2019 | 4月28日 | 4 | バクー | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 詳細 |
2020 | 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行のため中止 | |||||
2021 | 6月 | 6日6 | バクー | セルジオ・ペレス | レッドブル-ホンダ | 詳細 |
2022 | 6月12日 | 8 | バクー | マックス・フェルスタッペン | レッドブル-RBPT | 詳細 |
2023 | 4月30日 | 4 | バクー | セルジオ・ペレス | レッドブル-ホンダ・RBPT | 詳細 |
2024 | 9月15日 | 17 | バクー | オスカー・ピアストリ | マクラーレン-メルセデス | 詳細 |
出典:[15] |
優勝回数
編集ドライバー
編集回数 | コンストラクター | 優勝年 |
---|---|---|
2 | セルジオ・ペレス | 2021, 2023 |
1 | ダニエル・リカルド | 2017 |
ルイス・ハミルトン | 2018 | |
バルテリ・ボッタス | 2019 | |
マックス・フェルスタッペン | 2022 | |
オスカー・ピアストリ | 2024 | |
出典:[16] |
- 太字は2024年のF1世界選手権に参戦中のドライバー。
コンストラクター
編集回数 | コンストラクター | 優勝年 |
---|---|---|
4 | レッドブル | 2017, 2021, 2022, 2023 |
2 | メルセデス | 2018, 2019 |
1 | マクラーレン | 2024 |
出典:[17] |
- 太字は2024年のF1世界選手権に参戦中のコンストラクター。
エンジン
編集回数 | メーカー | 優勝年 |
---|---|---|
3 | メルセデス | 2018, 2019, 2024 |
2 | RBPT / ホンダ・RBPT * | 2022, 2023 |
1 | タグ・ホイヤー ** | 2017 |
ホンダ * | 2021 | |
出典:[18] |
- 太字は2024年のF1世界選手権に参戦中のメーカー。
- * ホンダ・レーシング(HRC)が製造するRBPT及びホンダ・RBPTと記録は別扱い。
- ** ルノーが製造。
冠スポンサー
編集脚注
編集注釈
編集- ^ The name "Baku Street Circuit" has been used to refer to two circuits within the city for Formula One and FIA GT races. The European Grand Prix will be held on a circuit based around Azadliq Square.
出典
編集- ^ “Азад Рагимов рассказал о примерной трассе бакинского этапа Формулы-1” (Russian). www.azerisport.com. 25 July 2014閲覧。
- ^ “Formula 1 - Azerbaijan Grand Prix debut delayed until 2016”. uk.eurosport.yahoo.com. Reuters. 25 July 2014閲覧。
- ^ a b “Azerbaijan Grand Prix 2022 - F1 Race”. formula1.com. 2022年6月7日閲覧。
- ^ Azerbaijan layout unveiled for Baku European Grand Prix in 2016 - F1公式サイト・2014年10月7日
- ^ a b “バクー、F1アゼルバイジャンGPへの名称変更の理由を説明”. F1-Gate.com (2016年12月2日). 2016年12月3日閲覧。
- ^ a b c “過去3年でSC5回……今年も荒れる? アゼルバイジャンGP、歴代ウイナーを振り返る”. motorsport.com (2019年4月23日). 2019年4月23日閲覧。
- ^ “F1アゼルバイジャンGP、開催契約を3年間延長。2023年までのグランプリが決定”. auto sport web (2019年2月6日). 2019年4月28日閲覧。
- ^ “F1アゼルバイジャンGP、2026年まで開催契約を延長。2023年大会は観戦チケットも”完売””. motorsport.com (2023年4月29日). 2024年1月30日閲覧。
- ^ “F1史上初の3週連続開催へ。2018年カレンダーが承認。最多21戦、日本GPは10月7日”. autosport web (2017年6月20日). 2017年11月28日閲覧。
- ^ “2020年F1カレンダーが承認、日本GPは10月11日に開催。史上最多22戦の過密スケジュールでテストが大幅縮小へ”. autosport web (2020年10月5日). 2020年3月7日閲覧。
- ^ “F1アゼルバイジャンGP、新型コロナウイルス大流行の余波を受けて延期が決定”. autosport web (2020年3月23日). 2020年3月24日閲覧。
- ^ “2023年F1《正式版》カレンダーとスプリント日程:史上最多23戦、日本GPは8年ぶり9月開催”. Formula1-Data (2023年1月22日). 2023年4月11日閲覧。
- ^ “F1、2024年のF1カレンダーで合理的な地域集約を目指す。日本GPは4月開催、中国GPが2019年以来の復活へ”. motorsport.com (2023年10月9日). 2024年1月30日閲覧。
- ^ “史上初の開幕4連続ワンツー……メルセデスがこれまで破った記録、これから破るべき記録”. motorsport.com (2019年5月1日). 2019年5月2日閲覧。
- ^ “Grands Prix Azerbaijan(Wins)”. STATS F1 (2024年9月15日). 2024年9月15日閲覧。
- ^ “Grands Prix Azerbaijan(Wins(Drivers))”. STATS F1 (2024年9月15日). 2024年9月15日閲覧。
- ^ “Grands Prix Azerbaijan(Wins(Constructors))”. STATS F1 (2024年9月15日). 2024年9月15日閲覧。
- ^ “Grands Prix Azerbaijan(Wins(Engines))”. STATS F1 (2024年9月15日). 2024年9月15日閲覧。
- ^ “FORMULA 1 SOCAR AZERBAIJAN GRAND PRIX 2019 - RACE RESULT”. formula1.com. 2022年6月7日閲覧。
- ^ “Azerbaijan Grand Prix 2024 - F1 Race”. formula1.com. 2024年1月30日閲覧。