おいしいおかゆ
グリム童話
おいしいおかゆ(Der süße Brei、KHM103)はグリム童話のひとつ[1]。
おいしいおかゆ Der süße Brei | |
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![]() 1909年のオットー・ウベローデの画。住民たちはおかゆを食べながら家へもどる。 | |
Folk tale | |
名称 |
おいしいおかゆ Der süße Brei |
AT番号 | ATU 565 |
国 | ドイツ |
あらすじ
編集昔、あるところに貧しい敬虔な娘がおり、母親とふたりで暮らしていた。もう食べるものが何もなくなった。子供が森に行くと、知らない老婆に出会った。老婆は子供が困っている理由を知っていて、小さな鍋を与えた。その鍋にただ「小さい鍋さん、煮て」と言うとおいしい、甘い黍粥[注釈 1][注釈 2]を炊き、「小さい鍋さん、止まって」というと粥炊きをやめた。
娘は母親のところにその鍋を持ち帰った。その日からふたりの貧しい生活と空腹は終わり、二人は食べたいときにはいつでも甘い粥を食べることができた。
ある時、娘がしばらく出かけていた。母親は鍋に「小さい鍋さん、煮て」と言った。鍋は粥を炊き、母親はおなかいっぱい食べた。そこで、鍋が粥炊きをやめて欲しいと思ったが、おまじないを知らない。それで鍋はどんどん粥を炊き続け、粥は鍋のふちからあふれ出て、まだ炊き続け、台所をいっぱいにし、家中にあふれ、隣の家も一杯にし、通りも一杯にし、まるで世界中をおなかいっぱいにしようとするかのようだった。みんなたいへん困ってしまった。誰もどうしたら良いのかがわからなかった。あと一軒だけが無事というとき、ついに娘が帰宅してきた。そしてただ「小さい鍋さん、止まって」とだけいうと、鍋は炊くのをやめた。この町に入りたい人は、粥を食べ抜いて入らなければならなかった。そのかわり母親も娘も、さらにその町の人たちも、一生食べ物に困る事はなくなった。
主な日本語訳
編集- グリム童話 (上) (銀の鈴文庫 ; 童話・名作篇 7-8) グリム 原作, 金田鬼一 著, 有岡一郎 絵. 広島図書、昭和23. p137-139[2]
- 世界文学読本 小学1年生(おかゆがたくさん)児童文学者協会 編, 武井武雄 絵. 河出書房、昭和25. p17-23[3]
- グリム童話全集 3. P.グロットヨハン, R.ラインウェーバー 絵, 植田敏郎 訳. 河出書房、昭和30. p230-231[4]
- おかしのいえ (名作絵文庫 ; 2年生) グリム 原作, 柴野民三 著, 輪島清隆 絵. 実業之日本社、昭和32. p145-152[5]
- おいしいおかゆ (グリムのほん) グリム [著], 石井桃子, 佐々梨代子, 荒井督子 再話, 田中久司 画. 子ども文庫の会、1968.11. p9-12[6]
- いばら姫 (グリム童話集 ; 7) グリム兄弟 編, 大塚勇三 訳, 堀内誠一 画. 学習研究社、1971[7]
脚注
編集注釈
編集- ^ Hirse:雑穀一般だが、ドイツ語圏での食用はPanicum miliaceum、キビ(黍)。Rispenhirse (Panicum miliaceum) Unsere Speisehirse ist die Rispenhirse.
- ^ Sußer Brei甘い粥:泡が出なくなるまで洗った黍を牛乳で煮てやわらかくなったら砂糖とシナモンで味付けする。(その後 蓋をしてオーブンに入れ、炊きたてのご飯のような食感になるまで蒸らすレシピもある。)Rezept Süßer Hirsebrei
脚注
編集- ^ Spiegel online Projekt Gutenberg
- ^ “国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2025年2月23日閲覧。
- ^ “国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2025年2月23日閲覧。
- ^ “国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2025年2月23日閲覧。
- ^ “国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2025年2月23日閲覧。
- ^ “国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2025年2月23日閲覧。
- ^ “国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2025年2月23日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- 『おいしいおかゆ』:新字新仮名 - 青空文庫(金田鬼一訳)