アオアシシギ(青足鷸、学名:Tringa nebularia)は、チドリ目シギ科クサシギ属に分類される鳥類の一種である。和名の由来は、足が青色を帯びていることから。

アオアシシギ
干潟でカニを捕食するアオアシシギ
干潟カニを捕食するアオアシシギ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: チドリ目 Charadriiformes
: シギ科 Scolopacidae
: クサシギ属 Tringa
: アオアシシギ T. nebularia
学名
Tringa nebularia
(Gunnerus, 1767)
和名
アオアシシギ
英名
Greenshank
Tringa nebularia

分布

編集

ユーラシア大陸北部で広く繁殖し、冬季はアフリカインド東南アジアオーストラリアへの渡りをおこない越冬する[2]

日本では旅鳥として[3]、春と秋の渡りの時に全国的に渡来する。沖縄県では少数が越冬する[2]

形態

編集

全長が約32-35 cm[2][3][4]翼開長が約65 cm[2]。類似のシギ類と比べて、細身でスマートな体形をしている[5]コアオアシシギ(小青足鷸、学名:Tringa stagnatilis)よりふた回り大きい[3]。夏羽は頭上から体の上面は灰色で、黒い斑がある。腹、腰、上尾筒は白い。冬羽では頭から頸にかけて、白い部分が増える。嘴は灰黒色で、やや上に反っている[3]。足は緑青色だが、黄色みを帯びているものもいる。特に幼鳥の足は、ほぼ黄色である。

雌雄同色である[2][3][4]

生態

編集

非繁殖期は、干潟河口水田湖沼等に生息する[4]。単独か小群を形成していることが多い[2]。繁殖期は、湿地草原に生息する。

食性は動物食で、昆虫類両生類甲殻類、小さな魚類などを捕食する[2]。普通は浅い水辺を活発に歩きながら採食しているが、時には水の中に嘴を開いたままつけて前進しながら採食することもある[2]。また、水深の深いところでは体を浮かべて泳ぐこともある。

繁殖形態は卵生。地上に営巣し、普通4卵を産む。抱卵日数は22-24日で雌雄が抱卵する。

飛びながら「ピョピョピョ」、「チョーチョーチョー」と鳴くことが多い[4]

種の保全状況評価

編集

国際自然保護連合(IUCN)により、レッドリスト軽度懸念(LC)の指定を受けている[1]

日本の以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている[6]

脚注

編集
  1. ^ a b IUCN 2012. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2012.2. (Tringa nebularia)” (英語). IUCN. 2012年11月4日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h ひと目でわかる野鳥 (2010)、79頁
  3. ^ a b c d e 水辺の鳥 (2002)、123頁
  4. ^ a b c d 山溪ハンディ図鑑7 日本の野鳥 (2006)、254-255頁
  5. ^ 散歩で楽しむ野鳥の本 (2008)、60頁
  6. ^ 日本のレッドデータ検索システム「アオアシシギ」”. (エンビジョン環境保全事務局). 2012年11月5日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
  7. ^ 京都府レッドデータブック・アオアシシギ”. 京都府 (2002年). 2012年11月5日閲覧。
  8. ^ 大阪府レッドデータブック・アオアシシギ”. 大阪府 (2000年3月). 2012年10月20日閲覧。[リンク切れ]
  9. ^ 千葉県レッドデータブック動物編(2011年改訂版)” (PDF). 千葉県. pp. 118 (2011年). 2012年11月5日閲覧。

参考文献

編集
  • 高木清和『フィールドのための野鳥図鑑-水辺の鳥』山と溪谷社、2002年2月1日、180頁。ISBN 4635063321 
  • 叶内拓哉、安部直哉『山溪ハンディ図鑑7 日本の野鳥』(第2版)山と溪谷社、2006年10月1日。ISBN 4635070077 
  • 大橋弘一、Naturally『散歩で楽しむ野鳥の本(街中篇)』山と溪谷社、2008年10月21日。ISBN 978-4635596206 
  • 中川雄三(監修) 編『ひと目でわかる野鳥』成美堂出版、2010年1月。ISBN 978-4415305325 
  • 真木広造他 『日本の野鳥590』、平凡社2000年
  • 桐原政志/解説 山形則男・吉野俊幸/写真 『日本の鳥550 水辺の鳥 増補改訂版』、文一総合出版2009年
  • 高野伸二 『フィールドガイド 日本の野鳥』、日本野鳥の会

関連項目

編集