まつなみ (巡視艇・初代)
まつなみ(英語: JCG Matsunami, PC-53)は、海上保安庁が運用していた巡視艇。区分上はPC型、公称船型は特23メートル型[2]。
まつなみ | |
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基本情報 | |
建造所 | 日立造船神奈川工場[1] |
艦種 | 特23メートル型PC[1] |
前級 | はたぐも |
次級 | まつなみ (35メートル型) |
艦歴 | |
計画 | 昭和45年度[1] |
竣工 | 1971年3月30日[1] |
除籍 | 1995年2月3日 |
要目 | |
満載排水量 | 59.00トン[1] |
総トン数 | 84.00トン |
全長 | 25.0 m[1] |
最大幅 | 6.00 m[1] |
深さ | 2.80 m[1] |
吃水 | 1.35 m |
機関 | CODOD方式 |
主機 | ディーゼルエンジン×4基 |
推進 | スクリュープロペラ×3軸 |
出力 | 2,200馬力 |
速力 | 20.3ノット |
航続距離 | 270海里 |
乗員 | 10名 (平水では30名) |
来歴
編集昭和天皇は生物学者として、海洋生物や植物の研究にも力を注いでいた。 このことから宮内庁では、1934年に天皇陛下の御採集船として木造の葉山丸を建造した。第2次世界大戦中には海軍兵学校に預けられる[3]。戦後は英豪軍が接収し瀬戸内海でヨットとして使用していたが、1949年に退役したあとは海上保安庁の管理下に入り、復元工事ののち、再び採集作業に使われるようになった。しかし老朽化もあり、1956年には、海上保安庁の23メートル型港内艇「むらくも」を改装、「はたぐも」と改称して、海洋生物採集船として用いるようになった[2]。
しかし同艇も老朽化が進んだことから、昭和45年度計画で代船が建造されることになった。これが本艇である[2]。
設計
編集全アルミニウム合金製、没水部船型はV型であった。上部構造物は比較的大きく、前部には研究室と随員控室が配されていた。操舵室はそれらの後方に半甲板分高く設けられた。なお船尾にはトロールウィンチなどの採集設備が配置されていた[2]。
主機関は「はたぐも」と同様にCODOD方式を採用しており、通常航行時には両舷の大主機を用い、採集作業時には微速航行用の小主機で中央軸を駆動する。なお中央軸はVドライブ式であった[2]。大主機は池貝-ベンツMB820Dbディーゼルエンジン2基(単機出力1,100馬力)、小主機はDA640ディーゼルエンジン2基(単機出力90馬力)であった[4][5]。
参考文献
編集- ^ a b c d e f g h 「資料・海上保安庁」『世界の艦船』 通巻第379集、1987年5月号、海人社、1987年5月1日、93-108頁。
- ^ a b c d e 「海上保安庁全船艇史」『世界の艦船』第613号、海人社、2003年7月、NAID 40005855317。
- ^ 宮内庁『昭和天皇実録第十一』東京書籍、2017年3月30日、103頁。ISBN 978-4-487-74411-4。
- ^ Bernard Prezelin (1990). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991. Naval Institute Press. p. 330. ISBN 978-0870212505
- ^ 徳永陽一郎、大塚至毅『海上保安庁 船艇と航空 (交通ブックス205)』成山堂書店、1995年、162頁。ISBN 4-425-77041-2。