FAVORITE SOUNDS...1988』(フェイバリット・サウンズ…ナインティーン・エイティエイト)は、日本のシンガーソングライターである吉川晃司の2作目のベスト・アルバム

FAVORITE SOUNDS...1988
吉川晃司ベスト・アルバム
リリース
録音 1985年 - 1987年
ジャンル ロック
時間
レーベル 東芝EMI/イーストワールド
プロデュース
チャート最高順位
吉川晃司 アルバム 年表
ZERO
(1988年)
FAVORITE SOUNDS ...1988
(1988年)
LUNATIC LION
(1991年)
EANコード
JAN 4988006041936
吉川晃司関連のアルバム 年表
『ZERO』
(1988年)
FAVORITE SOUNDS ...1988
(1988年)
COMPLEX
(1989年)
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1988年12月28日東芝EMIのイーストワールドレーベルからリリースされた。同年リリースの『beat goes on』(1988年)よりおよそ8か月ぶりのベスト・アルバムとなり、また吉川関連のリリースとしてはライブ・アルバム『ZERO』(1988年)よりおよそ半年振りとなった。

本作は東芝EMIへの移籍後初のベスト・アルバムであり、SMSレコードからリリースされた『beat goes on』がシングルを中心とした選曲であったのに対し、本作ではアルバム曲を中心に吉川の自作曲から自身の手によって選曲されている。本作はオリコンアルバムチャートでは最高位53位となった。

背景 編集

1984年のデビュー以来、事務所の方針に違和感を覚えていた吉川晃司渡辺プロダクションからの独立を検討、社長である渡辺晋に直訴していた[2]。社長からは映画『シャタラー』(1987年)への出演後であれば独立を許可するという条件を出され[2]、1988年5月6日および5月9日に日本武道館で行った単独公演「武道館スペシャル "BACK TO ZERO"」を最後に吉川は活動休止宣言を行い[3]、同公演を以って正式に渡辺プロダクションを退所しレコード会社も移籍することとなった[4]。同時期にBOØWYからの脱退を検討していた布袋寅泰とともに音楽活動を行う道を模索するも、契約上の問題で1年程度は活動できないことからその後に始動するという形となった[5]。吉川は日本武道館公演の翌日から周囲の人間と音信不通となり、1年間は海外旅行など休暇を取ることに専念した[4]。同年12月10日に吉川は布袋とともに音楽ユニットであるCOMPLEXを結成することを発表した[6][7]

構成 編集

吉川がSMSレコード所属時代にリリースした楽曲の中から、自作曲のみで選曲されたベスト・アルバムである。吉川は選曲はしたものの、本作にはほとんど関与していないと述べている[8]。吉川は『beat goes on』がシングル集に近い形であるのに対し、本作については「敢えて意味付けをするとしたら、すごくマイセルフ的っていうことだろうな」と述べた他、「インターバル時期のクッションってやつでしょうか」とも述べている[8]。自作曲からの選曲であるため、1枚目のアルバム『パラシュートが落ちた夏』(1984年)および2枚目のアルバム『LA VIE EN ROSE』(1984年)、3枚目のアルバム『INNOCENT SKY』(1985年)からは1曲も選曲されていない。また、本作のジャケットおよびブックレットには吉川の写真は一切使用されていない。

6枚目のシングル「RAIN-DANCEがきこえる」(1985年)にB面として収録されていた「I'm So Crazy」および10枚目のシングル「MARILYNE」(1987年)にB面として収録されていた「ODEON」の2曲がアルバム初収録となった。また、映画『テイク・イット・イージー』(1986年)の劇伴を収録したサウンドトラックBOY'S NIGHT OUT -Soundtracks From TAKE IT EASY-』(1986年)に収録されていた、8枚目のシングル「MODERN TIME」のロングバージョンである「MODERN TIME II」が収録されている。音楽情報サイト『CDジャーナル』では、スタッフが世間の流行を取り入れつつ音楽制作に四苦八苦していても、吉川のボーカルについては「この人の感情の出力のフラットさは全然影響されてないのが面白い」と記されている[9]

リリース、チャート成績 編集

本作は1988年12月28日東芝EMIのイーストワールドレーベルからCDおよびCTの2形態でリリースされた。本作はオリコンアルバムチャートにおいて最高位第53位の登場週数5回で売り上げ枚数は1.3万枚となった。

収録曲 編集

  • CDブックレットに記載されたクレジットを参照[10]
A面
#タイトル作詞作曲編曲時間
1.サイケデリックHIP(SATISFACTION FAKEバージョン)[注 1]吉川晃司吉川晃司後藤次利
2.HOT LIPS吉川晃司吉川晃司清水信之
3.I'm So Crazy安藤秀樹吉川晃司後藤次利
4.Little Darlin'吉川晃司吉川晃司清水信之
5.BIG BAD BABY BASTARD吉川晃司吉川晃司後藤次利
6.A-LA-BA・LA-M-BA吉川晃司吉川晃司松本晃彦
7.MARILYNE吉川晃司吉川晃司松本晃彦
8.Stranger in Paradise吉川晃司吉川晃司後藤次利
合計時間:
B面
#タイトル作詞作曲編曲時間
9.ナーバス ビーナス[注 2]吉川晃司吉川晃司後藤次利
10.Another Day柳川英巳吉川晃司後藤次利
11.終わらないSun Set吉川晃司吉川晃司松本晃彦
12.JUST A LIFE吉川晃司吉川晃司清水信之
13.GLAMOROUS JUMP吉川晃司W.GUY清水信之
14.MODERN TIME II吉川晃司吉川晃司後藤次利
15.ODEON吉川晃司後藤次利、吉川晃司後藤次利
合計時間:

スタッフ・クレジット 編集

  • CDブックレットに記載されたクレジットを参照[11]

参加ミュージシャン 編集

スタッフ 編集

  • 木崎賢治 - プロデューサー(1 - 13曲目)
  • 梅鉢康弘(SMSレコード ) - プロデューサー(1 - 13曲目)、ディレクター(14曲目)
  • 川面博(渡辺ミュージック) - プロデューサー(2 - 8, 10 - 13曲目)、ディレクター(14曲目)
  • 後藤次利 - プロデューサー(14曲目)
  • 内沼映二 - エンジニア(1, 9曲目)、スーパー・リミキシング・エンジニア(14曲目)
  • 坂元達也 - エンジニア(5 - 8, 10, 11曲目)
  • 平瀬公一 - エンジニア(2, 4, 12, 13曲目)
  • ダニエル・エイブラハム - ミキシング・エンジニア(2, 4, 12, 13曲目)
  • 平瀬公一 - セカンド・エンジニア(1, 9曲目)
  • 伊藤隆司 - セカンド・エンジニア(1, 5 - 11曲目)
  • 後藤昌司 - セカンド・エンジニア(1, 5 - 11曲目)
  • 三浦瑞生 - セカンド・エンジニア(1, 9曲目)
  • 伊藤康弘 - セカンド・エンジニア(5 - 8, 10, 11曲目)
  • 松本元成 - セカンド・エンジニア(5 - 8, 10, 11曲目)
  • 園田一惠 - セカンド・エンジニア(5 - 8, 10, 11曲目)
  • 北岡一朗(スタジオテイクワン) - アシスタント・エンジニア(2, 4, 12, 13曲目)
  • 木曽敏浩(スタジオテイクワン) - アシスタント・エンジニア(2, 4, 12, 13曲目)
  • 浅野剛(スタジオテイクワン) - アシスタント・エンジニア(2, 4, 12, 13曲目)
  • 横井俊一(スタジオテイクワン) - アシスタント・エンジニア(2, 4, 12, 13曲目)
  • 松田龍太(ファームスタジオ) - アシスタント・エンジニア(2, 4, 12, 13曲目)
  • 前田達也(サウンド・シティ) - アシスタント・エンジニア(2, 4, 12, 13曲目)

リリース日一覧 編集

No. リリース日 レーベル 規格 カタログ番号 最高順位 備考 出典
1 1988年12月28日 東芝EMI/イーストワールド CD CT32-5365 53位 [9][12]
2 CT ZT28-5365 53位 [1]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ SATISFACTION FAKEバージョン」となっているが誤植であり、アルバム『MODERN TIME』に所収されているオリジナル音源が収録されている。
  2. ^ アルバム『SATISFACTION FAKE』に所収されている「Nervous Venus (Complex Version)」が収録されている。

出典 編集

  1. ^ a b オリコンチャート・ブック アルバムチャート編 1999, p. 41.
  2. ^ a b 吉川晃司 2012, p. 66- 「第2章「信念」」より
  3. ^ 吉川晃司 1988, p. 33- 野中智美「征服/1987-1988」より
  4. ^ a b 月刊カドカワ 1993, p. 37- 「本人自身による全アルバム解説」より
  5. ^ 月刊カドカワ 1993, p. 36- 「本人自身による全アルバム解説」より
  6. ^ 月刊カドカワ 1993, p. 62- 「ALL DATA 10 YEARS HISTORY」より
  7. ^ こじへい (2017年6月4日). “布袋寅泰と吉川晃司の「COMPLEX」が活動休止した理由 大親友から不仲に”. エキサイトニュース. エキサイト. 2023年12月3日閲覧。
  8. ^ a b 月刊カドカワ 1993, p. 43- 「本人自身による全アルバム解説」より
  9. ^ a b 吉川晃司 / FAVORITE SOUNDS…1988 [廃盤]”. CDジャーナル. 音楽出版社. 2023年12月3日閲覧。
  10. ^ FAVORITE SOUNDS ...1988 1988, pp. 0–7.
  11. ^ FAVORITE SOUNDS ...1988 1988, pp. 8–9.
  12. ^ 吉川晃司/FAVORITE SOUNDS…1988”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード. 2023年12月3日閲覧。

参考文献 編集

外部リンク 編集