せっそう病
せっそう病(せっそうびょう、英:furunculosis)とはAeromonas salmonicida(エロモナス・サルモニシダ)感染を原因とする魚類の感染症。
解説
編集ドイツにおいて EMMERISCH and WEIBEL(1890)によって最初に記載されたサケ科魚類の細菌性疾病。
原因病原体
編集Aeromonas salmonicidaにはAeromonas salmonicida subsp. salmonicida、Aeromonas salmonicida subsp. achromogenes、Aeromonas salmonicida subsp. masoucidaの3亜種が存在する。
病理
編集外見上の異常を認めない場合でも原因菌に感染している事がある[1]。症状として体表に直径数mmから数cmのせっそう、体表黒化、各鰭基部の発赤、肛門の発赤、腸管の炎症、諸臓器の発赤が認められる。
サケ科魚類だけで無く、海面養殖のクロソイ[2]やムシガレイ[3]、ウナギ[4]など多くの魚種からの検出事例が報告されている。
食塩浴が有効であることがある。
なお、この疾病で認められるせっそうは人間を対象とした医学分野でのせっそうとは病理学的に異なる。
出典
編集- 森川進:サケ科魚類のせっそう病の防除に関する研究 岐阜県淡水魚研究所研究報告 = Report of Gifu Prefectural Fresh Water Fish Research Institute (48), 1-234, 2003-03
参考文献
編集- 畑井喜司雄ほか編 『魚病図鑑』 緑書房 1988年 ISBN 4895310647
- 畑井喜司雄ほか 『魚病学』 学窓社 1998年 ISBN 4873620775
脚注
編集- ^ 外観上正常なサケ, カラフトマス及びサクラマス成熟親魚のAeromonas salmonicida保有状況 サケマス増殖事業におけるせっそう病の疫学的研究―I 魚病研究 Vol.26 (1991) No.3 P139-147
- ^ 泉川晃一、植木範行:クロソイに発生した非定型Aeromonas salmonicida感染症 魚病研究 Vol.32 (1997) No.1 P67-68
- ^ 中津川俊雄:ムシガレイから分離された非定型 Aeromonas salmonicida 魚病研究 29(3), 193-198, 1994
- ^ ウナギ病魚から分離された非定型 Aeromonas salmonicida 魚病研究 Vol.19 (1984-1985) No.2 P101-107
外部リンク
編集- 北海道内の主要河川に湖上するサケ( Oncorhynchus keta )カラフトマス( Oncorhynchus gorbuscha )サクラマス( Oncorhynchus masou )ヒメマス( Oncorhynchus nerka )親魚におけるAeromonas salmonicidaの保有状況 魚病研究 Vol.16 (1981-1982) No.2 P69-74
- サケ科魚類せっそう病原因菌Aeromonas salmonicidaの産生する病因物質について III Aeromonas salmonicida Ar-4 (EFLD)の産生するプロテアーゼの特性 日本水産学会誌 50(1), 145-150, 1984