現代の航空母艦一覧

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このリストは、2023年時点での世界各国の就役または建造・計画中の航空母艦及び強襲揚陸艦について記述する。

世界の航空母艦(2024年時点)
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ヘリ搭載駆逐艦ドック型揚陸艦など、航空機搭載が可能であるが、運用に特化していない艦種についてはここに記載していない。


運用中 編集

  アメリカ合衆国 編集

 
「ニミッツ級」(上)と「ジェラルド・R・フォード級」(下)
第二次世界大戦後に建造された空母は全て超大型空母であり、さらに現在保有する空母は全て原子力空母である。
11隻の空母が現役であり[注 1]、原子力機関を搭載するため建造・維持・運用に莫大なコストを要求されるが、1隻で中小国の空軍以上の攻撃力を持つといわれる。今後ニミッツ級をジェラルド・R・フォード級に順次置き換えていく予定である。
 
「ワスプ級」
 
「アメリカ級フライト0」
強襲揚陸艦にはV/STOL機の運用能力が付加されており、必要に応じて補助空母的任務を遂行可能である。F-35Bへの対応改修も進められている。

  イギリス 編集

 
「クイーン・エリザベス級」
第二次世界大戦中に起工した空母に各種改装を行い運用していたが、それらは財政難により維持するのは不可能となり、STOVL空母やヘリコプター揚陸艦で対応していた。
2017年12月7日にF-35Bを搭載機とする6万トンクラスのクイーン・エリザベス級が就役。現在は2隻を運用している。

  イタリア 編集

 
「カヴール」
ヘリコプター巡洋艦の代替として建造したV/STOL空母1隻を運用している。多任務能力が盛り込まれており、強襲揚陸艦的運用も可能となっている。
 
「ジュゼッペ・ガリバルディ」
航空母艦から強襲揚陸艦に艦種変更して1隻運用中。代替として3万トンの強襲揚陸艦を建造中である。また、全通甲板を有するサン・ジョルジョ級(準同型艦サン・ジュストを含む)を強襲揚陸艦としている。

  イラン 編集

2011年、戦闘機とヘリコプターを搭載した空母の建造が報じられた。
アメリカのニミッツ級を模したモックアップ(実物の約3分の2のサイズで、艦番68とマーキング)を製作、演習で使用した[注 4]
2020年11月と2021年1月に独自開発したヘリ空母を就役させた。

  インド 編集

 
「ヴィクラント」(手前)と「ヴィクラマーディティヤ」(奥)
イギリスより購入・運用した空母の代替として、キエフ級を改装してMiG-29Kを搭載したSTOBAR空母をロシアより購入、就役させている。
国産STOBAR空母も建造中であり、さらに1隻の導入を計画、BAEシステムズクイーン・エリザベス級をベースとする協議をしている。

  エジプト 編集

フランスより購入したミストラル級強襲揚陸艦2隻を運用中。

  オーストラリア 編集

 
「キャンベラ級」
イギリスより購入・運用した空母の代替として、スペインの強襲揚陸艦フアン・カルロス1世の準同型艦2隻を運用している。
固定翼機の搭載は可能だが、コスト面から機体の導入は考えられていない。

  スペイン 編集

 
「フアン・カルロス1世」
過去にはアメリカより空母を購入して運用、国産V/STOL空母を建造していた。現在は強襲揚陸艦1隻を運用。
他国への準同型艦の販売も行っている。

  タイ 編集

 
「チャクリ・ナルエベト」
スペインより購入したV/STOL空母1隻保有。航空機は運用停止中のため、ヘリ空母として運用されている。

  韓国 編集

 
独島級
空母保有を検討しており、2007年に強襲揚陸艦を1隻就役させた。2番艦が艤装中である。
F-35Bを搭載する発展型の建造が計画されている。

  中国 編集

 
「遼寧」
 
「山東」
 
「福建」
スクラップとして空母を購入、その中でウクライナより購入した未完成の空母の建造を再開、2012年9月25日に就役させた。続いて2013年に国産空母建造を開始、2019年12月17日に就役させている。
さらに1隻が2022年6月17日に進水した。
 
「075型」
2017年に強襲揚陸艦の建造を開始、2021年に1番艦が就役。
  • 075型 - 4隻[1]、4隻計画中
  • 海南
  • 広西
  • 安徽
  • 江西
  • 076型 - 検討段階

  トルコ 編集

 
「アナドル」
2016年より、スペインの強襲揚陸艦の準同型艦の建造開始、2023年4月10日、1番艦「アナドル」が就役した。
しかし、搭載機を予定していたF-35BがS-400導入に対する制裁で入手不可能となり、運用機を国産無人機への変更する等が検討されており、2番艦「トラキア」の建造も延期されている。
「アナドル」の就役式典では、飛行甲板上に、
バイラクタル TB2の艦載型である、「バイラクタル TB3」が複数並べられていた。

  日本 編集

 
「ひゅうが型」
 
「いずも型」

海上自衛隊の航空母艦建造構想も参照。

対潜ヘリコプター護衛艦(DDH)の代替として、ヘリ空母4隻が就役している。強襲揚陸艦の導入の調査や視察が行われているが、建造に向けた具体的な動きはまだない。
2019年8月16日F-35Bを42機導入することが防衛省から発表され、いずも型2隻に対応できるように改装を施すことが決定。2021年に1度目の改装を終えたいずもで発着艦の検証が行われた。
2023年4月20日、1番艦「いずも」に先じて改装を受けていた「かが」が出渠し、四角になった艦首飛行甲板が確認された。
また、ヘリコプター搭載能力はないが、ほぼ全通飛行甲板をもつおおすみ型3隻を保有している。

  ブラジル 編集

 
「アトランティコ」
イギリスとフランスから購入した空母を運用しており、代替として2018年7月にイギリスから退役したヘリ空母を導入した。
元々固定翼機の運用は想定されていないが、無人航空機の導入が提案されている。

  フランス 編集

 
「シャルル・ド・ゴール」
 
「新世代航空母艦(PANG)」
アメリカやイギリスから空母購入後、国産空母を建造、アメリカ以外で唯一の原子力空母1隻を運用している。空母2隻体制を目標としているが、財政難や仕様のミスマッチなどで中止となり、導入は進んでいない。2038年頃に後継空母を導入する見込みである。
核戦略を中心としており、空母と艦載機ともに戦術核兵器の搭載・運用能力を維持している。
 
「ミストラル級」
全通飛行甲板を採用した強襲揚陸艦を3隻保有している。
他国への準同型艦の販売も行っている。

  ロシア 編集

 
「アドミラル・クズネツォフ」
ソビエト連邦の崩壊まではV/STOL、STOBAR、原子力空母の建造を進めていたが、1隻を除き、退役又は建造破棄されている。2007年頃から空母の活動を再開させ、2018年4月より近代化改装中である。
2005年頃より、新空母の導入について報道がされるようになり、新空母設計が公開されている。
 
「揚陸艦コンセプトモデル」
強襲揚陸艦の調達が決定。フランスの強襲揚陸艦が選定され、2隻が建造されたが、2014年ウクライナ騒乱により引き渡されなかった。
このため、国内での2隻の強襲揚陸艦を建造中である。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 2017年には第45代アメリカ合衆国大統領に就任したドナルド・トランプは現役空母を1隻増し、12隻体制とすること表明した。
  2. ^ CVN-73が炉心交換作業(RCOH)、CVN-70CVN-77が長期メンテナンス中、CVN-74がRCOH待ち。
  3. ^ 8隻建造されたが、1隻が近代化改修工事中の火災により廃艦となる。
  4. ^ 2015年2月25日に行われた演習「偉大な予言者9」で攻撃目標に使われた。演習後はバンダレ・アッバース付近に係留されて修理を受けたが、2020年7月の2度目の演習後に沈没、漂流後に部分的に解体されて防波堤となっている。
  5. ^ RORO船を改造。全長150m、幅22m、排水量1万2000トン。
  6. ^ タンカーを改造。全長228m、幅42m、排水量12万トン。

出典 編集

  1. ^ Vavasseur, Xavier (2021年12月30日). “China’s 2nd Type 075 LHD Guangxi 广西 Commissioned With PLAN” (英語). Naval News. 2022年1月14日閲覧。

関連項目 編集