きく1号
きく1号(英語: Engineering Test Satellite - I、ETS-I)は宇宙開発事業団(NASDA)が打ち上げた初の人工衛星(技術試験衛星)である。開発・製造は日本電気が担当した。
技術試験衛星I型「きく1号(ETS-I)」 | |
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所属 | NASDA |
主製造業者 | 日本電気 |
公式ページ | 技術試験衛星I型「きく1号(ETS-I)」 |
国際標識番号 | 1975-082A |
カタログ番号 | 08197 |
状態 | 運用終了 |
目的 | 人工衛星運用技術の習得 |
設計寿命 | 3ヶ月 |
打上げ場所 | 種子島宇宙センター大崎射場大崎射点 |
打上げ機 | N-Iロケット1号機(N1F) |
打上げ日時 | 1975年9月9日14:30 |
運用終了日 | 1982年4月28日 |
物理的特長 | |
本体寸法 | ⌀800mm×800mm(26面体) |
質量 | 82.5kg |
発生電力 | 30W |
姿勢制御方式 | スピン安定方式 |
軌道要素 | |
周回対象 | 地球 |
軌道 | 略円軌道 |
近点高度 (hp) | 963km |
遠点高度 (ha) | 1,093km |
軌道傾斜角 (i) | 47度 |
軌道周期 (P) | 106分 |
ミッション機器 | |
STEM | 伸展アンテナ実験装置 |
打ち上げ環境測定装置 | |
衛星環境測定装置 | |
姿勢測定装置 | |
距離及び距離変化率測定装置 |
目的
編集N-Iロケットの性能確認、人工衛星の軌道投入・姿勢制御・追跡・運用等の人工衛星打ち上げ技術の習得、打ち上げ時の機械的環境条件及び軌道投入後の姿勢変化、衛星内外の環境の測定を目的としている。また、初の実用衛星である電離層観測衛星に搭載する伸展アンテナについて事前に技術データを取得する。
開発
編集概念設計は1970年に開始され、翌1971年12月に製作発注が行われた。1973年度にプロトタイプモデル(PM)の製作と認定試験が終了した。1974年度にフライトモデル(FM)の製作及びPMのプロトフライトモデル(PFM)への改修、さらにこれらの受け入れ試験が行われ、1975年1月末にNASDAへ納入された。PFMはその後4月から6月まで射場において射点設備やロケットとの整合性試験や運用訓練などに用いられた。
運用
編集1975年9月9日にN-Iロケット1号機で種子島宇宙センターから打ち上げられた[1]。打ち上げ時の環境測定は増田、勝浦、マーシャルの各追跡局でデータが取得された。また、第3段と衛星の分離時における衛星の姿勢変動などのデータもマーシャル局で取得された。
9月11日第25周回から増田局における距離及び距離変化率の測定による追跡実験を開始した。また、第28周回から伸展アンテナの展開実験を行い、伸展性が確認された。10月13日第46周回からは勝浦局の測定による追跡実験も行われ、システムの性能が確認された。
衛星打ち上げ後3ヶ月間で全ての実験は良好に実施され、その後も衛星信頼性データや日照条件の変化に伴う熱設計の確認など、後の衛星設計に重要なデータの取得を長期間にわたって実施した。1982年4月28日には運用を終了した[1]。
脚注
編集- ^ a b “技術試験衛星I型「きく1号」(ETS-I)”. 宇宙航空研究開発機構. 2021年12月23日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- 技術試験衛星I型「きく1号(ETS-I)」(JAXA)
- きく (JAXA宇宙情報センター) - ウェイバックマシン(2010年5月14日アーカイブ分)
- 宇宙航空研究開発機構資料編