1962年ベルギーグランプリ

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1962年ベルギーグランプリ (1962 Belgian Grand Prix) は、1962年のF1世界選手権第3戦として、1962年6月17日スパ・フランコルシャンで開催された。

ベルギー 1962年ベルギーグランプリ
レース詳細
1962年F1世界選手権全9戦の第3戦
スパ・フランコルシャン(1947-1978)
スパ・フランコルシャン(1947-1978)
日程 1962年6月17日
正式名称 XXII Grote Prijs van Belgie
開催地 スパ・フランコルシャン
ベルギーの旗 ベルギー スパ
コース 恒久的レース施設
コース長 14.100 km (8.761 mi)
レース距離 32周 451.200 km (280.363 mi)
決勝日天候 晴(ドライ)
ポールポジション
ドライバー BRM
タイム 3:57.0
ファステストラップ
ドライバー イギリスの旗 ジム・クラーク ロータス-クライマックス
タイム 3:55.6 (15周目)
決勝順位
優勝 ロータス-クライマックス
2位 BRM
3位 フェラーリ

レース概要 編集

ジム・クラークがF1初勝利を挙げた。クラークはスパが嫌いなサーキットであったが、1965年までチーム・ロータスで4連勝を達成している。F1初のモノコック構造マシンであるロータス・25にとっても初勝利であり、クラークとグラハム・ヒルによる6年間に渡るライバル争いの始まりでもあった。

ポルシェストライキの影響により本レースを欠場し、新車804の熟成開発を優先させた[1]。クラークは予選で12位に沈み、この年フロントローを奪えなかった唯一のレースであった。レース序盤にトップ争いを演じたのはクラークのチームメイトであるトレバー・テイラーフェラーリを駆る地元出身のウィリー・メレスだったが、激しいバトルの末、終盤に両者は接触してしまう。メレスのフェラーリ・156は裏返って炎上し、テイラーのロータス・24もコース脇の木製の電柱をへし折り、それがコクピットを直撃する惨状だったが、奇跡的にメレスが軽症、テイラーが無傷で済んだ[2]。3位のフィル・ヒルは本レースがF1最後の表彰台となった。リカルド・ロドリゲスは4位で初入賞を果たし、F1最年少入賞記録を20歳123日に更新した。2000年ブラジルGPジェンソン・バトンが20歳67日に更新するまで38年間最年少記録であった[3]

エントリーリスト 編集

チーム No. ドライバー コンストラクター シャシー エンジン
  オーウェン・レーシング・オーガニゼーション 1   グラハム・ヒル BRM P57 BRM P56 1.5L V8
2   リッチー・ギンサー
3   トニー・マーシュ 1 P48/57
4   ジャッキー・ルイス 2
  ジェリー・アシュモア 2
  エメリソン・カーズ 4   ジョン・キャンベル=ジョーンズ 2 ロータス 18 クライマックス FPF 1.5L L4
  ヨーマン・クレジット・レーシングチーム 5   ジョン・サーティース ローラ Mk4 クライマックス FWMV 1.5L V8
  エキュリー・マールスベルゲン 7   カレル・ゴダン・ド・ボーフォール ポルシェ 718 ポルシェ 547/3 1.5L F4
8   ハインツ・シラー 3
  スクーデリア・フェラーリ SpA SEFAC 9   フィル・ヒル フェラーリ 156 フェラーリ Tipo178 1.5L V6
10   ウィリー・メレス
11   ジャンカルロ・バゲッティ
12   リカルド・ロドリゲス
  ブラバム・レーシング・オーガニゼーション 15   ジャック・ブラバム ロータス 24 クライマックス FWMV 1.5L V8
  チーム・ロータス 16   ジム・クラーク ロータス 25 クライマックス FWMV 1.5L V8
17   トレバー・テイラー 24
  ロブ・ウォーカー・レーシングチーム 18   モーリス・トランティニアン ロータス 24 クライマックス FWMV 1.5L V8
  エキップ・ナツィオナーレ・ベルゲ 19   ルシアン・ビアンキ ロータス 18/21 クライマックス FPF 1.5L L4
  UDT・レイストール・レーシングチーム 20   イネス・アイルランド ロータス 24 クライマックス FWMV 1.5L V8
21   マステン・グレゴリー BRM P56 1.5L V8
  エキュリー・フィリピネッティ 22   ジョー・シフェール ロータス 21 クライマックス FPF 1.5L L4
  オートスポート・チーム・ウォルフガング・ザイデル 23   ダン・ガーニー ロータス 24 BRM P56 1.5L V8
  ポルシェ・システム・エンジニアリング 24   ヨアキム・ボニエ 1 ポルシェ 804 ポルシェ 753 1.5L F8
  クーパー・カー・カンパニー 25   ブルース・マクラーレン クーパー T60 クライマックス FWMV 1.5L V8
26   トニー・マグス
ソース:[4]
追記
  • タイヤは全車ダンロップ
  • ^1 - マシンが準備できず
  • ^2 - No.4はルイスからアシュモアに交代したが、マシンが準備できなかったためアシュモアも出場できず、キャンベル=ジョーンズに割り当てられた
  • ^3 - エントリーしたが出場せず

結果 編集

予選 編集

順位 No. ドライバー コンストラクター タイム グリッド
1 1   グラハム・ヒル BRM 3:57.0 1
2 25   ブルース・マクラーレン クーパー-クライマックス 3:58.8 +1.8 2
3 17   トレバー・テイラー ロータス-クライマックス 3:59.3 +2.3 3
4 9   フィル・ヒル フェラーリ 3:59.6 +2.6 4
5 20   イネス・アイルランド ロータス-クライマックス 3:59.8 +2.8 5
6 10   ウィリー・メレス フェラーリ 3:59.8 +2.8 6
7 12   リカルド・ロドリゲス フェラーリ 4:01.0 +4.0 7
8 21   マステン・グレゴリー ロータス-BRM 4:01.0 +4.0 8
9 2   リッチー・ギンサー BRM 4:01.4 +4.4 9
10 26   トニー・マグス クーパー-クライマックス 4:03.6 +6.6 10
11 5   ジョン・サーティース ローラ-クライマックス 4:04.4 +7.4 11
12 16   ジム・クラーク ロータス-クライマックス 4:04.9 +7.9 12
13 7   カレル・ゴダン・ド・ボーフォール ポルシェ 4:07.7 +10.7 13
14 11   ジャンカルロ・バゲッティ フェラーリ 4:08.0 +11.0 14
15 15   ジャック・ブラバム ロータス-クライマックス 4:08.2 +11.2 15
16 18   モーリス・トランティニアン ロータス-クライマックス 4:09.2 +12.2 16
17 22   ジョー・シフェール ロータス-クライマックス 4:11.6 +14.6 17
18 19   ルシアン・ビアンキ ロータス-クライマックス 4:18.0 +21.0 18
19 4   ジョン・キャンベル=ジョーンズ ロータス-クライマックス 4:26.9 +29.9 19
20 23   ダン・ガーニー ロータス-BRM 6:42.2 +2:45.2 DNS 1
ソース:[5]
追記

決勝 編集

順位 No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 グリッド ポイント
1 16   ジム・クラーク ロータス-クライマックス 32 2:07:32.3 12 9
2 1   グラハム・ヒル BRM 32 +44.1 1 6
3 9   フィル・ヒル フェラーリ 32 +2:06.5 4 4
4 12   リカルド・ロドリゲス フェラーリ 32 +2:06.6 7 3
5 5   ジョン・サーティース ローラ-クライマックス 31 +1 Lap 11 2
6 15   ジャック・ブラバム ロータス-クライマックス 30 +2 Laps 15 1
7 7   カレル・ゴダン・ド・ボーフォール ポルシェ 30 +2 Laps 13
8 18   モーリス・トランティニアン ロータス-クライマックス 30 +2 Laps 16
9 19   ルシアン・ビアンキ ロータス-クライマックス 29 +3 Laps 18
10 22   ジョー・シフェール ロータス-クライマックス 29 +3 Laps 17
11 4   ジョン・キャンベル=ジョーンズ ロータス-クライマックス 16 +16 Laps 19
Ret 17   トレバー・テイラー ロータス-クライマックス 25 アクシデント 3
Ret 10   ウィリー・メレス フェラーリ 25 アクシデント 6
Ret 2   リッチー・ギンサー BRM 22 ギアボックス 9
Ret 26   トニー・マグス クーパー-クライマックス 22 ギアボックス 10
Ret 25   ブルース・マクラーレン クーパー-クライマックス 19 ホイールベアリング 2
Ret 21   マステン・グレゴリー ロータス-BRM 13 撤退 8
Ret 20   イネス・アイルランド ロータス-クライマックス 8 サスペンション 5
Ret 11   ジャンカルロ・バゲッティ フェラーリ 3 イグニッション 14
DNS 23   ダン・ガーニー ロータス-BRM 撤退
ソース:[6]
ラップリーダー[7]

第3戦終了時点のランキング 編集

  • : トップ5のみ表示。ベスト5戦のみがカウントされる。

脚注 編集

  1. ^ (林信次 1997, p. 38)
  2. ^ (林信次 1997, p. 37-38)
  3. ^ 現在の最年少記録はマックス・フェルスタッペン2015年マレーシアGPで記録した17歳180日。この翌年からスーパーライセンスの発給条件が18歳以上となったため、これ以上の更新はできない。
  4. ^ Belgium 1962 - Race entrants”. statsf1.com. 2018年5月8日閲覧。
  5. ^ Belgium 1962 - Qualifications”. statsf1.com. 2018年5月6日閲覧。
  6. ^ 1962 Belgian Grand Prix”. formula1.com. 2014年11月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月20日閲覧。
  7. ^ Belgium 1962 - Laps led”. statsf1.com. 2018年5月4日閲覧。

参照文献 編集

  • 林信次『F1全史 1961-1965』ニューズ出版、1997年。ISBN 4-938495-09-0 

外部リンク 編集

前戦
1962年モナコグランプリ
FIA F1世界選手権
1962年シーズン
次戦
1962年フランスグランプリ
前回開催
1961年ベルギーグランプリ
  ベルギーグランプリ 次回開催
1963年ベルギーグランプリ