南国のバラ』(なんごくのばら、ドイツ語: Rosen aus dem Süden作品388は、ヨハン・シュトラウス2世1880年に作曲したメドレー形式のウィンナ・ワルツ。作曲者の「十大ワルツ」のひとつに数えられる[1]

『南国のバラ』
ドイツ語: Rosen aus dem Süden
ピアノ初版譜の表紙(Cranz社出版)
ジャンル ウィンナ・ワルツ
作曲者 ヨハン・シュトラウス2世
作品番号 op.388
初演 1880年11月7日

解説 編集

 
イタリア国王ウンベルト1世(1880年)

1880年10月1日ヨハン・シュトラウス2世は自作のオペレッタ『女王のレースのハンカチーフ』を初演した。イタリア国王ウンベルト1世はこのオペレッタを大変気に入り、やがてそのことがヨハン2世の耳にも伝わった。ヨハン2世は即座にこのオペレッタに登場するモチーフを編曲し、地中海沿岸に位置する南国イタリアを思わせる『南国のバラ』という題名のワルツにし、これをウンベルト1世に献呈した。

1880年11月7日に弟エドゥアルト・シュトラウス1世の指揮するシュトラウス管弦楽団ポルトガル語版によって、ウィーン楽友協会において初演された。

構成 編集

ワルツの主題は、オペレッタ『女王のレースのハンカチーフ』の第1幕「Trüffel-Couplet」("Stets kommt mir wieder in den Sinn")、第2幕の三重唱「野ばらが花開くところ」(Wo die wilde Rose erblüht)やロマンス("Lichter Glanz erfüllt sein Gemüt")(この2曲は同じメロディが使われている)、第2幕フィナーレの"Hell wie ein Strahl"、第3幕フィナーレの"Eine Königin liebt dich"などから取られており、ワルツの題名は第2幕の三重唱に触発されている。

第1ワルツ

 

ヘ長調によるワルツの第1部は、優美な旋律であるが、雰囲気は哀愁を帯びている。ワルツの第2部Aもまた、より内生的な雰囲気を帯びているが、第2部Bはより躍動的である。第3部の楽節全体はト長調であるのに対し、第4部は変ホ長調であり、シンバルの一打によってクライマックスに至る。落ち着きのない響きの変ホ長調によるコーダは、間もなく第3部Aの再現と交替する。第1部Aが曲末につかのま現れた後、第4部Bが今度は主調のヘ長調で導入される。ワルツの結末を彩るのは、一連の下降和音であり、太鼓連打と最後のファンファーレが色を添える。

ニューイヤーコンサート 編集

出典 編集

  1. ^ 『新訂 大作曲家の肖像と生涯』 p.190

参考文献 編集

外部リンク 編集

音楽・音声外部リンク
全曲を試聴する
  Roses from the South - アンドレ・リュウヨハン・シュトラウス・オーケストラ英語版による演奏。公式YouTubeチャンネル。
  - Roses from the South - ウィーン弦楽ゾリステン(Wiener Streichersolisten)演奏。公式YouTubeチャンネル。

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