アサシン クリード シャドウズ
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『アサシン クリード シャドウズ』(英: Assassin's Creed SHADOWS)は、ユービーアイソフトより2025年3月20日に発売予定のオープンワールドアクションRPGである[1]。アサシン クリードシリーズのメインシリーズ14作目の作品で、2023年に発売された『アサシン クリード ミラージュ』の続編。
ジャンル | オープンワールドアクションRPG |
---|---|
対応機種 |
PlayStation 5 Xbox Series X/S Windows MacOS iPadOS |
開発元 | ユービーアイソフト ケベック |
発売元 | ユービーアイソフト |
人数 | 1人 |
メディア |
Ultra BD-ROM(PS5) ダウンロード(PC/Xbox Series) |
発売日 | 2025年3月20日 |
対象年齢 |
CERO:Z(18才以上のみ対象) ESRB:M(17歳以上) |
コンテンツアイコン | CERO:暴力 |
概要
編集強力な力を秘めた超古代文明の遺物を巡り、紀元前から各国で争い続ける二大勢力の戦いを描くシリーズであり、本作では、織田信長が岐阜城から安土城に移り天下統一まであと一歩の所まで迫っていた16世紀安土桃山時代の日本の、1579年から1584年を舞台とする[2]。
父を亡くした忍の藤林奈緒江と、信長に仕えたとされる黒人の弥助の二人からなるダブル主人公制[3]。メインシリーズにおいて、弥助のような実在した人物が主人公になるのはシリーズ初となる[3][注釈 1]。現地人である奈緒江、異国から来た弥助の二人が、対等でありながら異なる視点で共通の目的を追う[2][4]。二人の主人公を都度切り替えることが可能で、対話での選択肢はそれぞれ異なり[4]、ゲームのプレイスタイルも、ステルスタイプの奈緒江とファイトスタイルの弥助という風に特徴づけられている[4]。
本編で描かれる風景は、「過去編」主人公の遺伝子情報を現代人が解析して作り出したVRであり、その映像を視聴している「現代編」が過去作同様に存在するが、今作では現代人はプレイアブルではなくムービーのみとなる[5]。
本作には歴史探索が行えるディスカバリーモードの実装は予定されていない[6]。
登場人物
編集- 藤林奈緒江(ふじばやし なおえ)
- 声 - 島袋美由利
- 主人公の一人。女性。伊賀者の忍のアサシン[1]。父は第一次天正伊賀の乱で戦死した藤林長門守。アサシン教団に伝わる「アサシンブレード」を使い、フードで顔を隠し影に潜んで敵を倒すステルス戦闘を得意とする[2]、イーグルビジョンを使用可能[7]、などシリーズの伝統的な主人公像を担っている。「シリーズ最強のアサシン」として制作されている[4]。屈み歩きだけでなく、よりステルス性能の高い匍匐前進がシリーズで初めて可能[8]。手裏剣やクナイを用いて暗殺し、鎖鎌による広範囲な攻撃も可能[8]。織田信長の圧政により故郷と親族を滅ぼされた恐怖を抱いている[9]。優しい性格だが、直情的な面もある[9]。
- 弥助(やすけ)
- 声 - 帆世雄一
- 主人公の一人。男性。侍の修業を終えたアフリカ出身の元奴隷[1][3]。日本人ではないアウトサイダーの視点から日本を見る[2]。逞しい体つきで、ある程度のステルスも可能であるが肉弾戦を得意とし、高所を身軽に乗り越えることはできないが、扉を破壊して侵入などが可能[2]。刀、金棒、弓、火縄銃などを武器にパワフルに戦う[9]。その分隠密は苦手であり、建物の上を素早く移動することは出来ず、シリーズの伝統である高所から鷲のような姿勢で飛び降りて藁の山などに着地する「イーグルダイブ」をすると、着地の際に尻餅をつく[4]。主君である織田信長を死に追いやった組織を探し、戦地を巡っている[9]。
開発・機能
編集開発スタジオはユービーアイソフト ケベック(シリーズ過去作では『自由の叫び』『シンジケート』『オデッセイ』と同じ)がメインを務める[10]。
本作の開発には最新のAnvil Engineを使用しており、これまでのシリーズでは無かった新たなシステムが採用されている[11]。Anvilでは初となるレイトレーシングを採用したことで、太陽の向きや照明の位置によって明るさや影が変化するなど、リアリティが向上している[11]。また、日本の四季を表現するため、ゲーム内での季節の変化が取り入れられており、同じ場所でも季節によって風景が変化するほか、夏場は池に潜って潜入し、冬は凍った池に積もる雪に身をひそめるなど、ゲームプレイにも影響する[11]。破壊システムも一新されており、切る方向に柵や樹木が切り倒され、武器の種類によっても破壊のされ方が異なる[11]。
発売経緯
編集2010年、シリーズ生みの親パトリス・デジーレは、日本を舞台にする予定は無いと述べていた[12]。その理由としてデジーレは「忍者のアサシンクリード」を期待する声は大きいが、知り合いの日本人から「やめたほうがいい」「日本人は外国人に理解できない世界観を持っている」などと言われたためとしている[12]。なお、デジーレはその後UBIを退社しており[12]、本作に関与していない。
2022年9月、UBIは、日本が舞台の新作『コードネーム Red』(仮称)が開発中であることを発表した[13]。
2024年5月、『コードネーム Red』の正式タイトルが『シャドウズ』に決定したことを発表し、トレーラーなどを順次公開した[14]。一方、この頃から後述の論争が始まった。
2024年9月24日、UBIは「東京ゲームショウ2024」の公式番組への出展を取りやめると発表した[15]。
2024年9月26日、「体験の磨き上げにさらなる時間」が必要であるとの理由から、同年11月15日に予定されていた発売日が、2025年2月14日に延期されることが発表された[16]。同時に、2019年以降はEpic Games StoreとUbisoft Storeで専売となっていたUBIの新作だが、本作以降はSteamへ回帰することも発表された[17]。延期に伴い、上位エディションに付属していた先行アクセス権及びシーズンパスがキャンセルされ、併せて価格の値下げが行われた[18][19]。
2025年1月10日、ユーザーからのフィードバックを反映させるためとの理由で[20]、発売日を3月20日へと再度延期することが発表された[21]。
論争
編集発売前の批判
編集日本を舞台にした作品でありながら、主人公のひとりに日本人男性ではなく黒人男性である弥助を起用したことには、ユーザーから疑問が呈された[22][23]。しかし、そうした批判に対してもまた、人種差別的であるとの批判がなされた[23][22]。
実業家のイーロン・マスクもこの件に反応し、SNSのXに「Diversity, Equity & Inclusion(多様性、公平性、包括性)」を意味する「DEI」という略語を用いて[24]、「DEIは芸術を殺す(DEI kills art)」とポストした[25]。このマスクのポストは、作品のエグゼクティブ・プロデューサーから「憎しみを煽っているだけだ」と非難されている[25]。
2024年6月、一連の炎上に際してUBIのCEOであるイヴ・ギユモは、「悪意のある個人的なオンライン攻撃」を非難するとともに、「私が今懸念していることの一つは、当社のチームメンバーやパートナーの一部に向けられた悪意のある個人的オンライン攻撃です」、「ユービーアイソフトは、これらの憎悪行為を可能な限り強い言葉で非難することを明らかにしたいと思います。業界の他の人たちやプレイヤーにも、同様に非難するよう呼びかけます。」と発言している[26]。
2024年10月、UBIのマネタイズディレクターであるスティービー・シャサードが自身のLinkedInにおいて、このような抗議をしてくる者は「まともな人間ではない」と非難した[27][28]。
2024年11月、本作のエグゼクティブプロデューサーの Marc-Alexis Côté は、「不寛容からくる攻撃」や、スタジオやこの特定のゲームが「現代の思惑によって動かされている」という考えを否定した[29]。
著作物の無断使用
編集公開されたコンセプトアートに、2018年に結成されたボランティア団体「関ヶ原古戦場おもてなし連合・関ヶ原鉄砲隊」の旗の画像が含まれており[30][31]、このアートは「コレクターズエディション」として発売される商品に付属するアートブックにも使用される予定となっていた[32]。団体の関係者からの問い合わせを受けたUBIは問題のアートを公式サイトから削除し[30]、団体に謝罪したことを報告した上で、当該のアートはアートブックへの収録を除き、以降は新たな使用や配布を行わないとした[31]。関ヶ原鉄砲隊はアートブック収録分も含め削除するよう要請を受け、2024年10月21日に関ヶ原鉄砲隊は「コンセプトアート内の旗のデザインを削除することが決まった」と表明、後は現物を確認するだけとしているものの、問題は一応の解決を見た[33]。
日本での反応
編集2024年6月19日、chang.orgにて「アサシンクリードシャドウズの発売中止を求めます」とするインターネット署名運動が開始され、10万を超える署名数を記録した[34]。
2024年8月20日、横浜商科大学の教授である田中辰雄が本騒動をもとにウェブモニターを使用したアンケートを実施した。アンケートに回答した人のうち、騒動を知っている者は3割、知らない者は7割となり、騒動を知っている者の中でもこの発売中止(同論文ではキャンセルカルチャー)に賛同する人は33.4%となり、発売中止署名に賛同しない人は48%、わからないと答えた人は18%となった[35]。
田中はこの騒動の背景には海外におけるポリティカル・コレクトネスへの警戒感があると指摘し、「今回のキャンセルカルチャーは、いわば、押し寄せるポリコレの正義に対する日本の防衛反応」と分析してる[35]。田中はポリコレへの警戒には同意しつつも、「正義のぶつかり合いは分断を産む」と指摘し、「日本のゲーム開発会社がつくるゲームも外国の史実を無視している。ゲームはそもそもフィクションで自由な創作であるべきであり、史実との一致を気にする必要はない。日本人だけが史実との一致を外国に要求できるというのは日本人の傲慢ではないか」と主張している[35]。
脚注
編集注釈
編集- ^ スピンオフ作品『アサシン クリード クロニクル』では、アナスタシア・ニコラエヴナが主人公となった前例もある。
出典
編集- ^ a b c “『アサシン クリード シャドウズ』(PC、PS5、Xbox X|S ほか) | Ubisoft (JP)”. www.ubisoft.com. 2024年7月12日閲覧。
- ^ a b c d e “『アサシン クリード シャドウズ』混乱の安土桃山時代を生きる侍・弥助と忍・奈緒江のダブル主人公、リアルに再現された日本に迫る国内独占インタビューを公開!”. ファミ通.com. 2024年7月12日閲覧。
- ^ a b c 奥谷海人. “「アサシン クリード シャドウズ」ライブデモを公開。侍の弥助と忍の奈緒江,主人公2人のまったく異なるゲームプレイをチェックしてきた”. 4Gamer.net. 2024年7月12日閲覧。
- ^ a b c d e “『アサシン クリード シャドウズ』より2人の主人公の違いを解説する開発者映像が公開”. IGN Japan (2024年8月20日). 2024年9月30日閲覧。
- ^ “『アサシン クリード シャドウズ』は、ステルス&コンバットのどちらも楽しめる「ひと粒で二度おいしい」新作だった。忍と侍、ふたりの主人公でゲームプレイがガラッと変わる”. 電ファミニコゲーマー. 2024年9月30日閲覧。
- ^ “弥助はなぜ主人公の1人になったのか。改めて「アサクリ シャドウズ」ディレクターに直接聞いた 奈緒江と弥助、この2人だから意味がある”. GAME Watch (2024年6月11日). 2024年7月12日閲覧。
- ^ “『アサシン クリード シャドウズ』 - 隠密ゲームプレイ概要”. www.ubisoft.com. 2025年1月9日閲覧。
- ^ a b “『アサシン クリード シャドウズ』デモプレイ映像を解説。弥助は豪快に敵を粉砕し、奈緒江は隠密行動メイン【開発者インタビューも】”. ファミ通.com (2024年6月11日). 2024年9月30日閲覧。
- ^ a b c d “『アサシン クリード シャドウズ』取材まとめ。奈緒江・弥助のステルス&戦闘比較、季節・天候変化など実機デモで見た新世代映像表現がすごい【国内独占取材】”. ファミ通.com (2024年5月18日). 2024年9月30日閲覧。
- ^ Henderson, Tom (2024年5月15日). “Assassin's Creed Shadows has 15 Developer Support Studios” (英語). Insider Gaming. 2024年7月12日閲覧。
- ^ a b c d Inc, Aetas. “「アサシンクリード シャドウズ」はAnvil Engineの効果で,刀を振った方向に竹が切れ落ち,凍った水面を歩ける。技術解説プレゼンレポート”. 4Gamer.net. 2025年1月9日閲覧。
- ^ a b c 奥谷海人 (2010年). “日本の忍者も登場か。早くも流れる「Assassin’s Creed 3」のさまざまな噂”. 4Gamer.net. 2024年8月14日閲覧。
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- ^ “『アサシン クリード シャドウズ』日本が舞台のシリーズ最新作が2024年11月15日発売決定!”. ファミ通.com. 2024年8月14日閲覧。
- ^ 高橋, 寛次 (2024年9月25日). “「弥助」ゲームの仏メーカー、東京ゲームショウのオンライン出展を中止 「諸般の事情で」”. 産経新聞:産経ニュース. 2024年10月31日閲覧。
- ^ “「アサシン クリード シャドウズ」、2025年2月14日に発売延期 「体験の磨き上げにさらなる時間」が必要とコメント発表”. GAME Watch (2024年9月26日). 2024年9月25日閲覧。
- ^ “Ubisoft、今後の新作PC版はすべてSteamでも同時リリースへ。『アサシン クリード シャドウズ』を皮切りに、Steamに完全回帰”. AUTOMATON (2024年9月26日). 2024年9月27日閲覧。
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- ^ “『アサシン クリード シャドウズ』再び発売延期!ゲームプレイ品質とローンチ時の体験向上のため3月20日リリースへ”. Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト (2025年1月10日). 2025年1月9日閲覧。
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- ^ Serin, Kaan (2024年6月28日). “After the vitriol aimed at Assassin's Creed Shadow's Yasuke, Ubisoft's CEO denounces "hateful acts" toward devs” (英語). gamesradar. 2024年10月31日閲覧。
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- ^ a b 重田雄一 (2024年7月9日). “『アサシン クリード シャドウズ』のコンセプトアートにおける旗の無断使用をユービーアイソフトが謝罪”. IGN Japan. 2024年7月12日閲覧。
- ^ a b “日本が舞台の人気ゲームが“炎上” 「アサシンクリード」制作会社が謝罪 他団体の著作物を無断使用”. スポーツニッポン (2024年7月9日). 2024年7月9日閲覧。
- ^ “『アサシン クリード シャドウズ』コレクターズエディション”. www.ubisoft.com. 2024年7月7日閲覧。
- ^ “アスキーゲーム:「アサクリシャドウズ」コンセプトアート無断使用問題、該当デザイン削除へ”. ASCII.jp. 2024年10月25日閲覧。
- ^ “アサシンクリードシャドウズの発売中止を求めます”. Change.org. 2025年1月9日閲覧。
- ^ a b c “アサクリ・弥助炎上事件――正義とキャンセルカルチャー/田中辰雄”. SYNODOS (2024年8月20日). 2025年1月9日閲覧。