アキザキナギラン学名: Cymbidium lancifolium)は、単子葉植物ラン科シュンラン属の1。ナギランに似た葉を持ち、秋に淡い緑色の花を咲かせる地生ラン。本州南部以南の常緑広葉樹林内に自生する[1]

アキザキナギラン
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: ラン科 Orchidaceae
: シュンラン属 Cymbidium
: アキザキナギラン C. lancifolium
学名
Cymbidium lancifolium Hook

高さ30-55 cm、茎は直立し、常緑の葉を数枚互生する。葉は長楕円状披針形、長さ5-20 cm、薄い革質で葉縁に鋸歯はない。偽球茎の下部から花茎を伸ばし、総状花序に花を付ける。通常、花茎は葉よりも低い。花弁と萼片は長さ2-2.5 cm。唇弁は長さ2 cm、長楕円形、上面に紅紫色の斑点が入り、下方に折れ曲がる。花期は10月[1][2]

保全状況評価

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絶滅危惧IA類 (CR)環境省レッドリスト

2020年までの4次環境省レッドリストでは絶滅危惧IB類に選定されていたが、2025年3月公表の5次レッドリストで絶滅危惧IA類と評価された[2]

鹿児島県では、条例により採集が禁止されている。

近縁種

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葉や花のよく似たものに、ナギラン、オオナギランがある。

ナギランCymbidium nagifolium)は、葉はアキザキナギランと似るが、先端近くの葉縁に細かい鋸歯がある。花はアキザキナギランとほぼ同じ大きさだが、色は白く、萼片は細く線状披針形。花期は6 - 7月。5次環境省レッドリストでも前回同様VUに選定されている[3]。鹿児島県では県の条例により採集が禁止されている。

オオナギランCymbidium syunitianum)は、徳之島と沖縄島から知られる。以前はアキザキナギランと同種とされていたが、他地域より大形のものとして認識されていた[4]。花はアキザキナギランに似て淡い黄緑色。花期は12 - 1月。5次レッドリストで初めて評価され、CRに選定されている[5]。鹿児島県では徳之島3町の条例により採集が禁止されている。

脚注

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  1. ^ a b 大橋ほか 2015, p. 193.
  2. ^ a b 環境省 2025, p. 659.
  3. ^ 環境省 2025, p. 3783.
  4. ^ 沖縄県環境部自然保護課 2018, p. 386.
  5. ^ 環境省 2025, p. 665.

参考文献

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  • 大橋広好門田裕一、木原浩 ほか 編『日本の野生植物』 1巻(改訂新版)、平凡社、2015年12月。ISBN 978-4-582-53531-0 
  • 沖縄県環境部自然保護課 編「維管束植物」『沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物』 菌類編・植物編(第3版)、沖縄県環境部自然保護課、2018年3月、386頁。国立国会図書館書誌ID:029167017https://www.okinawa-ikimono.com/reddata/pdf/ikansokusyokubutu.pdf 
  • 環境省 編『第5次レッドデータブック:絶滅のおそれのある日本の野生生物』 維管束植物、環境省、2025年3月、659頁https://www.env.go.jp/press/press_04578.html2025年4月7日閲覧 

外部リンク

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