諸法実相(しょほうじっそう、: dharmatā[注釈 1])とは、仏教において、全ての存在のありのままの真実の姿のこと[1][2]。「諸法実相」は『法華経』のみに述べられており、『方便品第二』の三遍繰り返して読む「十如是」の部分です。尚、「空」と諸法実相は別物である。

語義 編集

諸法実相は仏教の真理を指す言葉の一つであり、大乗仏教の根本思想であるが、その意義は宗派ごとに様々である[1][2]

三論宗 編集

三論宗では、空理を諸法の実相とする[1]

天台宗 編集

天台宗では、諸法実相をいう場合に三重の区別があり、初重は因縁所生の諸法がそのままであることを指して実相とする[1]。二重は、空と有を諸法とし、別に中道第一義諦の理を立てて実相とする[1]。三重は、差別の現象を全て諸法といい、その諸法が三諦円融している真実のあり方を指して実相とする[1]

日蓮宗 編集

日蓮宗では、本門の題目に関して諸法実相の意を解釈する[1]

禅宗 編集

宗では、本来の面目が諸法の実相をあらわすものとする[1]

浄土真宗 編集

浄土真宗では、真如の理を諸法実相とし、南無阿弥陀仏名号を実相法と呼ぶ[1]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 原語は: dharmatāの他にも複数ある[1]

出典 編集

  1. ^ a b c d e f g h i j 中村元『広説佛教語大辞典』 中巻、東京書籍、2001年6月、926-927頁。 
  2. ^ a b 諸法実相(しょほうじっそう)とは - コトバンク”. 朝日新聞社. 2017年9月22日閲覧。