天丼てんや
天丼てんや(てんどんてんや)は、ロイヤルホールディングス傘下のロイヤルフードサービスが展開する天丼・天ぷら専門店。単に「てんや」とも称する。
概要
編集天丼と天ぷら定食、単品の天ぷらを主たるメニューとする。1989年に八重洲地下街に1号店がオープンした[1][2]。
日本マクドナルド創業メンバーの1人でもあった岩下善夫[3]が和食のファーストフード化に目を付け、回転寿司で大衆化した寿司に続く天ぷらの大衆化を目指し[4]、知人を介してコンベア式フライヤーを独自開発[2][3][5]。いわゆる「天ぷら職人」を不要としたことで、当時1,000円から1,500円が相場と言われた天丼を短時間かつ500円という低価格で提供し、開業初日から行列を作るなど話題を呼んだ[1]。「500円ワンコイン天丼」は長きに亘って同店の看板の一つとなっており[6]、2018年に一時値上げ後2020年に再び500円に戻したという経緯がある[7](2024年現在は560円)。
天ぷら粉は創業以来日清製粉グループ(日清製粉・日清フーズ)と共同開発したものを使用し、天ぷら油は日清オイリオグループに特注した植物油を使用している[8]。
創業以来、岩下善夫の興したテンコーポレーションにより運営されてきたが、2006年と2010年に行われたTOBでロイヤルホールディングス傘下となり、2021年のロイヤルホストへの吸収合併によりロイヤルフードサービス運営となった[9]。
メニュー
編集スタンダードな「天丼」には海老(ブラックタイガーを使用[10])・いか・きす・かぼちゃ・いんげんが入り、海老2匹とれんこん・かぼちゃ・いんげんが入った「上天丼」、なす・さつまいも・まいたけ・れんこん・かぼちゃ・いんげんが入った「野菜天丼」が開業以来の定番メニューとなっている[11]。いずれの天丼も標準で味噌汁が付く。
そのほか、海老・いか・ほたて・まいたけ・れんこん・いんげんと、3種の天丼の主要な具を載せた「オールスター天丼」や、海老・とり天・かにかま天・なす・れんこんを載せた「海老とり天丼」などもある。そのほか、各天丼と同じ天ぷらを別皿で提供しご飯・味噌汁・天つゆ・小鉢(おひたし)が付く「天ぷら定食」や、天丼に小さめのそばまたはうどんのついた(あるいは天ぷら盛りに標準サイズの蕎麦・うどんの付いた)セットメニューも用意されている。そば・うどんセット以外はテイクアウトにも対応する(天丼弁当は味噌汁が別売りになる)。季節ごとの限定メニューも存在する。
天ぷらは盛り合わせ(天ぷら盛合わせ・野菜天ぷら盛合わせ)あるいは単品でも注文可能で、天丼に天ぷらを追加することも可能。生ビール・日本酒も提供しており、いわゆる「ちょい飲み」がブームになる前から「天ぷらをつまみながら呑む」需要があったという[1]。
ロイヤルHD傘下になって以降、「豚角煮天丼」や「ロコモコ丼」、さらに「Wハンバーグ天丼」や「ローストビーフ天丼」といった変わり種天丼の販売を試み、“てんやのご乱心”とも揶揄されたこともあったが、素材との相性を再認識した結果、定番メニュー中心に回帰している[12]。
2013年から毎月18日を『てんやの日』と設定し、海老・いか・なす・れんこん・いんげんを載せた「サンキュー天丼」を390円で提供するサービスを行っていた[13] が、2020年8月に原則終了となり(7店舗でのみ継続)[14][15]、現在は大半の店舗で毎月18日を含む一週間(月曜日から日曜日)を『てんやWeek』と設定し、「上天丼弁当」の割引販売を実施している。
店舗展開
編集2024年1月現在、北海道・青森県・宮城県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・富山県・長野県・静岡県・岐阜県・愛知県・大阪府・兵庫県・広島県・愛媛県の17都道府県に148店舗を展開する[16]。創業以来店舗の大半が首都圏に所在しており、特に西日本への店舗展開がなかなか叶わなかったが、2023年に大阪府に再出店を果たす[17] など、徐々にではあるが店舗網を広げている[18]。なお九州・沖縄地方には過去に福岡県や鹿児島県に出店していたが、2023年までに撤退し、現在は再出店等も行っていない。
この他に高級志向の「天ぷらてんや」を3店舗展開するほか、タイ・フィリピン・香港・シンガポールにも計32店舗を展開している。
直営店だけではなくフランチャイズ展開も行っているほか、ロイヤルホールディングスの強みを生かしてロイヤルコントラクトサービスにより高速道路のサービスエリアや空港内にも店舗展開している。
出典
編集- ^ a b c 週刊ポスト 2017, p. 1.
- ^ a b 高井 2022, p. 4.
- ^ a b 長浜 2016, p. 2.
- ^ 用松 2016, p. 4.
- ^ 用松 2016, p. 5.
- ^ 週刊ポスト 2017, p. 2.
- ^ 高井 2022, p. 2.
- ^ 長浜 2016, p. 4.
- ^ 『当社グループにおける組織再編(完全子会社間の合併)に関するお知らせ』(PDF)(プレスリリース)ロイヤルホールディングス、2020年10月27日 。2024年1月13日閲覧。
- ^ 長浜 2016, p. 3.
- ^ “店内定番メニュー”. 天丼てんや. 2024年1月12日閲覧。
- ^ 高井 2022, p. 3.
- ^ “天丼てんや、390円の「サンキュー天丼」限定発売! -毎月18日「てんやの日」”. マイナビニュース (2013年3月8日). 2024年1月13日閲覧。
- ^ “8月18日(火)の<てんやの日サービス>についてのご案内”. 天丼てんや (2020年8月17日). 2024年1月13日閲覧。
- ^ “てんやの日サービスと実施店舗のご案内”. 天丼てんや (2024年1月4日). 2024年1月13日閲覧。
- ^ “店舗案内”. 天丼てんや. 2024年1月12日閲覧。
- ^ 『「天丼てんや 難波千日前店」8月7日(月)オープン』(プレスリリース)ロイヤルホールディングス、2023年7月18日 。2024年1月13日閲覧。
- ^ 高井 2022, p. 5.
参考文献
編集- “てんや1号店 天丼の価格破壊は東京駅の地下から始まった”. NEWSポストセブン (2017年10月28日). 2024年1月12日閲覧。
- 用松靖弘 (2016年10月21日). “「マック」と「てんや」の意外な関係”. 日経ビジネス. 2024年1月7日閲覧。
- 高井尚之 (2022年8月14日). “「天丼てんや」人気支える味への徹底したこだわり”. 東洋経済オンライン. 2024年1月12日閲覧。
- 長浜淳之介 (2016年8月12日). “てんやが天丼チェーンとして“唯一”全国展開できた理由”. ITmediaビジネスオンライン. 2024年1月13日閲覧。
外部リンク
編集- 公式ウェブサイト
- 天丼てんや てん娘(こ)ちゃん (@tendon_tenya) - X(旧Twitter)
- てんや娘 (tendon.tenya) - Facebook
- てんやおじさん - YouTubeチャンネル