でんぱ
でんぱ (第2号科学衛星REXS)は東京大学宇宙航空研究所(後の文部省宇宙科学研究所)が打上げた電離層・磁気圏観測衛星である。開発・製造は日本電気が担当した。開発名のREXSはRadio EXploration Satelliteの略である。
電波観測衛星「でんぱ(REXS)」 | |
---|---|
所属 | 東京大学宇宙航空研究所 |
主製造業者 | 日本電気 |
公式ページ | 電波観測衛星「でんぱ(REXS)」 |
国際標識番号 | 1972-064A |
カタログ番号 | 06152 |
状態 | 運用終了 |
目的 | プラズマ、宇宙線、電磁波、地磁気の観測 |
打上げ場所 | 鹿児島宇宙空間観測所 |
打上げ機 | M-4Sロケット4号機 |
打上げ日時 | 1972年8月19日11:40 |
運用終了日 | 1972年8月22日 |
消滅日時 | 1980年5月19日 |
物理的特長 | |
本体寸法 | ⌀712mm×685.3mm(八角柱) |
最大寸法 |
⌀4,712mm (ホイップアンテナ展開時) |
質量 | 75kg |
発生電力 | 40W |
姿勢制御方式 | スピン安定方式 |
軌道要素 | |
周回対象 | 地球 |
軌道 | 楕円軌道 |
近点高度 (hp) | 250km |
遠点高度 (ha) | 6,560km |
軌道傾斜角 (i) | 31度 |
軌道周期 (P) | 160.5分 |
搭載機器 | |
電磁波プラズマ波観測装置 |
目的
編集運用
編集1972年8月19日11時40分 (JST) 、鹿児島宇宙空間観測所からM-4Sロケット4号機によって打ち上げられ、近地点240km、遠地点6,570km、軌道傾斜角31°の軌道に投入された。
無誘導のM-4Sロケットは、衛星軌道投入の確実性を期すため、全ての人工衛星を、近地点700km付近、遠地点2500km〜4500km(遠地点は衛星重量で大きく変わる)の軌道に投入するように打ち上げられていた(この場合、風に流されたとしても、打ち上げ成功確率は95%を超える)。そして、「でんぱ」の目標軌道は、近地点710km、遠地点2657km、軌道傾斜角31.2°であった。「でんぱ」の実軌道がこのような極端な軌道となってしまった原因は、無誘導のM-4Sロケットが風に流されたためでは無く、ランチャーの上下角設定時に、表示角と実際の角度に約2°のズレがあったためである。
打ち上げから3日経った8月22日、一部の観測装置で使用する高圧電源のスイッチを入れたところ、テレメトリエンコーダが損傷し、衛星からの正常なデータ送信が途絶えた。その後の回復措置により通信系は使用可能になったものの、観測は不可能であることが分かり、運用を断念した。
故障の原因は高圧電源投入時の放電により、ICやトランジスタが破損したためと考えられている。
成果
編集衛星が故障するまでの約70時間に行った観測により、それなりの科学的成果を得た。また、近地点が非常に低い軌道であるため、故障後も半年間発信され続けた衛星からのビーコン電波で、軌道の変化を測定し、高層大気の大気密度に関するデータの収集ができた。
外部リンク
編集- 人工衛星・「でんぱ」 - ウェイバックマシン(2012年5月13日アーカイブ分) (JAXA宇宙情報センター)
- でんぱ (REXS) (ISAS/JAXA)