量子光学における1つのモードの変位演算子(へんいえんざんし)とは、次のようなシフト演算子である。

ここで光学位相空間英語版での変位の大きさ、はその変位の複素共役、生成消滅演算子である。 この名前は位相空間での局在状態を大きさだけ変位できることに由来する。 また真空状態に作用することでコヒーレント状態に変位させる。

コヒーレント状態で、消滅演算子の固有状態である。

性質 編集

変位演算子はユニタリー演算子であり、次に従う。

 

変位演算子のエルミート共役は逆の大きさ( )の変位である。

 

生成消滅演算子に変位演算子による相似変換をすると、生成消滅演算子が変位される。

 
 

2つの変位演算子の積も変位演算子である。位相因子は別として、2つの個々の変位を足し合わせたトータルの変位を行う。

 

これはベーカー・キャンベル・ハウスドルフの公式英語版を使うと証明できる( )。これが固有ケットに作用すると位相因子 が現れるが、これは物理的には意味がない。[1]

別の表現 編集

変位演算子を表す2つの方法がある。それぞれ、

 
 

多重モードの変位 編集

変位演算子は、多重モードの変位に一般化できる。 多重モードの生成演算子は次のように定義される。

 

ここで は波数ベクトルであり、大きさは振動数 とつながっている。

 

この定義を使うと、多重モード変位演算子は次のように書ける。

 

また多重モードのコヒーレント状態は次のように定義できる。

 

脚注 編集

  1. ^ Christopher Gerry and Peter Knight: Introductory Quantum Optics. Cambridge (England): Cambridge UP, 2005.

関連項目 編集