どん底作家の人生に幸あれ!
『どん底作家の人生に幸あれ!』(どんぞこさっかのじんせいにさちあれ!、The Personal History of David Copperfield)は、2019年のイギリス・アメリカ合衆国のコメディドラマ映画。監督はアーマンド・イアヌッチ、出演はデーヴ・パテールとティルダ・スウィントンなど。チャールズ・ディケンズの半自伝的小説『デイヴィッド・コパフィールド』をもとに、主人公デヴィッド・カッパーフィールドが送る波瀾万丈の人生をユーモラスに描いた群像喜劇[5]。
どん底作家の人生に幸あれ! | |
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The Personal History of David Copperfield | |
監督 | アーマンド・イアヌッチ |
脚本 |
アーマンド・イアヌッチ サイモン・ブラックウェル |
原作 |
チャールズ・ディケンズ 『デイヴィッド・コパフィールド』 |
製作 |
アーマンド・イアヌッチ ケヴィン・ローダー |
出演者 |
デーヴ・パテール ティルダ・スウィントン ヒュー・ローリー ピーター・カパルディ ベン・ウィショー ポール・ホワイトハウス アナイリン・バーナード デイジー・メイ・クーパー モーフィド・クラーク ベネディクト・ウォン グェンドリン・クリスティー |
音楽 | クリストファー・ウィリス |
撮影 | ザック・ニコルソン |
編集 | ミック・オーズリー |
制作会社 |
フィルム4・プロダクションズ フィルムネイション・エンターテインメント UTA・インディペンデント・フィルム・グループ |
配給 |
ライオンズゲート サーチライト・ピクチャーズ ギャガ[1] |
公開 |
2019年9月5日(トロント国際映画祭)[2] 2021年1月22日[1] |
上映時間 | 116分[2] |
製作国 |
イギリス アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $15,600,000[3] |
興行収入 | $14,399,270[4] |
ストーリー
編集19世紀のイギリス。物語は、作家になったデイヴィッドが講演会で語る自作の小説として展開して行く。
デイヴィッドは、そこそこ裕福な紳士階級に生まれたが、父はすでに亡くなっていた。空想癖があり、言葉に対する感性の鋭いデイヴィットは、陽気な乳母のぺゴティや、その家族たちと、楽しい少年時代を送った。
だが、デイヴィッドの母が再婚した相手は財産目当てのマードストーンだった。義父マードストーンによって、デイヴィッドは金欠病の親戚ミコーバーの家に預けられ、ビン詰め工場で働きながら成長した。
やがて母が病死すると、青年に成長したデイヴィッドは工場から逃げ出し、裕福な大叔母トロットウッドに助けを求めた。
大叔母の庇護の元、大学で法律を学び、ロンドンで「事務弁護士」として働き始めるデイヴィッド。だが、そこへ破産した大叔母が転がり込んできた。
大叔母の財産の管財人だったウィックフィールドに融資を申し込むデイヴィッド。しかし、ウィックフィールドの事務所はヒープという男に乗っ取られており、融資は却下された。ヒープはデイヴィッドの貧しい学友で、成り上がるために紳士階級のデイヴィッドにへつらい、付きまとっていた男だった
狭いアパートで、大叔母と暮らすデイヴィッド。乳母のペゴティも上京して来た。ペゴティは、失踪した家族のエイミーを探しているのだ。若いエイミーは、デイヴィッドの学友で上流階級のジェームズと駆け落ちしていた。
デイヴィッドには作家の才能があると励ますペゴティ。ホームレスになった親戚ミコーバーらも同居させ、大混雑の中で執筆に励むデイヴィッド。
管財人ウィックフィールドの娘で、デイヴィッドの友人であるアグネスは、ヒープの元で秘書として働き、ヒープの悪巧みの証拠を探し出した。ヒープは書類を偽造して大叔母の財産を騙し取り、ウィックフィールドの事務所も奪ったのだ。大挙して事務所に押しかけ、ヒープの罪を暴くデイヴィッドら。
そんな時、ペゴティの探す家族エイミーが見つかった。ジェームズに捨てられたエイミーは、ロンドンの貧民窟で暮らしていたのだ。ジェームズが謝罪のために船で帰国すると話すエイミー。だが、船は嵐で難破し、ジェームズは救助を拒んで溺死した。
アグネスとの結婚を誓った場面で、講演を終えるデイヴィッド。この半自伝的な小説は大ヒットし、デイヴィッドは大叔母の屋敷を買い戻すのだった。
キャスト
編集- デヴィッド・カッパーフィールド - デーヴ・パテール
- ベッツィー・トロットウッド - ティルダ・スウィントン
- ミスター・ディック - ヒュー・ローリー
- ウィルキンス・ミコーバー - ピーター・カパルディ
- ユライア・ヒープ - ベン・ウィショー
- ミスター・ペゴティ - ポール・ホワイトハウス
- ジェームス・スティアーフォース - アナイリン・バーナード
- ミセス・ペゴティ - デイジー・メイ・クーパー
- ドーラ・スペンロウ - モーフィッド・クラーク
- ミスター・ウィックフィールド - ベネディクト・ウォン
- ジェーン・マードストーン - グェンドリン・クリスティー
- ハム - アンソニー・ウェルシュ
- アグネス・ウィックフィールド - ロサリンド・イレアザル
- エミリー - エイミー・ケリー
- ミセス・クラップ - ソフィー・マクシェラ
- ドクター・チリップ - ディヴィアン・ラドワ
- ミセス・スティアーフォース - ニキ・アムカ=バード
- ジャネット - ルビー・ベンタル
- ミセス・ミコーバー - ブロナー・ギャラガー
- エドワード・マードストーン - ダレン・ボイド
製作
編集2018年2月、アーマンド・イアヌッチがチャールズ・ディケンズの『デイヴィッド・コパフィールド』を原作とした新作で、監督・脚本・製作を務めることが発表された。なお、脚本はサイモン・ブラックウェルと共同で執筆された[6]。2月後半、デーヴ・パテールがタイトル・ロールの役でキャストに加わった[7]。2018年4月、ティルダ・スウィントン、ヒュー・ローリー、アナイリン・バーナード、モーフィド・クラークがキャストに加わった[8]。2018年5月、ピーター・カパルディがキャストに加わり、プリプロダクションが進行中であることが分かった[9]。2018年6月、グェンドリン・クリスティー、ベネディクト・ウォン、ポール・ホワイトハウス、デイジー・メイ・クーパーがキャストに加わった[10]。2018年7月、エイミー・ケリーがキャストに加わった[11]。
撮影
編集主要な撮影は、2018年6月にノーフォークとサフォークで始まり、7月にはキングストン・アポン・ハル[12][13]、ベリー・セント・エドマンズ[14]、ウェイボーン[15]、キングズ・リンでも撮影が行われた[16][17]。撮影は2018年8月に終了した[18]。『デイヴィッド・コパフィールド』を原作とした劇場公開映画は50年ぶりに制作された[19]。
公開
編集本作は、2019年9月5日の第44回トロント国際映画祭で世界初上映された[20]。その後、2019年10月2日にヨーロッパで公開され、第63回ロンドン映画祭でオープニング上映を務める[21]。
作品の評価
編集Rotten Tomatoesによれば、245件の評論のうち高評価は92%にあたる225件で、平均点は10点満点中7.6点、批評家の一致した見解は「『どん底作家の人生に幸あれ!』はディケンズの古典に新鮮で、面白く、そしてこの上なく魅力的な解釈を加え、時代を超越した物語が本当にあることを証明している」となっている[22]。 Metacriticによれば、39件の評論のうち、高評価は33件、賛否混在は5件、低評価は1件で、平均点は100点満点中77点となっている[23]。
出典
編集- ^ a b 映画配給会社 ギャガ株式会社 [@gagamovie] (2019年3月27日). "THE PERSONAL HISTORY OF DAVID COPPERFIELD(原題)". X(旧Twitter)より2019年9月10日閲覧。
- ^ a b “The Personal History of David Copperfield” (英語). Toronto International Film Festival. July 23, 2019閲覧。
- ^ “The Personal History of David Copperfield (2020) - Financial Information” (英語). The Numbers. 2022年1月24日閲覧。
- ^ “The Personal History of David Copperfield” (英語). Box Office Mojo. 2022年1月24日閲覧。
- ^ “どん底作家の人生に幸あれ!”. WOWOW. 2021年11月27日閲覧。
- ^ Tartaglione, Nancy (1 February 2018). “FilmNation To Launch Armando Iannucci’s ‘Personal History Of David Copperfield’ In Berlin” (英語). Deadline.com 2019年9月7日閲覧。
- ^ Ritman, Alex (2018年2月14日). “Dev Patel Joins Armando Iannucci's 'David Copperfield' Film” (英語). The Hollywood Reporter 2019年9月7日閲覧。
- ^ Kroll, Justin (26 April 2018). “Tilda Swinton, Hugh Laurie Join Dev Patel in ‘David Copperfield’ (EXCLUSIVE)” (英語). Variety 2019年9月7日閲覧。
- ^ Mitchell, Robert (8 May 2018). “Peter Capaldi Re-Teams With Armando Iannucci for ‘David Copperfield’” (英語). Variety 2019年9月7日閲覧。
- ^ Grater, Tom (2018年6月11日). “Gwendoline Christie, Benedict Wong, Paul Whitehouse join Armando Iannucci's 'David Copperfield' (exclusive)” (英語). Screen Daily 2019年9月7日閲覧。
- ^ N’Duka, Amanda (31 July 2018). “Carrie Preston To Star In ‘Avalanche’; Taryn Manning Set For ‘The Haunting of Nicole Brown Simpson’” (英語). Deadline.com 9 August 2018閲覧。
- ^ Young, Angus (28 June 2018). “A major British film is being shot in Hull next week” (英語). Hull Live 28 June 2018閲覧。
- ^ Robinson, Hannah (8 July 2018). “Full list of roads that will close as major British movie is filmed in Hull” (英語). Hull Live 20 July 2018閲覧。
- ^ Derrick, Paul (3 July 2018). “PICTURES: David Copperfield film prepares to shoot scenes in Bury St Edmunds today” (英語). Bury Free Press 11 July 2018閲覧。
- ^ Bethell, Karen (18 July 2018). “Dev Patel spotted filming scenes for David Copperfield movie on Norfolk beach” (英語). Eastern Daily Press 20 July 2018閲覧。
- ^ Ali, Taz (7 June 2018). “Purfleet drained ahead of Dickens film adaptation” (英語). Lynn News 10 June 2018閲覧。
- ^ Ali, Taz (19 July 2018). “Dozens line the streets to watch star-studded cast shoot major movie” (英語). Eastern Daily Press 20 July 2018閲覧。
- ^ Blackwell, Simon [@simonblackwell] (2018年8月9日). "Today is the last day of principal photography on our David Copperfield film" (英語). X(旧Twitter)より2018年8月9日閲覧。
- ^ Clarke, Donald (26 Feb 2019). “What will win the 2020 best picture Oscar? Probably one of these” (英語). The Irish Times 2019年3月18日閲覧。
- ^ Lang, Brent (July 23, 2019). “Toronto Film Festival: ‘Joker,’ ‘Ford v Ferrari,’ ‘Hustlers’ Among Big Premieres” (英語). Variety July 23, 2019閲覧。
- ^ “European premiere of Armando Iannucci’s The Personal History of David Copperfield to open 63rd BFI London Film Festival” (英語). BFI (16 July 2019). 16 July 2019閲覧。
- ^ "The Personal History of David Copperfield". Rotten Tomatoes (英語). 2022年1月24日閲覧。
- ^ "The Personal History of David Copperfield" (英語). Metacritic. 2022年1月24日閲覧。
関連項目
編集- さすらいの旅路 (1969年の映画) - 同原作の映画化作品。