πヘリックス
タンパク質中に見られる二次構造の一つ
標準的な構造
編集通常のπヘリックスは右巻きのらせんである。構成するアミノ酸は87°ずつ回転しながら4.4残基で1巻きし、1巻きごとに軸方向に1.15Å進む。さらにアミノ酸のアミノ基は5つ先のアミノ酸のカルボキシル基と水素結合を形成する。これが310ヘリックスだと3残基先の、αヘリックスだと4残基先のアミノ酸との結合になる。
πヘリックスの残基の二面角 (φ, ψ) は、(-55°, -70°) に近い値を取るが、実は二面角の合計が-125°となるような値を取りうる。これと比べ、310ヘリックスだと二面角の合計はおよそ-75°、αヘリックスだとおよそ-105°となる。全てのトランス型ポリペプチドヘリックスの回転角Ωを与える公式は次のような式になる。
左巻きの構造
編集原理的には、二面角の符号を変えて (φ, ψ) を (55°, 70°) とすることにより、左巻きのπヘリックスを構成することも可能である。擬鏡像体のヘリックスは右向きのものと同じく、4.4残基で1回転し、1回転あたり1.5Å進む。しかしアミノ酸残基自体が左向きのキラリティを持っているため、これは真の鏡像体にはならない。天然に存在するアミノ酸でφが55°の値を取れるのはグリシンのみであるため、左向きの長いπヘリックスは普通見られない。
参考文献
編集- Pauling L, Corey RB and Branson HR. (1951) "The Structure of Proteins: Two Hydrogen-Bonded Helical Configurations of the Polypeptide Chain", Proc. Nat. Acad. Sci. Wash., 37, 205.